【新日本】マスター・ワトがエックスを撃破し『BOSJ』Aブロック首位戦線に踏みとどまる「3冠王者になろうと、そういう夢が俺自身あります」

新日本プロレスは5月20日、群馬県高崎市のGメッセ群馬にて『BEST OF THE SUPER Jr.32』第7戦を開催した。
『BEST OF THE SUPER Jr.32』
日時:2025年5月20日 (火) 17:30開場18:30開始
会場:群馬・Gメッセ群馬
観衆:842人
大会はいよいよ後半戦に突入し、Aブロックでは3勝2敗で5選手が首位に並ぶという混戦模様。その均衡を破る一戦として注目を集めたのが、メインイベント(第9試合)で行われたマスター・ワトとロビー・エックスの一騎打ちであった。
両者はともに3勝2敗で今シリーズを折り返しており、この一戦の結果が優勝戦線への生き残りを大きく左右することは明白だった。ワトにとっては、既にジュニアタッグ王者としてベルトを保持する立場から、“次なる高み”を目指す道のりの中にこの公式戦が位置づけられていた。
一方のエックスは、今シリーズ初出場ながらも勢いに乗って勝ち星を重ねており、名実ともに台風の目となりつつある存在であった。
試合は序盤から静かに火花を散らす形で幕を開けた。互いの間合いを測るようなロックアップから始まり、徐々にペースを上げる展開へ。ワトが先手を取れば、エックスは鋭い反応で返す。両者の技量が噛み合う中、次第に攻防は激しさを増していった。
中盤、ワトが得意とする空中技で流れを引き寄せたかに見えたが、エックスもラフな攻撃を織り交ぜて対抗。場外戦では、ワトを豪快に放り投げ、さらには顔面へのかきむしりやフットスタンプといった執拗な攻めでダメージを蓄積させていく。リングに戻してからも、エックスは一瞬の隙を突いてワトの体勢を崩し、決定打を狙う。
しかし、ワトは終盤にかけて底力を発揮する。スワンダイブ式エルボー、トペ・コン・ヒーロと立て続けに繰り出し、再び主導権を奪い返した。試合終盤には互いの得意技が交錯。ワトがレシエンテメンテで勝負を決しようとすれば、エックスはカウンターのトラースキックやハンドスプリング式のカッターで対抗。まさに一進一退の攻防が続いた。
だが、最後に勝利を掴んだのはワトだった。執念の通天閣ジャーマンに続き、必殺のレシエンテメンテⅡを突き刺すと、エックスの身体からついに3カウントを奪取。終始意地のぶつかり合いとなった一戦を制し、通算成績を4勝2敗とした。
<試合結果>
▼メインイベント(第9試合) 30分1本勝負
『BEST OF THE SUPER Jr.32』Aブロック公式戦
マスター・ワト 〇(4勝2敗=8点)
vs
ロビー・エックス ×(3勝3敗=6点)
17分13秒 レシエンテメンテII
試合直後、勝ち名乗りを受けたワトは、すでに帰り始めていた観客に向けて「ちょっと、もう少しだけ待ってもらえますか」と呼びかけ、笑いと拍手を誘うと、「今日はみなさま、ご観戦ありがとうございました」と感謝の言葉を述べた。
続けて、「残ってくれたみなさまに宣言したい」と切り出すと、場内がどよめく中で高らかに宣言。「去年できなかった連覇。今年は飛び石になりますけど、優勝するのは俺です!」とBOSJ制覇への強い意志を表明した。
さらに、現在保持しているIWGPジュニアタッグ王座に加え、「もう一つ必要なもの」として、エル・デスペラードが巻くIWGPジュニアヘビー級王座の名を挙げ、「この『SUPER Jr.』を優勝してチャンスをつかんで、あなたの元にたどりつきたい」と挑戦の意思を明確にした。
ワトは最後に、「全国の会場も東京ドームも超満員にして、ここから最高の景色を見たい。新日本プロレスを最高のものにするのは俺たち新日ジュニア。その中心にいるのは、俺だ!」と声を張り上げ、代表選手としての自負と決意をあらわにした。
そして「I Will Be The GrandMaster!!」とおなじみのフレーズで締めると、IWGPジュニアタッグ王座のベルトを掲げながら、ファンと触れ合いつつリングをあとにした。
試合後、勝者のワトは「『SUPER Jr.』出てるからには、狙うのはもちろん優勝です。1度優勝してるからと、(もう優勝しなくていいなんて)そんな気持ちは一切ないです」と語り、ジュニアの頂点にもう一度立つという明確な目標を言葉にした。
さらに「IWGPジュニア(挑戦)のチャンスをつかんで、この素晴らしい『SUPER Jr.』(優勝)の称号も持って、IWGPジュニアのシングルを巻いて、そしてともに、このIWGPタッグのベルトとともに、3冠王者になろうと、そういう夢が俺自身あります」と、自身が掲げる“トリプルクラウン構想”を堂々と宣言。すでにタッグのベルトを所持している今、このシリーズでの優勝はその第一歩として極めて重要な位置づけにある。
一方、惜しくも敗れたエックスはリング上に仰向けのまま動かず、悔しさを滲ませた。「デビッド・フィンレーは、ベルトを獲れないなら首を獲れと言った。そして俺はあと少しだった。マスター・デ●ックヘッド・ワトの首を獲るまでな」と語りながら、床を激しく叩き「クソ、クソ、クソッ!」と連呼。怒りと無念を露わにしながら「もう話したくない。次だ次」と言い残し、控室へと姿を消した。
混戦のAブロックで一歩抜け出したワト。ジュニアの覇者を目指す道のりは険しいが、この日の勝利はその足場を大きく固める一戦となったことに疑いはない。
<写真提供:新日本プロレス>
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