「兄か、弟か」全日本が誇る“最強双子兄弟”斉藤ブラザーズが地元・仙台で三冠王座を懸けて激突へ

全日本プロレスが新たな歴史の扉を開く。
6月1日、宮城・仙台サンプラザホール大会にて、三冠ヘビー級王者・斉藤ジュンに、弟の斉藤レイが挑戦する一騎打ちが決定。兄弟による三冠ヘビー級選手権試合という、かつてない兄弟対決が、彼らの地元・仙台のリングで実現することとなった。
弟の斉藤レイは「チャンピオン・カーニバル2025」を制覇し、満を持して兄への挑戦を表明。これに対し王者ジュンも「お兄ちゃんの方が強いってことを見せる」と堂々と受けて立った。
かつては“巨漢タッグ”として名を馳せた斉藤ブラザーズも、いまやシングルプレーヤーとしてそれぞれが地力を上げ、ジュンは三冠王者として防衛街道を邁進し、レイは名実ともに春の祭典の覇者となった。その二人が地元・宮城で激突するという構図は、いかにもドラマチックだ。
「斉藤ブラザーズ弟の、そして『チャンピオン・カーニバル2025』覇者の斉藤レイだ」
会見での第一声に、誇りと覚悟がにじんだ。
「このドでけえトロフィーを手にできたことを大変光栄に思うぜ。そして俺はしっかりとシングルで実績を作った。6.1仙台大会でここにいる兄、斉藤ジュンを、三冠チャンピオンをぶっ倒して今度はここにある三冠のベルトをこの手に収めてやるぜ!全員楽しみにしてろ!フォー!!そして、この俺が勝った暁には、俺が間違いなく勝つんだが、勝った後にリング上で、キンキンに冷えたビール、そして(ジュンが)食べようとするスイーツがあるだろうから、そのスイーツを目の前でむしゃむしゃ食ってやるぜ」
いかにもレイらしい豪放な言葉だが、その裏には確かな実力と積み重ねた結果がある。チャンピオン・カーニバルでは準決勝で鈴木秀樹、決勝で宮原健斗という実力者を連破。なかでも鈴木との一戦は壮絶で、スリーパーを受けてからの怒涛の反撃は、元力士としての底力を見せつけた。
「気づいたらああなってた」と語るも、感情が爆発したレイのファイトには、かつての“野性”と、近年培った“戦術”の融合があった。
それを誰より理解しているのが兄・ジュンだ。
「チャンピオン・カーニバルでの弟の戦いは見ていた。最初は空回りしていたが、途中から爆発した。パワーが100パーセント、120パーセントと増していった。それが優勝に繋がった」
三冠王者として、冷静に弟の成長を分析したうえで、「迎え撃つ」と断言した。昨年、仙台でのシングルではレイに敗れており、そのリベンジの場としても、ジュンにとっては意味深い一戦となる。
「いくら俺が三冠チャンピオンでも、最後にやったシングルでは俺が負けている。この借りは早くきっちりと返したい」
リングでの対戦はこれが4度目。互いを知り尽くし、互いを意識し続けてきた兄弟だからこそ、勝負は紙一重となる。
今回の舞台が地元・仙台というのも、大きな意味を持つ。少年時代、同じ屋根の下で育ち、同じプロレスラーへの道を歩み始めた二人にとって、その原点ともいえる土地での頂上決戦は、運命の巡り合わせだ。
「俺たちをテレビで見てる人たちも、リング上では全然違う姿があることを見せたい」と語るレイ。
「どこでやっても嬉しいが、地元・宮城でできるのは最高だ」と語るジュン。
兄弟はそれぞれの言葉で、この試合がただのタイトルマッチではなく、家族として、そしてプロレスラーとしての誇りを懸けた戦いであることを伝えた。
斉藤ブラザーズ――それは、単なるタッグチームの枠を超えた、全日本プロレスの新時代を象徴する存在だ。三冠の栄光と、家族の絆。勝者となるのはどちらかひとりだが、敗者もまた、全日本マットにとってはかけがえのない財産である。
6月1日、仙台サンプラザのマットに、プロレスの本質が浮かび上がる。血と汗と誇りが交錯する斉藤兄弟の物語に、今こそ注目すべきだ。
<写真提供:全日本プロレス>
Pages 1 2