【新日本】後藤vs鷹木が前哨戦で火花!鷹木「俺が欲しいのはIWGP世界ヘビーだけだ!」後藤「焦ってるのか?今こそ、トランキーロだぜ!」

新日本プロレスは6月1日、東京・大田区総合体育館にてジュニアの祭典『BEST OF THE SUPER Jr.32』最終戦を開催した。
通算32回目を数えるこのシリーズは、新たな才能の登場によって節目を迎える大会となった。
『BEST OF THE SUPER Jr.32』
日時:2025年6月1日 (日) 17:00開場18:30開始
会場:東京・大田区総合体育館
観衆:3,044人
第7試合では6月15日の大阪城ホールにてIWGP世界ヘビー級王座を懸けて激突する、現王者・後藤洋央紀と挑戦者・鷹木信悟が、それぞれタッグを組んで向かい合った。
王者・後藤はこの日、田口隆祐と組み、ベルトを肩に入場。表情は静かでありながら、宿命の一戦を前にした覚悟が見え隠れしていた。一方の鷹木は、高橋ヒロムとタッグを結成。いずれも無所属という“野に放たれた者たち”による共闘である。
序盤から組み合った後藤と鷹木は、長年の経験に裏打ちされた骨太な攻防を繰り広げた。互いに牽制を交えつつ、過剰な感情表現は見せず、しかしその奥には確かな火種があった。
試合は終盤に向けて激しさを増し、最終的には鷹木が田口に必殺のバーニング・ドラゴンを炸裂させて勝利。大阪城への勢いを持ち込む形となった。
<試合結果>
第7試合 30分1本勝負
田口 隆祐 ×
後藤 洋央紀
vs
高橋 ヒロム
鷹木 信悟 〇
9分10秒 バーニングドラゴン→片エビ固め
試合後、マイクを握ったのは勝者・鷹木だった。
「後藤、やり足りねえよ。6.15大阪城ホールでは、とことんやり合おうぜ!」
叫びの中に込められたのは、長く続いた孤独の時間、そして“何も持たない男”としての執念だ。
「ベルトもない! 嫁も子供もいない! ユニットもない! だが、それでいい。俺が一番ほしいのは、そのIWGP世界ヘビーのタイトルだ!」
自身を“無所属”とあえて強調した鷹木。かつてロス・インゴベルナブレス・デ・ハポンという人気ユニットを支えた中心選手は今、団体におけるポジションを自ら捨ててでも、王座への執着を前面に押し出す。その言葉は、観衆の胸にも突き刺さった。
だが、そこに即座に応じたのは後藤だった。
「鷹木、焦ってるのか?今こそ、トランキーロだぜ!」
“後藤革命”を掲げる王者は、挑発的に余裕を見せつつも、鋭い眼差しを崩さなかった。
「大阪城ホール、後藤革命を止めてみろよ!」
その言葉は挑戦者に対する警告であると同時に、自身の背負う王者としての覚悟の現れでもあった。
試合後、バックステージで鷹木は「マイクも負けた」と苦笑交じりに語った。しかし、それは敗北宣言ではない。
「焦ってるに決まってるだろ! だが欲しいのはIWGP世界ヘビー、それだけだ」
2022年の東京ドーム大会での敗北から数えておよそ3年半。今回は正規王者とのタイトルマッチであり、かつてとは違う意味を持つ。
「前回は王座決定戦だった。今回はチャンピオンから直接奪う。まさに運命だ。これぞ“鷹木式デスティーノ”じゃねぇか」
“無所属”という不安定な立場でありながら、それでも鷹木は、新日本プロレスのリングで生きることを選んでいる。敗れれば、鷹木信悟の2025年は終わる――その強い言葉は、自身を追い込み、リングで輝かせる手段でもある。
一方、高橋ヒロムのコメントもまた印象深いものだった。『BEST OF THE SUPER Jr.』で優勝決定戦進出を逃し、この日も敗北を喫したヒロムは、語り口こそ軽妙だが、胸中は穏やかでなかった。
「無所属のままレスラー人生が終わるかもしれない。一生、独りぼっちかも」
ロス・インゴ解体後、明確な立ち位置を持たぬまま闘い続けるヒロムは、どこか居場所を探しているようでもある。それでも簡単にユニットを組むことはせず、自分の在り方を模索し続けている。
王者・後藤は、挑戦者の焦りと情熱を真正面から受け止めつつ、冷静に言葉を選んだ。
「重要なのは大阪城ホールの試合が終わった後も、その自信を維持できるかどうかだ」
後藤の発言は、鷹木を単なる敵とは見ていない。むしろ、認めたからこそ挑発する。後藤革命とは、試合の勝敗ではなく、覚悟を持つ者だけが未来を創るという信念なのかもしれない。
「奪えるものはいただいとくぜ」
静かに語られたその一言の中に、王者としての気骨がにじんでいた。
大阪城ホールで行われるIWGP世界ヘビー級選手権は、45歳と42歳の“オッサン”同士による頂上決戦となる。それを揶揄ではなく、誇りとして語る鷹木の言葉には、現在の新日本プロレスの魅力が凝縮されている。
「これぞプロレス、これぞ新日本プロレスという闘いを見せてやる」
ジュニアの華やかさや、セミの勢いに負けない重厚な一戦。新日本の屋台骨を担う二人が、6月15日、大阪城でその真価を問う。
その闘いは、過去ではなく“今”を証明するものであり、未来への礎となるだろう。
<写真提供:新日本プロレス>
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