【新日本】重圧を打ち破ったドリラ・モロニーが石井智宏を撃破し『G1』初出場決定「“ノー”という返事を受け入れないキャリア、そして人生を進んできた」

新日本プロレスは6月23日(月)、東京・後楽園ホールにて『NEW JAPAN SOUL 2025』第5戦が開催した。

『NEW JAPAN SOUL 2025』
日時:2025年6月23日 (月) 17:30開場18:30開始
会場:東京・後楽園ホール
観衆:1,110人

そのセミファイナルでは、G1 CLIMAX 35・Bブロック出場を懸けた一騎打ちとして、石井智宏とドリラ・モロニーが激突した。

過去2戦1勝1敗。3月の『NEW JAPAN CUP』ではモロニーが金星を挙げ、4月のアメリカ大会では石井がSTRONG無差別級王者として王座を防衛し雪辱を果たしていた。そして3度目の邂逅となったこの日は、G1の切符を手にする最終決戦。2冠王者としての意地を懸ける石井と、念願の初出場を狙うモロニーが、真っ向からぶつかり合った。

序盤は緊迫感漂う立ち上がりとなった。ロックアップからのヘッドロック、ロープを使った読み合い、両者ともに相手の主力技を冷静に回避する展開が続く。石井は延髄斬りを放つがモロニーは難なくかわし、ザ・ゴアを狙うも切り抜けられるなど、手の内を知り尽くした者同士の駆け引きが光った。

試合は徐々にエスカレート。モロニーが場外戦に持ち込むと、逆水平チョップとスライディングキックで石井を痛打。石井も挑発に応じ、カモンと吠えながらエルボーを連打し応戦。重厚な打撃戦の応酬は、両者の気迫を観客に突きつけるものとなった。

ブレーンバスターの攻防を制したのは石井。肉弾のぶつかり合いの中で一瞬の隙を突き、豪快にモロニーを投げつけると、バックドロップや雪崩式の技でも容赦なく畳みかけた。一方のモロニーも、ドロップキックやローリングエルボー、さらには得意のザ・ゴアを繰り出し、体格差をものともしない猛攻を展開。

両者の打撃はエスカレートを続け、顔面への張り手やヘッドバットが飛び交う。試合時間が進むにつれて体力も限界を迎えつつある中、気力だけが両者を支えていた。モロニーはコーナー上から石井をシットダウン式で叩き落とす荒業を見せるも、石井はカウント2で肩を上げ、場内からは驚きの声が漏れた。

終盤、石井が垂直落下式ブレーンバスターを狙うが、モロニーは粘りのカウンターで対応。ロープを使ったスパインバスター、延髄斬りからザ・ゴア、さらにはドリラ・キラーの猛連打と、勝利への執念を爆発させた。石井もスライディングラリアットやジャーマンで粘りを見せたが、モロニーの二発目のドリラ・キラーにはついに沈黙。

激戦の末、モロニーが3カウントを奪取し、『G1 CLIMAX 35』初出場の権利をつかみ取った。

<試合結果>

▼セミファイナル(第6試合) 時間無制限1本勝負
『G1 CLIMAX 35』Bブロック出場者決定戦
石井 智宏 ×
vs
ドリラ・モロニー 〇
17分10秒 ドリラキラー→体固め
※モロニーが『G1 CLIMAX 35』Bブロックに出場

試合後バックステージでモロニーは石井に対し言い放った。

「彼は『石は血を流さない』と言ったが、ドリルは何にだって穴を開ける。イシイ、前回の俺たちの対戦後のコメントを見たよ。『お前は2年だろ……俺は31年……』とか、お前1人だけが一生懸命やってきたようなことを言うなよ。そんなことを言うヤツはバカだ」

その言葉には、長年のキャリアを軽んじられた屈辱と、努力を証明してみせたという誇りがにじんでいた。

「俺がここで過ごしたのは2年だが、お前と闘って、『G1』出場権を奪った男は、レスリングを教えるレスリング学校に、母親に初めて連れていかれた日のことを今でも覚えているんだ。12歳にもなっていなかった。そして瞬きしている間に16年が過ぎて、現在28年。このゲームに16年浸かりきっている」

経験では劣ると見られた挑戦者が、己の覚悟で格上を打ち破る姿は、まさに『G1』にふさわしいドラマであった。

「“ノー”という返事を受け入れないキャリア、そして人生を進んできた。さあ、9人、9人の選手がシンニホンのリングで、俺と相対する。来月、俺に“ノー”と言ってくるんだ。そして俺の返事は決まってる。俺の愛している相手だとしてもな。幸運を祈ってるぞ、ワンワン」

挑戦者から本戦出場者へ。ドリラ・モロニーの物語はここからが本番である。牙を剥いたドリルが『G1 CLIMAX 35』でどこまで暴れ回るのか。リング上の野心は、すでに次の標的へと向かっている。

※石井智宏は試合後コメントなし。

<写真提供:新日本プロレス>

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