【ノア】阿部史典『MONDAY MAGIC』鮮烈な初陣!佐々木憂流迦と全身全霊の初遭遇「久々にゾクゾクしたな」

6月16日、東京・新宿FACEで開催されたプロレスリング・ノア「MONDAY MAGIC PRIME TIME season Ep3」のメインイベントにおいて、佐々木憂流迦と阿部史典による注目のシングルマッチが実現した。

ノア初参戦となる阿部にとっては、初のリング、初の対戦相手、そしてメインイベントという三重の初体験。対する佐々木は、“摩天楼の天狗”として培った経験と意地を懸けて迎え撃った。

試合開始直後から、両者は呼吸を探るようなグラウンドでの静かな攻防に突入した。佐々木がアームロックやヒールホールドで攻めの主導権を握れば、阿部は自らの体幹を駆使して脱出を試みる。だが、元UFCファイターの佐々木の関節技は鋭く、阿部の動きを次第に制限していった。

その流れを断ち切ったのは、阿部の一発のビンタであった。張り手から突進、低空ドロップキックへとつなげ、佐々木をロープ際に追い込む。グラウンドに強みを持つ佐々木に対し、阿部はスタンドでの肉弾戦に持ち込むことで打開策を模索した。両者が中央で正面から肘を打ち合う様は、会場を包む緊張を一気に熱狂へと転化させた。

中盤には、阿部がアイルビーバックからバックドロップ風の投げ技を見舞い、さらに伊良部パンチ、サッカーボールキックと連続攻撃を畳み掛けた。ノアのリングで暴れ回るその姿は、初参戦の選手という印象を払拭するに十分であった。

しかし佐々木も黙ってはいなかった。執拗なスリーパーで阿部の動きを封じ、疲弊を誘いながら試合のペースを握り直す。阿部はお卍固めで反撃するが、佐々木はそれを巧みに回避。カウンターの形でスリーパーを決め直し、失神寸前にまで追い込むと、そこから一気にフィニッシュホールドへと移行した。

最後は岩石落としのように決まったバックドロップ・ホールド。3カウントを奪った佐々木が、約14分にわたる激戦に終止符を打った。

<試合結果>

▼メインイベント(第6試合) シングルマッチ
佐々木憂流迦 〇
vs
阿部史典 ×
14分24秒 バックドロップホールド

勝者である佐々木は、試合後バックステージで「ああ、楽しかった。楽しかったっすね。久々にゾクゾクしたな、ちょっと。でも、もうちょっとやりたかったな。何分やりましたかね?まだもうちょっとやりたかっすね。月曜日の魔法、自分自身をね、魔法がかかっているのかわからないけど、レベルアップさせますね。まだ月曜日の魔法続きますよ。来週もね。ちょっと気合い入れて。見る人もちょっと気合い入れて見たほうがいいかもしれないっすね。すごいのが飛んでくるかもしれないですよ」と語り、その表情には、戦い抜いた満足感と、格闘技出身のファイターらしい高揚感が滲んでいた。

一方、惜敗を喫した阿部も、引く様子は一切見せなかった。リングを後にする間際、試合後の握手に応じることなく、逆に佐々木へビンタを見舞い、無言で立ち去るという行動で強烈な印象を残した。

バックステージでの阿部は、自らの立場を率直に語った。

「負けました。NOAHとか初参戦だし、初めてのリングに初めての相手っていうのは、日頃にない刺激をすごい感じて。悔しいんですけど、非常にいい経験値になったなと思いますけど、負けたままでは終わらないんで。自分は必ずやり返すし、自分にはタッグもあるんで。アストロノーツでもいいし、また個人でやり返しに行ったっていいし。まあ、とにかく今日は負けたんで。ありがとうございました」

この発言は、ノア再登場への意志を強く示すものであった。

格闘技とプロレス、異なるルーツを持つ2人の邂逅は、技術の応酬に加えて精神のぶつかり合いでもあった。体格差、キャリアの違い、団体の壁。それらを超えてぶつかり合った2人が、ノアのリングに新たな風を呼び込んだことは間違いない。

「久々にゾクゾクした」と語った佐々木の言葉が、その戦いの価値を何よりも物語っていた。
月曜の夜にかけられた“魔法”は、観客だけでなく、2人の選手にとっても確かな爪痕を残したようだ。

<写真提供:プロレスリング・ノア>

Pages 1 2

◆プロレスTODAY(LINEで友達追加)
友だち追加