向後桃、アイコン岩谷麻優のいないスターダムで恩返しのチャンス!

スターダムの向後桃は、スターダムが好きでスターダムにやってきた。プロレスラーである前に“いちファン”だったのだ。しかもかなりのスターダムマニアとして。アクトレスガールズでレスラーデビューを果たした向後。プロレスを知ったのは、プロレスを始めるわずか数カ月前のことだった。
「最初はWWEでした。アクトレスをやる直前の2018年末くらいです。ロンダ・ラウジーvsアレクサ・ブリスがきっかけですね。ロンダは格闘系で、アレクサが華やかな感じじゃないですか。両極端な2人が闘うというのがおもしろくて、もっと見てみたいと思うようになりました。そこで『日本』『女子』『プロレス』って感じで検索して、出てきたのがスターダム。そこから映像を見るようになって(岩谷)麻優さんを知り、会場にも見に行くようになりました」
「写真提供:スターダム」
自分自身もプロレスラーとしてデビューした向後。だが、芸能と兼業のアクトレスでのプロレスとスターダムのそれとはまったく別と考えていたという。
「自分もプロレスやってるけど、私から見たスターダムはブロードウェイなんですよ。雲の上の存在という感じです。私のやってるものとは別物だし、ただのファン、エンターテインメントとして純粋に楽しんでいました。実際、私にも推しが何人かおりまして(笑)。当時の推しは、岩谷麻優、鹿島沙希、スターライト・キッド、上谷沙弥。あと、中野たむ選手の受けがすごく好きで、よく見させていただいておりました」
とはいえ、好きが高じて自身のプロレスにスターダムで見た動きを自然と取り入れることも。向後は、そんな自分に薄々気づいていた。
「これはスターダムに来る前の話なので、許してもらえたらうれしいです(苦笑)。麻優さんのムーブを勝手にマネして使ってました、ハイ(苦笑)。お客さんからも、感づかれてましたね」
それならば、実際にスターダムのリングで試合をしてみたいと思うことはなかったのか。向後に聞いてみると…。
「実は、やってみたい気持ちはずっとあったんです。でも現実として、まさかできるとは思っていなかったので」
「写真提供:スターダム」
それでも、夢が現実に近づいてくるのを感じてもいた。アクトレスでデビューした選手が、スターダムのリングに上がるようになっていったのだ。そして、アクトレスじたいも21年末をもってプロレス団体としての活動を休止。残留か、それとも外でプロレスを続けるか。多くの選手が迷うなか、向後はすぐに決断できた。
「同じアクトレス出身の選手がスターダムでやっているのを見て可能性を感じたのもあります。さらに団体の活動休止で踏ん切りがついたのも大きかったですね。まずは義理を通したかったので、休止してから動くようにはしました。ダメ元でもいいから一番自分がやりたかったところでチャレンジしてみたい。それで活動休止後、スターダムでやらせてくださいと(スターダムに)言いに行きました」