内藤哲也の離脱で新たな道を模索するロスインゴ勢 「新世代の旗手」辻陽太の思惑は?

【柴田惣一のプロレス現在過去未来】

この約10年、新日本プロレスいや日本プロレス界をリードしてきたロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン(ロスインゴ)。内藤哲也とBUSHIの新日本退団で、解散することになりそうだ。

残された辻陽太、鷹木信悟、高橋ヒロムの卒ロスインゴトリオは新たな道を模索し、新日本マットの中心で闘いを続けている。ヒロムは「ジュニアの祭典」ベスト・オブ・ザ・スーパージュニア(BOSJ)で奮闘中だ。

辻はIWGP GLOBALヘビー級王者として新世代の先頭を走っている。鷹木も辻がゲイブ・キッドとの防衛戦に臨む6・15大阪城ホール大会で、IWGP世界ヘビー級王者・後藤洋央紀に挑戦する。

3人のロスインゴ魂は、リーダー・内藤が抜けても健在ということだろう。

内藤は新たな闘いに踏み出す前に、目の手術などコンデションを整えている。しばらくリングから離れるようだが、卒ロスインゴトリオは内藤、BUSHIの離脱に微妙な思いをぬぐい切れないだろう。

ここはひとつ、ロスインゴの原点であるメキシコマットでケジメマッチを闘うのもよいのではないか。メキシコのロスインゴ勢と闘うのも良し、あるいは共闘するのも良し。卒ロスインゴトリオの文字通りの「卒ロスインゴマッチ」だ。3人がこのまま共闘するのか、あるいはそれぞれの道を選ぶのか。それこそケジメをつけなければ、次へは進めないだろう。

中でも注目されるのは新時代の旗手・辻の行く末である。海野翔太は迷い道にはまり込んだまま、なかなか抜け出せない。因縁が重なっていた上村優也には5・4福岡大会で快勝。他のライバルたちとの出世レースで、辻が一歩も二歩もリードしたのは誰の目にも明らかだろう。

元より、辻の発信力はなかなかのもの。内藤に追いつけ、追い越せとばかり、センスあふれるコメントを発してきた。会社にも疑問があればズバリと指摘する。その多くは的を得た正論であり、思わずうなずくばかり。

そしてバランスの良い堂々とした頑丈な体躯は「和製ブロディ」。いかにも強そうな雰囲気は、まさにプロレスラーだ。

これまではロスインゴのイメージカラーが赤とあって、ガウンやコスチュームも赤をベースとしてきた。だが卒ロスインゴとなれば、辻個人のイメージを全面に押し出すことになる。それは青なのか、金色なのか、黄なのか、紫なのか、はたまた黒なのか…楽しみは膨らむばかり。

辻本来の色を打ち出すことはもちろんだが、最終目標であるIWGP世界ヘビー級王座にも名乗りを上げる時が近づいている。

V4に成功しているIWGP GLOBALヘビー級王座に愛着もある。とはいえ6・15大阪城大会でV5を達成すれば、一区切りともなる。両王座を統一しGLOBAL王座を封印するプランもあるようだ。

「レスラーのイメージを大切にしたい」「憧れる存在でありたい」と意気込む。私服やカバンや時計などの持ち物、愛車にも気を使っている。新日本だけでなく日本マット界そして世界のプロレスを意識した言動には感心するばかり。若き日の内藤もそうだった。全体を広い視野で見て、客観的に考えていた。言葉を交わしていると、若き日の内藤を思い出してしまう。

内藤退団は衝撃だったが、ピンチはチャンス。これからは「個」の勝負。卒ロスインゴそして内藤哲也越え…辻陽太の輝けるサンシャインロードはまだまだ始まったばかりだ。

<写真提供:新日本プロレス>

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