【新日本】ボルチン・オレッグ、恩師・永田裕志との激闘制す!NEVER王者が師弟対決を突破「本当に永田さんには感謝しかない」

新日本プロレスは6月29日、愛知県体育館で『TANAHASHI JAM~至(いたる)』を開催した。
『TANAHASHI JAM~至(いたる)』
日時:2025年6月29日 (日) 16:00開場17:00開始
会場:愛知・愛知県体育館(ドルフィンズアリーナ)
観衆:4,570人
現役引退を控える棚橋弘至がプロデュースした今大会は、棚橋に縁深い選手・カードがズラリと並び、ドルフィンズアリーナとしてのプロレス最終興行にふさわしい熱量を記録した。
第3試合にはNEVER無差別級王者・ボルチン・オレッグが登場。迎え撃つ相手は永田裕志。プロレスとレスリングの両分野で信頼関係を築いてきた“師弟”による一戦が実現した。
ボルチンは大学卒業後、永田が監督を務めていたレスリングチーム「ブシロードクラブ(現TEAM NEW JAPAN)」でキャリアを歩み始めた経緯を持つ。2017年からの関係は深く、今回はその指導者とチャンピオンという立場で再び相見える構図となった。
ゴング直後から組み合いが展開。永田は老獪な腕攻めを仕掛ける一方、ボルチンは若さとスピードを生かしてショルダータックルで押し込んだ。永田がローキックと関節技で脚を集中的に攻めれば、ボルチンはショットガンドロップキックやボディプレスで反撃。
場内がどよめいたのは、永田が雪崩式エクスプロイダーを炸裂させた場面だ。経験値に裏打ちされた一撃で王者を追い詰めるも、ボルチンは執念でカウント2を跳ね返す。
その後も攻防は熾烈を極めた。永田はナガタロックで膝を絞り上げ、バックドロップでフィニッシュを狙う。だがボルチンはロープを使って回避し、意地のラリアットを叩き込むと、最後はカミカゼで永田をリングに沈めた。
<試合結果>
▼第3試合 60分1本勝負
棚橋弘至プロデュース試合「壁を超えてゆけ」
NEVER無差別級選手権試合
<第48代チャンピオン>
ボルチン・オレッグ 〇
vs
<チャレンジャー>
永田 裕志 ×
9分14秒 カミカゼ→片エビ固め
※オレッグが初防衛に成功
勝利を収めたボルチンは、大の字になった永田に手を差し伸べ、両者は抱擁を交わした。観客の拍手がその師弟の絆を称えるなか、王者は自身の原点に最大限の敬意を表した。
試合後、ボルチンは目を潤ませながら語った。
「本当に今日の試合前は今までで一番緊張していたかもしれないですね。今まで闘った相手には勝つことだけしか集中してないから。勝ってもどうでもいいから、何でも使ってどうでもいいから。とりあえずかつ気持ちだけだったね。今日の試合は永田さん。2017年からずっと永田さんと一緒でした。永田さんのおかげでこの世界が知れたし、まったく違う世界だけど、この世界でうまくいきたいと思いますね。(※涙ぐみながら)本当に永田さんには感謝しかない。永田さんのおかげで日本好きになって、プロレス好きになって、今チャンピオンになって。
これからもいっぱい頑張って自分の国にもプロレスを知らしめるように、プロレスを信じてもらえるように……自分の国だけじゃなくてその近くの国にもプロレスがないから。みんなに、世界にプロレスを知らしめるようにやりたいと思うので。とりあえず、今日は永田さん強かったですね。俺のお父さんよりも歳が上ですね。57歳であんな元気ですね。俺もいっぱい勉強しなきゃいけないし。永田さんもう33年もプロレスやっているし、俺も27年レスリングやっていて、これから新日本で30年やるように頑張ります。ありがとうございました」
また、同大会でファンの前に初めて姿を現したウルフ アロンの存在についても触れた。
「メチャクチャ意識しましたよ。やっぱりオリンピック選手がプロレスやりたいと言ってくれることは、なかなかないじゃないですか。カート・アングルくらいじゃないですかね? 柔道はたぶん初めてだと思いますね、新日本だけじゃなくてWWEもないし。これから新日本はどこの団体よりも有名になるように、強くなるように、アロンと2人の闘いで強さを見せたいなと思うので。アロンはあと半年後にデビューで、オリンピック選手だから普通の一般の人たちと違って全部覚えるの早いだろうし。それが楽しみですね。デビュー戦の相手が誰になるかわからないけど、自分も頑張ります」
一方、敗れた永田もまた、清々しい表情で感想を述べた。
「強えぇ……オレッグ。まあ、もともと強いのは知ってるけど強すぎる。だから俺が連れてきた。強い……。デビューわずか2年チャンピオンになりやがって驚いた。やっぱりね、こういう強い若いのが入ってくると、俺自身もより気合いを入れて挑んだけど、まあ今日は負けた。やっぱり来られると、アツくなっちゃう俺がいるな。まだいけるな。アツくなって。敗れて悔しい想いが残っているので、まだ俺はいける。今日のところはオレッグの強さに脱帽だよ。でも崩せない山じゃないんだ。まだまだ頑張ります」
“恩師超え”を果たしたボルチン・オレッグの眼差しは、すでに次の高みを見据えていた。今後、柔道王者ウルフとの交錯がプロレス界に新たな風を吹き込むことは間違いない。拳と信念を交わし合った師弟の物語は、未来へと続いていく。
<写真提供:新日本プロレス>
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