【スターダム】Sareeeが朱里を撃破し悲願のIWGP女子王座初戴冠!“太陽神”が32分超の激闘制す「誰に何と言われようが、自分を信じてここまでやってきた」

女子プロレス界に新たな歴史が刻まれた。
6月21日、東京・国立代々木競技場第二体育館で開催されたスターダムのビッグマッチ『STARDOM THE CONVERSION 2025』にて、Sareeeが朱里との死闘を制し、悲願のIWGP女子王座を初戴冠。“太陽神”の異名を持つ実力者が、その存在を再び世界に示した。
『STARDOM THE CONVERSION 2025』
日時:2025年6月21日(土)
会場:東京・国立代々木競技場 第二体育館
観衆:2,521人
©STARDOM
この日の一戦は、3月に行われた自主興行『Sareee-ISM』で30分時間切れ引き分けに終わった両者の再戦。
互いに譲れぬ因縁を胸に、再びリング上で拳を交えることとなった。
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ゴングが鳴ると、開始直後から両者は一歩も譲らぬ攻防を展開。
エルボー、キック、投げ技、そして場外での容赦ない攻め合い。試合は序盤から激しさを増し、観客を緊張感で包み込んだ。
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朱里はMMA仕込みの打撃と関節技を駆使して主導権を握りかけるが、Sareeeも執念の反撃を見せる。
互いにヘッドバットを応酬する場面では、場内に鈍い音が響き渡り、両者はダブルノックダウン。
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満身創痍の状態ながらも19カウントで奇跡的にリングに戻る姿に、場内からはどよめきが起きた。
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終盤、朱里が放ったエメラルド・フロウジョンやグラウンド式朱雀はSareeeをあと一歩のところまで追い詰める。
しかし、Sareeeはロープエスケープや意地のカウント返しで応戦。
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30分を超えた後、Sareeeはヘッドバットを連打し、裏投げを三連発。
最後はリストクラッチ式裏投げで渾身のフォール。32分49秒、壮絶な一戦に終止符が打たれた。
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<試合結果>
▼メインイベント IWGP女子選手権試合(60分1本勝負)
<王者>朱里 ×
vs
<挑戦者>Sareee 〇
32分49秒 リストクラッチ式裏投げ→片エビ固め
※Sareeeが第5代IWGP女子王者となる
激戦を終え、無言でリングを降りようとする朱里に、Sareeeがマイクで語りかける。
「本当に数少ない、絶対に負けたくないと思えるライバルだと思っています。今日はありがとうございました。私たちにこれ以上の言葉なんていらないでしょ。またあなたと戦うことを楽しみにしているから、こんなんでくじけるんじゃねえぞ!」
その言葉に、朱里の闘志が再び燃え上がる。振り返った朱里が声を荒げた。
「くじけるわけねえよ!でも、Sareeeは強かったよ。今日は負けた…負けたけど、私は絶対にそのベルトを取り戻して見せる。覚えておけよ!」
意地と意地がぶつかり合ったリング上。互いへのリスペクトと闘志が交錯する濃密な数分間に、会場のファンは固唾を飲んで耳を傾けた。
朱里がリングを下りると、Sareeeは再びマイクを握り、満員の観衆に向けて感極まった様子で吠えた。
「やったぞー!やっと獲った、第5代IWGP女子チャンピオンのSareeeです!」
その叫びは、これまでのキャリアすべてを背負った一声だった。WWEからの帰国、国内再起、批判や期待を背負い続けたSareee。女子プロレス大賞の受賞、岩谷麻優との激闘、朱里との時間切れドロー。あらゆる試練と悔しさを乗り越えてたどり着いた頂点だった。
「私は誰に何と言われようが、自分を信じてここまでやってきた。その結果が去年の女子プロレス大賞に結びついて、そして今日、ずっと目標にしてきたIWGP女子チャンピオンになりました」
言葉の一つ一つに、重みが宿る。
「私はリングの上でウソはつかない。この涙も叫びも全部、戦いの魂なんですよ。私はこのベルトを巻いたからには、このIWGP女子のベルトをもっともっともっと、刺激的なものにしていきます」
リングに立ち続け、戦い続けた者だけが語れる重み。プロレスの本質が、Sareeeの声を通して観客に伝わった瞬間だった。
最後に、観客席を見渡しながら深々と頭を下げた。
「ここまで応援してくださったファンの皆様、本当にありがとうございました。これからも私に付いて来てください。ありがとうございました!」
誰に媚びることなく、誇り高く、自らの信念とプロレス観を胸に歩んできたSareee。IWGP女子王者としての第一歩は、感情を剥き出しにした魂のスピーチで幕を開けた。
今、新たなチャンピオンが時代を動かし始める。
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■試合後バックステージコメント
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悲願の初戴冠を果たしたSareeeが、試合後バックステージでその胸中を赤裸々に語った。
「やっとIWGP、私が一番欲しかった」
絞り出すような第一声に、積み重ねた歳月の重みが滲んだ。
2023年3月、世界最大の団体・WWEを退団し帰国。日本マットに戻ったSareeeは、以後「闘いを見せる」ことに執念を燃やし続けた。しかし、その道は決して平坦ではなかった。
「アメリカから帰って来てから、色んなこと言われてきました。失敗してきただの、やりきれなかっただの、色々言われましたけど…今日のこの結果が、私のすべてを救ってくれたなと思っています」
スターダム復帰後も岩谷麻優に挑戦して惜敗。だが、その熱戦が評価され、2023年の女子プロレス大賞を受賞するなど、確かな爪痕を残してきた。そしてこの日、満員の代々木で、ついに自らの手でIWGP女子のベルトを掴み取った。
「本当に諦めなくて良かったなと思っています。プロレスの神様ってやっぱいて、頑張ってれば後押ししてくれるんだなって、私は実感しています」
目指していたのは岩谷とのリマッチによる戴冠だったという。だが、それ以上にこの日、朱里との激闘に意味を見出した。
「岩谷麻優から本当はこのベルトを獲りたかった。1回負けてるんでね。でも、それ以上に私は今日、朱里と闘えて本当に良かったなって思っています。本当に強かったし、だからこそ獲った意味があると思っています」
実力者・朱里との30分超の死闘を制したSareeeは、この勝利を通じて、IWGP女子王座の重責を受け止めていた。
「このベルトの責任ってとんでもないぐらい、重い重いモノだと覚悟できてるんで、私がしっかりこのベルト巻いたからには絶対に恥のないように、これから進んでいこうと思っています」
その上で、新王者は挑戦者たちに強烈なメッセージを放つ。
「私は絶対に逃げたりしない。守るだけのベルトなんかに絶対しないんで、誰が相手でも受けて立ちますよ」
この言葉には裏打ちがある。試合後、リングに誰一人として現れなかったスターダム所属選手たち。その状況に対して、Sareeeは静かに、しかし強い語気で問いかけた。
「今日ね、スターダムの選手、私がこのベルトを巻いて誰ひとりとしてリングに上がってこなかった。それでいいのかよ? 本当にそれでいいのかよって私は思います」
これは、王者としての覚悟を示すと同時に、団体内外への挑戦状でもあった。新王者として立ったSareeeは、リングの中心から呼びかける。
「これから誰が一番最初にこのベルトを狙いに来るのか、すごく楽しみです。でも私は絶対に、そう簡単には渡さないので、このベルトを世界中で一番のベルトに、必ずしていきます。今日は本当に有難うございました。ここからがはじまりだと思って、進んでいきたいと思います。有難うございます」
その言葉通り、Sareeeの歩みはまだ始まったばかりだ。新王者としての責任と覚悟を胸に、世界を視野に入れた戦いが幕を開ける。
なお、試合直後には一部観客から心ない罵声も飛んだ。だが、それすらも力に変えるSareeeは、毅然とこう言い切った。
「認めさせてみせる。今に見てろよ」
朱里との一戦を経て、“太陽神”が再び燃え上がった。Sareeeが照らすリングの未来は、誰もが見逃せない熱量に満ちている。IWGP女子王座の新章が、今ここに動き出した。
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