【全日本】地元・宮城で斉藤ブラザーズが史上初兄弟による三冠戦は兄ジュンが壮絶激戦の末に弟レイを撃破しV4!鈴木秀樹が次期挑戦を表明

全日本プロレスが誇る“春の祭典”チャンピオン・カーニバル2025の熱狂を経て、5月某日、仙台サンプラザホールで開催されたビッグマッチでは三大タイトルマッチが揃い踏み。その頂点に位置づけられたメインイベントは、斉藤ジュン対斉藤レイ、兄弟による史上初の三冠ヘビー級選手権試合となった。
「スーパーパワーシリーズ2025」宮城・仙台サンプラザホール
日時:2025年6月1日(日)開場時間13:00開始時間14:00
会場:仙台サンプラザホール
観衆:2,239人
舞台は、2人の故郷・宮城。観客は、地元出身の兄弟レスラーがついに三冠王座を懸けて激突するこの一戦に、固唾をのんで見守った。
斉藤ブラザーズは2021年6月9日にプロレスデビュー。以降、共に歩んできた道は時に並走し、時に交錯し、そしてこの日、最大の交差点を迎えた。三冠王者のジュンは昨年末に王座を戴冠。これまで安齊勇馬、青柳優馬、宮原健斗といった実力者たちから王座を守り抜いてきた。一方のレイは、開幕3連敗から怒涛の快進撃を見せ、チャンピオン・カーニバル初優勝を達成。その勢いをそのままに兄への挑戦を表明した。
試合は、まさに“魂のぶつかり合い”だった。
同じ音楽に乗って順に入場し、国歌斉唱には地元番組の顔でもあるさとう宗幸氏が登場。兄弟のリングコールが終わると、ふたりは感情を内に秘めたまま、視線を交錯させた。表情に迷いはない。1本のベルトを賭けた、譲れぬ闘いが始まった。
序盤から体格を活かした肉弾戦が展開され、ジュンのタフネスにレイが真っ向から応じた。場外戦では互いの応援グッズを奪い合う一幕もあり、意地と意地が激しく衝突した。長年培ってきた信頼が根底にあるからこそ、遠慮も妥協も一切なかった。
中盤からは両者に疲労の色が見え始めたが、それがむしろ観る者の胸を打った。互いの攻撃に対し、何度も立ち上がる姿に観客は声援を惜しまなかった。レイが得意技・BBQボムを決めるも、ジュンは土壇場でキックアウト。逆にジュンが放ったDying Lightをもレイが跳ね返すなど、勝負の決着は予測不能だった。
試合時間が20分を超え、両者が限界に近づく中で、最後に勝負を分けたのは、執念だった。ジュンが2発目のDying Lightを打ち込むと、ついにレフェリーの手が3つ叩かれ、激戦に終止符が打たれた。
<試合結果>
▼メインイベント 三冠ヘビー級選手権試合 60分1本勝負
<第75代王者>斉藤ジュン 〇
vs
<挑戦者>斉藤レイ ×(チャンピオン・カーニバル2025優勝者)
23分07秒 Dying Light→片エビ固め
※第75代王者・斉藤ジュンが4度目の防衛に成功
ジュンが勝者として立ち上がったが、リングを去ろうとするレイを呼び止めた。「プロレス誘ってくれてありがとう」。その言葉に、兄弟の間に流れる深い絆と、戦い終えた者だけに許される感情がにじんでいた。握手を交わす姿に、会場からは惜しみない拍手が送られた。
しかし、感動の余韻を切り裂くようにリングに姿を現した男がいた。鈴木秀樹――チャンピオン・カーニバルでジュンを打ち破った宿敵が、次なる挑戦者として名乗りを上げた。
「オマエの三冠ベルトに“挑戦”はしない。獲りに来たんだよ」
不敵な笑みと共にベルト強奪宣言を突きつけた秀樹に対し、ジュンもまた即答した。
「喜んで受けてやるよ。鈴木秀樹DOOM!」
そのやり取りは、兄弟の決着が全日本プロレスの新たな章の幕開けを予感させた。
試合後、バックステージでのやりとりは、試合の壮絶さとは裏腹に柔らかな空気が流れた。ジュンは「地元で兄弟で三冠戦ができて最高に楽しかった」と語り、レイは「チャンピオンとしてのオマエに負けた」と兄の強さを潔く認めた。
最後は、話題となっているスイーツ「わらび餅ドリンク」で乾杯するシーンで締めくくられた。勝者として甘い一杯を味わいながらも、ジュンは次なる挑戦者との戦いを見据え、こう語った。
「こうして地元で兄弟で三冠戦ができるのは、オレは絶対に忘れないだろう。そして必ずまたやりたいと思う。そしたら次は鈴木秀樹、オマエとだ。必ず防衛してやるよ。DOOM!」
血を分けた兄弟が魅せた一夜限りの大一番。その先に待つのは、試練か、それともさらなる伝説か。斉藤ジュンの“王道”は、まだ終わらない。
<写真提供:全日本プロレス>
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