新日本プロレス「ジュニアの祭典」で存在感を示した”ファンキーウェポン”田口隆祐

新日本プロレス「ジュニアの祭典」BEST OF THE SUPER Jr.32(BOSJ32)も終盤戦。優勝決定戦(6月1日、東京・大田区総合体育館)に向け、激しい攻防が展開されている。
多士済々が参戦し、日本列島を熱くさせたサバイバルレースだが、注目を集めるのが「ファンキーウェポン」田口隆祐だ。
ベテラン戦士らしい戦略を駆使したかと思えば、尻爆弾など独特の戦法を繰り出すなど存在感はバツグン。変幻自在に相手を翻弄する勇姿は「後藤革命」ならぬ「タグチ・レボリューション」である。
DDTの刺客・MAOとの「変態対決」では、尻をめぐる攻防などで客席を魅了した。
IWGPジュニアヘビー級王者エル・デスペラードとの新旧王者対決では、ストロングスタイルで手に汗握るファイト。敗れたものの王者に「タイトルマッチできるよな」と、その実力を改めて認めさせている。
5・25愛知・名古屋大会ではロビー・イーグルスと激突。前日のデスペラード戦で痛めた左足を狙われ苦戦したが必死に粘った。最後はイーグルスのハイベリオンに3カウントを奪われ3勝5敗。残念ながらリーグ戦敗退が決まった。
田口の2012年以来、2度目のBOSJ優勝は夢に終わった。同期の後藤洋央紀はIWGP世界ヘビー級王座に君臨し「後藤革命」をアピールしている。2人はヤングライオン時代からライバルだったが、実は若手時代には、端正な顔立ちにサッカー、レスリングを経験してきたポテンシャルを誇る田口を推す声が大きかった。
ただ早くから田口は「僕はジュニアの頂点を目指す」と繰り返していたように、自分の道をしっかりと見定めていた。
ヤングライオン杯優勝、IWGPジュニアタッグ王者、IWGPジュニアヘビー級王者、BOSJ優勝…と着実に成果をあげてきた。
プリンス・デヴィットとのアポロ55では、一時代を築き上げた。人気、実力を兼ね備えたチームであり、そのコンビネーションプレー、合体攻撃でこれぞジュニアの魅力を存分に発揮してくれた。
中でもゴールデン☆ラヴァーズ(飯伏幸太、ケニー・オメガ)との抗争はし烈を極めた。ヘビー級バトルにも負けないド迫力。2010年のプロレス大賞でベストバウトに輝いた。ジュニアしかもタッグ戦での最優秀試合賞は珍しい。
ちなみに他の3人はヘビー級に転向し、全員が大成功している。「田口も…」と期待する声もあったが、あくまでジュニアにこだわり続けている。
タグダンス、サムライジムの看板を巡るやり取り、「オーマイ&ガーファンクル」など自由過ぎる発言、マスクドホースへの化身、「タグチジャパン」の監督、加えて「道標明」…次から次へと話題を振りまいている。
昨年、バイクの前に飛び出してきた犬を避けるために転倒。大けがを負ってBOSJ31など長期欠場に追い込まれたが、犬を救うためにとっさの行動をとった田口に賞賛の声が上がった。
実は若い頃から将棋が趣味で、理論的な思考を得意としている。しかも冷たい感じはせずソフトで優しい。
どんな相手にもうまく合わせられる頭の良さと柔軟さは、リング上はもちろんのこと、リング外でも発揮。機転が効き、口調も穏やかで、時々はやんわりシモネタも披露。田口に会った人は魅了される。
さまざまな話題で新日本マット、いや日本プロレス界をにぎわせてきた田口隆祐。後藤革命に負けじとタグチ・レボリューションを成しとげてほしい。
<写真提供:新日本プロレス>
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