【新日本】大岩陵平が覚悟の勝利！小島を破りG1切符つかむ「俺が台風の目になるぞ」

新日本プロレスは7月4日、東京・東京武道館にて『NEW JAPAN SOUL 2025』第8戦を開催した。

『NEW JAPAN SOUL 2025』
日時：2025年7月4日 (金) 17:00開場18:30開始
会場：東京・東京武道館
観衆：1,377人

第4試合では『G1 CLIMAX 35』Aブロック出場権をかけた一騎打ちとして、小島聡と大岩陵平が相対した。

当初、大岩の対戦相手に予定されていたのは、H.O.Tのドン・ファレ。しかし、ファレが身内の不幸により欠場したことで、代替出場として名乗りを上げたのが元『G1』覇者・小島であった。2010年大会を制した実績を持ち、8年ぶりのG1出場を狙うベテランが若手の壁として立ちはだかる形となった。

試合は立ち上がりから白熱。互いの意地が激しく交錯するレスリングの攻防が展開された。力比べのなかで先手を奪ったのは大岩。素早くヘッドロックに捕らえると、ショルダータックルでダウンを奪取。小島も負けじとカウンターで応戦し、得意のヒップトスとショルダーで巻き返す。

小島のマシンガンチョップに対し、大岩は右腕を集中攻撃。ジャンピングアームブリーカーで流れを引き戻すと、場外でフェンスを使ってさらに痛打。徹底した右腕への攻めが光った。リングに戻ってもアームブリーカーやアームシザースで動きを封じにかかる。

しかし小島もここで踏ん張る。チョップの打ち合いから「いっちゃうぞバカヤロー！」の雄叫びとともに、串刺しエルボーからのダイビングエルボーを投下。続くDDT、そしてコジコジカッターを狙うも、大岩は巧みに回避しサイドスープレックスで逆襲。セントーンで追撃するも、小島はカウント2で執念のキックアウト。

流れが一進一退のまま、小島は得意のモンゴリアンチョップからブレーンバスターを狙うが、大岩は逆に投げ返すと、ここで天山スープレックスを炸裂させる。カバーは2。なおも攻める大岩は小島の右腕を捕獲し、THE GRIPの布石を築くが、小島もショートレンジラリアットで逆襲。コジコジカッター、ブレーンバスターと畳みかけて勝負を決めにかかる。

勝敗を分けたのは終盤の一瞬だった。小島のラリアットを大岩がカウンターで迎撃。ドクターボム、スリーパーとつなげると、満を持してTHE GRIP。小島が意地のラリアットで迎撃するも、大岩は立ち上がり、二発目のラリアットを逆ラリアットで押し返す。そして再びTHE GRIPを極め、ついに3カウントを奪った。

＜試合結果＞

▼第4試合 時間無制限1本勝負
『G1 CLIMAX 35』Aブロック出場者決定戦
小島 聡 ×
vs
大岩 陵平 〇
9分44秒 THE GRIP→片エビ固め
※大岩が『G1 CLIMAX 35』Aブロックに出場

試合後、リング上では世代を超えた握手と抱擁が交わされた。

バックステージで大岩は歓喜の声をあげた。

「オッケー！ オッケー、まずは1勝。これで、今年の『G1』、俺が出場者だ。Aブロック、俺が台風の目になるぞ。全員、覚悟しとけよ。小島さん、もう今の自分には、憧れの気持ちはないっすよ。ファンの時だったら、こうやってシングル組まれただけでもうれしいけど、ここは新日本プロレスのリングだ。こうやって勝ちを積み重ねていかないと、生き残れねぇんだよ」

目をぎらつかせながら、大岩は続ける。

「『G1』も一緒だ。一戦一戦、必死になって闘って、必死に勝ちをもぎ取る。上村さんとかオレッグとか、やりたい相手、たくさんいるのがAブロックっす。楽しみな気持ちもあるけれど、今年の『G1』、勝負にこだわって、勝ちだけを獲りにいきます」

一方、敗れた小島は、声を詰まらせながらも素直に敗戦を認めた。

「とても強い対戦相手だったと思います。今から3年前、よく試合していたことを覚えています。当時まだヤングライオンだった大岩が、3年ぐらいの時間でこんなにすごいレスラーになっている、それが現実だと思うよ。とても厳しい現実を突きつけられたと思うけど、だけど、俺はその10倍、プロレスラーとして生きている」

さらに小島は、自身の矜持を口にした。

「急きょ組まれた一騎打ちとか、そんなことはどうだっていいんだ。プロレスラーだったら、そんなのは誰だってできることだから。だけどやっぱり勝ちたかったよ。それは自分自身の欲求があるし、大岩ってすごいプロレスラーだけど、やっぱり負けたくないって思う。思わなきゃ、俺はプロレスラーとして生きている以上、その気持ちだけはまだ忘れないで持っていたいと思います。ホントに、強かったです。ありがとうございました」

急遽組まれた一戦でありながら、時代の移ろいと継承の物語が刻まれた試合となった。若獅子・大岩陵平は“憧れ”を超え、ついにG1の舞台へと歩を進めた。

＜写真提供：新日本プロレス＞