【SSPW】大仁田厚、追悼の場で“邪道”貫徹!間下の電流爆破要求を受諾「いつでも電流爆破のリング用意してやる、来いや!」

故・新間寿氏の名を冠した追悼興行が6月12日、後楽園ホールで開催され、会場には多くのプロレスファンが詰めかけた。
主宰は初代タイガーマスク・佐山サトルが率いるストロングスタイルプロレス。
かつて“過激な仕掛人”として昭和プロレスを陰で支えた男への鎮魂の場にふさわしく、団体の枠を超えた闘いが繰り広げられた。
その中でも、異彩を放ったのが第4試合のタッグマッチであった。“邪道”大仁田厚が雷神矢口と組み、間下隼人、関根“シュレック”秀樹のコンビと激突。
通常ルールの試合とされていたが、開始前からリング周辺には有刺鉄線ボードやバット、椅子などの凶器が並べられ、異様な空気が漂っていた。
ゴングが鳴る直前、大仁田が間下に緑色の毒霧を浴びせかけて試合が強引にスタート。
以降は場外乱闘を含むハードコアスタイルへと雪崩れ込み、まさに「ルール無用」の様相を呈した。かつてFMWでデスマッチ文化を確立した男の流儀が、新間氏を送り出す場に持ち込まれた。
関根がパワーを活かし反撃の糸口を探ったが、凶器攻撃の波状攻勢には及ばず、試合は大仁田組が終始主導権を握る展開に。
終盤、間下が有刺鉄線ボードの上に叩きつけられ、レフェリーのカウントが3つ入ると場内は騒然となった。
勝利後、大仁田はマイクを手にし、こう語った。
「僕は新間さんと亡くなる3、4日前に話ししました。今日は新間さんのために多くの人が集まっていただいてありがとうございました!」
興行全体を総括するような感謝の言葉の後、マイクは敗れた間下に向けられた。
「間下、間下、間下、間下、間下…お前はストロングスタイルプロレスを支えていかないといけない人間だ、頑張れよ」
かつての“敵役”が今は“継承者”を鼓舞する立場にある。間下もその意を受け止め、リング上で声を張り上げた。
「アンタと電流爆破がしたいんじゃ」
明確な挑戦表明に続き、パートナーの関根も熱を帯びた口調で加勢する。
「負けたままじゃ終われないやってやるよ」
これに対し、大仁田は一切の迷いなく受けて立った。
「いつでも電流爆破のリング用意してやる。来いや!」
こうして、故人を偲ぶ場でありながら、また新たな火種が撒かれることとなった。
ストロングスタイルという名の団体で、ルール破りの邪道スタイルを貫く大仁田の存在には、賛否両論がある。
しかしその闘志、そのメッセージには確かに、プロレスが持つ“生き様”の部分が凝縮されている。
新間寿という名プロデューサーが愛した「プロレスの熱」。それが、形式を問わずにしっかりと宿っていた夜だった。
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