【リアルジャパンプロレス】レジェンド王者・大谷晋二郎インタビュー 負傷欠場に追い込まれた因縁の相手・船木誠勝と9ヵ月ぶりに再戦! 「僕の身体を壊した船木選手の蹴りに怖さはないです」

大谷晋二郎は昨年のリアルジャパン9・10有明で船木誠勝と対戦。重い蹴りを食らって脳しんとうを起こしながらも何とか勝利をもぎ取り、レジェンド王座を奪取した。この試合の影響で1ヵ月の欠場を強いられたが、復帰後は自らの頭突きで流血を喫したタカ・クノウ戦(12・7後楽園)、同期対決となった高岩竜一戦(ZERO1の3・26靖国)、強烈なキックを耐えきったスーパー・タイガー戦(4・27後楽園)を潜り抜け、3度の防衛に成功。そして、V4戦として6・29後楽園で船木とのリマッチが決定した。

欠場に追い込まれた因縁の相手との再戦は、大谷にとってもある意味で“雪辱戦”となる。そんな大一番を前に、大谷に現在の心境を聞いた。

■「リアルジャパンでは“戦場”に来たような感覚になる」

――3度目の防衛戦となったS・タイガー戦は激しい試合になりました。ベルトを奪取した船木戦と同じく、きつい蹴りで途中から記憶が飛んだそうですね。
大谷 この団体に来ると、なんでか記憶が飛ぶことが多いんですよ。でも、記憶が飛んだ試合で全部勝ってますから。気付いたら、僕の元にベルトがあるという。本当にここの団体で戦うと、「ベルトを奪い取った!」「命懸けで守った!」という気持ちになります。試合後には「死に物狂いで戦った」という思いが感じられますよね。カッコ良く言えば、リアルジャパンで戦う時は“戦場”に来たような感覚になります

――試合後、S・タイガー選手について「タイガーを名乗るには相応しい相手」だとおっしゃっていましたね。
大谷 これは戦ってみて本当に思ったことです。僕が考えていたS・タイガー像を……これは強がりじゃなく、遙かに超えていたんで。僕もプロレスファンですから、タイガーと名の付く仮面を被る選手のプレッシャーはわかりますからね。

――試合中に顔面ウォッシュを2回も繰り出しました。普段から立て続けに連発することはありますが、間を空けて出したのは初めてじゃないですか?
大谷 これも不思議なもんで、「ウソ!?」って思うかもしれないですけど、僕に2回出した記憶がないんですよ。2回目に出した時も、僕は1回目だと思って出しているんです。

――作戦としても、試合の組み立てとしても、ありえない動きですからね。それだけガムシャラにやっていたと?
大谷 終わった後、いろんな人に「珍しいね」と言われましたけど、「何のこと?」って。あの時は頭が完璧に飛んでいたんで、周りに言われて初めて「2回目だったのかも?」と思ったんです。だから、間違いなくS・タイガーが出させたんですよ。いい意味で、みんなの期待を裏切ることがこのリアルジャパンのリングでは起きる気がします。「こういう試合になるんだろうな?」「こういう結果になるんじゃないかな?」というものを毎回僕自身も裏切られるんですよ。タカ・クノウ戦だってあんな内容になるとは思ってませんでしたから。

――グラップリング世界王者のクノウ選手がまさかのスワンダイブ攻撃を出したけれど失敗してしまい、その気持ちに応えようした大谷さんが頭突きを入れたら、自ら流血してしまって。
大谷 でも、その思ってもみない展開をプラスにできるエネルギーがこのリングにあるような気がします。そういったハプニングをプラスにする、マイナス面をプラスにするエネルギーが。ただ、それが一番発揮されるのは、僕がベルトを巻いている時じゃないかと。そう勝手に僕は解釈してます。だからこそ、誰が何と言おうと、あのベルトは僕が持っていかなければいけない気がするんですよね。

――S・タイガー選手は試合後に大谷さんのチョップから故・橋本真也さんを感じたと言ってました。
大谷 僕は橋本真也を感じさせてやろうと思ってやっているわけではないです。でも僕がフィニッシュにしている袈裟斬りチョップにしても、イヤというほど食らってきたし、イヤというほど見てきました。だからこそ、僕は今、フィニッシュに使えているんだと勝手に思っているんですね。そういった意味で、橋本真也を感じたんであれば、間違いないのかなと。僕が橋本真也を感じさせようという気はないですけど。


■「変な遠慮はしないでほしい。あるがままの船木誠勝の蹴りを受け止めます」

――そんな激闘を経て、迎えた4度目の防衛戦の相手は船木選手になりました。9ヵ月ぶりの再戦となります。改めて前回の試合を振り返ると、船木選手の印象はどうでしたか?
大谷 誰もが認める実力を持っているし、いろんなものを集約して僕は「強い」と思いました。だからこそ、この人にちゃんと記憶がある中で勝った時に、プロレスラーとしても、人としても成長ができる気がするんですよね。それで、ちょっとひねくれた言い方になるけど、敬意を表して、「僕の成長の踏み台になってもらいます」と会見で言ったんです。

――前戦では船木選手の蹴りを食らって首を痛め、1ヵ月間の欠場を余儀なくされました。そんな選手と戦うことに怖さはないんでしょうか? デットボールを受けた野球選手はバッティングフォームを崩すなんて言いますし、交通事故にあうと、車が運転できなくなるなんて話もありますが。
大谷 これは信じられないかもしれないですが、僕はまた食らってみたいんです……なんて言うのは変かもしれないですけど。あの試合で脳しんとうを起こして、試合の途中に右足と右腕がまったく動かなくなったんです。そんな中でスープレックスをかけたら、変な形になってしまったんですね。そこまで僕の体を壊した蹴りはどんなもんなんだろうかと。あの日の試合をほとんど覚えてないんで、その蹴りをもう1回食らって、壊されるほどの男なのか? それとも次こそは受けきってみせる男なのか? それを計ってみたいなって。怖さはないんです。食らいたくないとか、そういう気持ちは一切ないです。

――大谷さんが欠場したのもかなり珍しいことですよね。
大谷 プロレスラーになってもう25周年になるんですけど、1ヵ月の欠場ってほとんどないんです。欠場したのって、新日本時代に北朝鮮で鼻骨骨折した時と、ZERO1で肩を骨折した時と、それぐらいしか覚えてないんですよね。

――2008年に肩を負傷した時も欠場は1ヵ月ほどでした。
大谷 だから、長期欠場はほとんどないんですよ。そこまでしてくれた船木誠勝、さあ、今一度それができるならやってみろと。ないとは思うけど、変な遠慮はしないでほしいですよね。あるがままの船木誠勝の蹴りを受け止めて、そして僕は記憶がハッキリした状態で、ギブアップないし3カウントを奪ってベルトを防衛したいですね。

――1ヵ月欠場している間に、初出場初優勝を目指していたZERO1の天下一ジュニアトーナメントやBASARAのタッグトーナメントも不参加になってしまいました。やはりその悔しさもありますか?
大谷 もちろんありますよ。試合がなくても会場に毎回行って、選手の頑張っている姿を見ていました。長期欠場の経験がほとんどないから、戸惑ったというのは正直な気持ちですね。試合ができない状況で会場に行く。イメージ的には、本当にデビューしたばかりのヤングライオン時代ですよ。大谷、高岩、石澤、中西、永田、小島、天山、西村、金本……そんな人間たちがオープニングマッチ2試合の枠を争っている時代まで遡りました。会場に行っても「ああ、試合がない……」っていう悔しさ。それに懐かしい感じさえしましたから。そういう新鮮な気持ちを思い返させてくれた意味では、逆に感謝もあるかもしれないです。

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