なつぽい&安納サオリの10周年は、女子プロレスのトレンドが生まれた日から10年

【WEEKEND女子プロレス♯65】

 いまから10年前の2015年5月31日、東京・新木場1stRINGでおこなわれた興行がその後の女子プロレス界のトレンドを生むことになるとは、いったい誰が予想できただろうか? あの日を起点に、女子プロ界の流れは大きく変わった。この大会では、万喜なつみ(現・なつぽい、以下なつぽいに統一)、安納サオリ、本間多恵、角田奈穂、播磨佑紀(現・相羽あいな)らがプロレスデビュー。女優とプロレスを兼任する新プロジェクト、アクトレスガールズがスタートを切ったのである。

 その後、アイドルを夢見る女の子や芸能関係からの参入が多くなり、一時の低迷期に比べればレスラー志望者も増加した。いまでは主要団体のほとんどでアクトレス出身者が主力として活躍していると言っても過言ではないだろう。現スターダムのなつぽいと安納は、その筆頭だ。だからこそ、あれから10年となる今年の5月31日に東京・大田区総合体育館にて開催される“なつぽい&安納サオリ10周年記念興行”「なつ&さおりー 来たよ。来たね。10周年~うちらの足跡~」にはビッグマッチに値する、大きな意味があるのだ。

     

 そもそも、なつぽいと安納はプロレスに関わる以前から顔見知りだった。両者の足跡をなつぽいに振り返ってもらおう。

「私とサオリは舞台の現場で最初に会っていたんですよ。もちろん、プロレスのプの字もない頃です(笑)。舞台で共演させていただいていて、私にとっては、かわいがってくれるお姉ちゃんみたいな存在でした」

 その2人がどちらも偶然、プロレスに誘われる。なつぽいは当然のように、最初は断っていた。どこからどう見ても、プロレスをやるような雰囲気ではない。自分でもよくわかっていたのだ。

「私は女優さんになるんだからやりませんと逃げ回ってました。ただ、一度見てみてと言われて後楽園ホールに連れていかれたんですよ。そのときの試合がスターダム。でもそのときは団体の認識はなくて、ただプロレスというものを見た感じでしたね。それでも初めてのプロレスでこういう世界もあるんだと知って、じゃあやってみようかと思ったんです」

 とはいえ、スターダムはアクトレス側からすれば紹介目的の参考資料ということなのだろう。ゼロからスタートする新人による新しい世界観の構築が最大のテーマ。そして何人かの候補生が練習場に集められた。そのとき、なつぽいは安納の存在に気づいたのだ。

「練習場に行ったときに、あのとき共演したサオリさんがいたんです。そこで『お願いしまーす!』みたいな感じであいさつして、舞台の顔合わせみたいな感覚で練習が始まったんですね。練習は追い込むというよりも楽しくやるという感じでした。受け身も取れてない状態なのに、自分ではできてると思ってるくらいでしたから(苦笑)」

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