【新日本】デスペラードが藤田晃生の勢い封じる!熱狂の後楽園で“王者の説得力”証明「来いよ、楽しもうぜプロレスを」

新日本プロレスは7月6日、東京・後楽園ホールにて『NEW JAPAN SOUL 2025』最終戦を開催した。

『NEW JAPAN SOUL 2025』
日時:2025年7月6日 (日) 17:30開場18:30開始
会場:東京・後楽園ホール
観衆:1,489人(札止め)

メインイベントではIWGPジュニアヘビー級王者・エル・デスペラードが『BEST OF THE SUPER Jr.』覇者・藤田晃生を迎え撃ち、7度目の防衛戦に成功した。

この試合は、6月24日に同じ会場で行われた葛西純との壮絶なデスマッチを経て、改めて新日本ジュニアの頂点をかけた大一番。その時、デスペラードは葛西との試合後に「今度はお前の番だろ」とばかりに藤田の挑戦を受け入れた。2人の対決は今年2月4日の後楽園に続く2度目。前回はデスペラードが勝利しているが、藤田は『SUPER Jr.』を制し、勢いと覚悟を持って再び王座に挑んだ。

藤田はチャンピオンへの挑戦者らしく、トロフィーを手にニューガウン姿で堂々入場。一方のデスペラードは白と赤の新コスチュームに身を包み、王者の風格をまとって花道を進んだ。

試合開始と同時に藤田は攻勢を仕掛け、ドロップキック、トペ・コンヒーロ、ネ申スペシャルと畳みかける。しかしデスペラードは冷静だった。藤田の膝に狙いを定め、場外戦でも容赦なくその部位を痛めつけ、リング上でもニークラッシャー、インディアンデスロック、ギロチンドロップなどでダメージを蓄積させていく。

藤田も反撃の糸口を探し、ミサイルキックやレッグラリアットで流れを引き戻そうとする。だが、キャリアに裏打ちされたデスペラードの攻防は一枚上手だった。マフラーホールド、ヌメロ・ドス、そして再三にわたる脚攻めで動きを封じると、終盤には変形のヌメロ・ドスで捕獲。ついに藤田はギブアップを余儀なくされた。

<試合結果>

▼メインイベント(第6試合) 60分1本勝負
IWGPジュニアヘビー級選手権試合
<第98代チャンピオン>
エル・デスペラード 〇
vs
<チャレンジャー/『BEST OF THE SUPER Jr.32』優勝>
藤田 晃生 ×
19分32秒 ヌメロ・ドス
※デスペラードが7度目の防衛に成功

デスペラードは試合後、マイクを手に取ると、藤田への感謝とともに次なる挑戦者への覚悟を言葉に乗せて叫んだ。

「ありがとな!オマエが『SUPER Jr.』を獲った勢いのまんまで挑んできてくれた。それをファンは観たかっただろ。オマエが見送ってくれたから、葛西さんと10年後の約束もできた。オマエのおかげだ、ありがとう」

さらに「オマエのキャリアじゃ到底たどりつけない、でもすごいよ」と称賛しつつも、「オレは待たねえぞ。DOUKIのことも待たなかった」と突き放す。

「プロレスを楽しもうぜ」という言葉に込められたのは、王者としての余裕と、挑戦を受ける責任の両方だった。

試合後、バックステージに現れたデスペラードは、床に腰を下ろしながら開口一番「痛ぇー」と一言。激戦の余韻が全身を襲う中で、静かに言葉を紡いだ。

「打撃もいい、気持ちもいい、関節の取り合いだってできる。土壇場で俺のことをぶっ飛ばせるだけの肝っ玉が備わってる割に、今日はなんだろうな、ちょっと元気なかったんじゃないか?」

自身の対角線に立った藤田の実力を認めながらも、今大会での動きには疑問を呈した。セミファイナルの熱戦に気圧されたのか、メインイベントという舞台の重圧だったのか――。

「分かるぞ。興行の最後の最後だからな。プレッシャーは凄いだろう。相手が誰とかそういうこっちゃねぇんだ。新日本プロレスの後楽園ホール、超満員札止め、そのメインイベント、1対1、ビビんねぇ方がどうかしてる」

そう語るデスペラード自身も、「朝、久々になんか来たよ」と、久々に緊張感を覚えていたことを告白。それでも、これまでのタイトル戦ではあまり感じなかったビビリが、この日、胸の奥で再燃していたという。

「俺が今までビビった相手、オカダさん、KUSHIDAさん、飯伏さん、ケニーさん…石井さんもたまんなかったな。ヒロムとやった時は舞台込みで緊張した。喜べよ。俺がビビったんだよ、お前に」

この言葉は、敗れた藤田への最大の賛辞だった。

一方、立ち上がりながらデスペラードは続けた。

「そりゃあな、自分に勝った相手に何言われたって、『うるせー、バカヤロー!』だろう。いくらでも言ってやるよ。テメーが俺のこと大嫌いになるまで何遍も叩き潰して…まぁその時、これがあるかどうかは分からん。来いよ。楽しもうぜ、プロレスを」

IWGPジュニアのベルトを掲げたデスペラードが吐き出す言葉には、プロレスへの純粋な情熱が宿っていた。

その想いは、リング上で倒れ込んだままの藤田にも届いていた。マットに座り込みながら、震える声でこう語る。

「“今日は”負けた。“今日は”だぞ」

わずか6文字の言葉に、藤田の感情が詰まっていた。

「時代なんかいつでも動いてる。そんなこと知ってるんだ。でもな、今のジュニアの時代の象徴はアンタが持っているんだ。それを……それを俺が剥ぎ取るから。今度はアンタが待っててくれ」

一敗を喫した事実を噛み締めながらも、藤田は王者との再戦を心に誓った。

「少し時間が必要かもしれないけど、またアンタの前に戻ってくるぞ。クソッー!」

両者の熱いメッセージが交錯する中、ジュニアの未来へ向けて、新たな物語が幕を開けた。藤田の再挑戦の日はいつか――。その時までに、デスペラードがベルトを守り続けているのか。ジュニア戦線の行方は、まだ誰にも分からない。

<写真提供:新日本プロレス>

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