【新日本】IWGP GLOBAL王座に新時代の風、ゲイブ・キッドが辻陽太との再戦制し初戴冠!次期挑戦者に棚橋弘至を指名「ファイナルロードか?いくぞ、シャチョー!」

新日本プロレスが6月15日、大阪城ホールにて開催した『DOMINION 6.15 in OSAKA-JO HALL』。5大タイトル戦の一角として組まれたセミファイナル、第8試合では、IWGP GLOBALヘビー級王者・辻陽太が、因縁の相手ゲイブ・キッドとの再戦に臨んだ。

『DOMINION 6.15 in OSAKA-JO HALL』
日時:2025年6月15日 (日) 14:30開場16:00開始
会場:大阪・大阪城ホール
観衆:6,525人

舞台は2月の大阪でドローに終わった一戦と同じ地。決着戦を求めた両者の意地と誇りが火花を散らした。王者としての責任を背負いながら、L・I・Jから離れ“無所属”として臨んだ辻に対し、ゲイブは「ニュージャパンを背負う」と宣言した覚悟の男。この一戦が、新日本の新世代を象徴する闘いとなった。

序盤から予想を超える激しさで火蓋が切られる。ゴングと同時にゲイブが張り手を見舞い、バックドロップで場外に叩き落とす。続けざまのトペ・コンヒーロが会場の空気を一気に引き締めた。辻も負けじと場外でのフォスベリー・フロップを披露し、互いに譲らぬ攻防が続く。

試合中盤、エルボーやチョップの打撃戦は激しさを増し、両者ともに顔を歪めながらも一歩も引かず応酬を繰り返す。辻がショルダータックルで攻勢に出れば、ゲイブは串刺しラリアットやエクスプロイダーで巻き返す。ジャーマンスープレックスやトラースキック、セントーンにパイルドライバー――互いの持ち札が乱れ飛ぶ中で、試合はどんどん深みにハマっていった。

辻はマーロウクラッシュ、カーブ・ストンプと連続でたたみかけたが、ゲイブは執念でキックアウト。ゲイブはパイルドライバーから逆エビ固め、そして「立ってこい!」と叫びながら張り手で追い込んでいく。辻も「ナメテンノカ!」と叫び返し、フェイスクラッシャー、再びのカーブ・ストンプ、さらにはジーンブラスターを叩き込むも、勝負は決まらない。

終盤、両者の動きが止まりかけた瞬間にも、気力だけで立ち上がり攻防を繰り返す。最後にゲイブが起死回生のO-KNEEを狙うが、辻はポップアップニーで迎撃。しかし、最後に勝敗を分けたのは、一瞬の読みとタイミングだった。カウンターのジーンブラスターを受けたゲイブが、倒れながらもデスライダー、そしてレッグトラップ・パイルドライバーに繋げ、ついに辻を沈めた。

<試合結果>

▼セミファイナル(第8試合) 60分1本勝負
IWGP GLOBALヘビー級選手権試合
<第4代チャンピオン>
辻 陽太 ×
vs
<チャレンジャー>
ゲイブ・キッド 〇
23分25秒 レッグトラップ・パイルドライバー→体固め
※辻が5度目の防衛に失敗。ゲイブが新チャンピオンとなる

新王者となったゲイブは、倒れ込んだまま歓喜の表情も見せず、大の字となる辻の傍らでしばし動けなかった。勝ち名乗りを受け、ようやく立ち上がったゲイブは、ベルトを胸に抱きながらマイクを取る。

「辻、待て、待て、待て。新日本プロレスの90年代は、ハシモトとムトー。2000年代はタナハシとシンスケ。10年代はオカダ、ケニー。そしていま、20年代は、辻陽太、ゲイブ・キッド!」

世代の名を継ぐ者として、自身と辻の名を並べたゲイブは、続けて自らの苦難にも触れた。「みんな新日本の王者が英語をしゃべっても怒らないか?いや、真面目に話そう。俺に何があったか、それは公の事実だ。俺が直面してきた苦難について。 精神科に入院して、もう生きることも諦めるところだった。でもな、そんなの今は関係ない。なぜってそれは俺が今、IWGP GLOBALヘビー級王者だからだ!」と叫んだ。

そしてリング上では、次なる挑戦者として棚橋弘至を名指し。「ファイナルロードか?いくぞ、シャチョー!」と挑発を交えつつ、覚悟の拳を突き合わせた。棚橋もまた、この流れに応じる形でリングイン。新王者に敬意を表しながら、短くも重みのある睨み合いを残し、リングを後にした。

■試合後バックステージコメント

ゲイブ「正直に言う。何が起きたか憶えていたかったけど、あのトップロープからのセントーンで記憶が飛んでしまった。自ら進んでやったにも関わらず、後はおぼろげな記憶しかない。凄え旅路だったよ……(※と言って鼻を啜る)これは母に、そして故郷の友人に捧げる。クレイグ、デイブ、ショーン、ベイ、彼女に……俺を信じてくれた皆に捧げる。

俺はプロレスラーかもしれない。俺は最高のプロレスラーかもしれない。実際、俺は最高のプロレスラーだ。でも俺は人間でもある。皆それぞれ、毎日苦しいことがある。今日の観客の中にも、俺よりもクソみたいな経験をしてきた人が必ずいると思う。この2~3年は人生で一番辛い時期だった。

でもリングで言っただろう。リングで言ったように、そんなこと何一つと関係ない。今、重要なことは俺が王者であるということ。この会社を牽引するのは誰かという答えを出しただろう。俺はずっと分かっていた。野毛道場を初めて訪れた日から、LA道場へ行った時から、俺はずっとその存在が俺であることを知っていた。ずっと。これ以上の瞬間はない。

これを見てる人にも俺の今の気持ちを経験してほしい。決しておぼろげじゃない。これは純粋な喜びの気持ちだ。純粋な喜び。いろんな苦難もあったけど、いろんな辛い経験をしてきたけど……俺、やったぜ。自分で自分を褒めたいよ。(※目の前に置かれた缶ビールに手を伸ばして)俺にはもうこれは必要ない。酒は辞める。俺には責任があるんだ。自分の責務でもなく、WAR DOGSとしての責務でもない。これは会社を背負うという責務だ。

だから俺に必要なのは(※自分の胸を指差し)これと(※頭を指差し)これだけだ。そしてトップロープからのセントーンはもう封印しないとな。バカげたことをした。俺は頂点に立つ男で、新日本プロレスを牽引して行くんだ。(※日本語で)イジョー!」

辻「(※嘉藤の肩を借りて現れると用意されていたイスに座り)ゲイブ、お前はIWGPを背負うのに相応しい人間だ。お前の手でその背中でIWGPを背負ってみろ。気抜くなよ。IWGPはいつも俺の目の前にある、GLOBALだろうが世界だろうが」

激闘の末にタイトルを明け渡すこととなったが、その言葉には挑戦者として再び立ち上がる意志がにじんでいた。新たな王者が誕生した一方で、その座を狙う者たちの闘志もまた、すでに燃え始めている。

IWGP GLOBALヘビー級のベルトは、単なる王者の証ではない。己の過去を背負い、未来を切り拓く者にだけ許される誇りの象徴である。ゲイブ・キッドがその証を握った今、令和の新日本は、また新たな物語の章を迎えることとなった。

<写真提供:新日本プロレス>

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