【東京女子】“1対27”激闘の果てに…長谷川美子、引退セレモニーで涙と感謝「諦めないことの大切さを学んだ」
東京女子プロレスの長谷川美子が、7月8日、新宿FACEで行われた卒業記念興行「NonfictioN」でプロレス人生に終止符を打った。38歳、リングに立った時間はおよそ5年9か月。遅咲きのキャリアにおいて、最後まで全力で走り抜けたその姿が、多くのファンの胸を打った。

最後の試合は、時間無制限3本勝負の形式で、相手は団体の所属選手27人によるハンディキャップマッチという前代未聞の構成。長谷川はこの数日前、横浜大会にてアイアンマンヘビーメタル級王座を奪取。引退試合に王者として臨んだ。

1本目では甲田哲也代表が突如リングイン。これを辰巳リカと連携して攻め込み、見事3カウントを奪った。王者としての風格と貫禄を示すには十分なファーストフォールであった。

だが、続く2本目では鈴芽の猛攻を受け、「リング・ア・ベル」に沈む。このフォールで王座から転落。試合の主導権は、瞬く間に東京女子の選手たちへと渡っていった。

混戦の中、渡辺未詩が王座を奪い、それが瑞希へと渡るという流れの中で3本目へ突入。ここでは中島翔子と一騎打ちの形となった。長谷川は渾身のエルボーを叩き込み、さらにはダイビングダブルニーアタックを炸裂させるなど、会場を大いに沸かせた。

しかし、追い詰めたかに見えた矢先、中島の強烈なエルボーで動きを止められると、ダブルアーム式DDTでマットに突き刺された。最後は中島のダイビングセントーンが決まり、3カウントを聞くこととなった。

その後、リング上では引退セレモニーが行われた。アクトレスガールズ時代の仲間や、デビュー戦の相手であった藤本つかさが登場。さらには、芸能界からも有田哲平や山崎弘也、ピスタチオの伊地知大樹らが花束を贈った。


「2019年にデビューして約6年弱。首を骨折したり様々なことがありましたが、今こうしてリングに立てていることに感謝します。ベルトは取られちゃったけど、もっともっと大切なものを東京女子プロレスでもらいました」
こう語った長谷川の表情は、清々しさと感謝に満ちていた。

バックステージに現れると、長谷川は「本当にたくさんの人に支えられた最高のプロレス人生を送れました。最後に全員の気持ちとぶつかり合えたので、悔いはないです」と話し、「今後も何か新たに挑戦したいことが次々と出てくるんじゃないかなと思って楽しみです」と前を向いた。
キャリアの中では、2021年に頸椎椎間板ヘルニアと首の圧迫骨折を負い、長期欠場を余儀なくされたこともあった。その後、ガンバレ☆プロレスで復帰し、2023年には東京女子プロレスへの参戦を開始。短い期間であったが、団体内で確かな存在感を残した。
中島翔子からは試合後、「今までずっと怒ったりとかしていいのにさ、一番下の後輩にも敬語使ったり。引退したらもっとわがままに生きてほしいな」と労いの言葉が贈られた。

長谷川自身は「なんか嫌われるのとかが怖かったから、何も言わない方がいいのかなみたいな。でも東京女子はそんなところじゃなくて、みんな個性的で自由に生きてて、すごい憧れる部分があって」と涙ながらに本音を口にした。

27人という大人数を相手にした特別試合の中では、途中、鳥喰かやが救援に登場。長谷川は「私は東京女子ではトリッピーが正規のパートナーだって勝手に言ってて感じてたので、最後に助けに来て、一緒に交われたことはすごく幸せだなって思いました」と感慨深げに語った。

現役生活の終幕を迎えた今、長谷川は「絶対にこの場所に戻りたい」と思わせてくれたプロレスという舞台に、感謝の思いを強く抱いていた。引退後の進路は明言されていないが、「一般人になってもアイアンマン狙っちゃおうかな」と冗談めかして語るなど、その柔軟さとユーモアは健在であった。
長谷川美子のプロレス人生は、一人の女性が命を懸けて向き合った「真実の物語」だった。その終章は、多くの人の記憶に深く刻まれ、これからも語り継がれていくに違いない。

【大会名】長谷川美子卒業記念興行「NonfictioN」
【日時】2025年7月8日
【会場】東京・新宿FACE
【観衆】417人(超満員)
▼第1試合 20分1本勝負
伊藤麻希&芦田美歩&●小夏れん vs キラ・サマー&七瀬千花○&アイビー・スティール
9分6秒 稲荷鳥居・改
▼第2試合 第12回東京プリンセスカップ最終予選 時間無制限1本勝負
●原宿ぽむ vs HIMAWARI○
7分26秒 逆片エビ固め
※HIMAWARIの第12回東京プリンセスカップ出場が決定。
▼第3試合 第12回東京プリンセスカップ最終予選 時間無制限1本勝負
○宮本もか vs 鳥喰かや●
7分3秒 片エビ固め
※鴻臚館。もかの第12回東京プリンセスカップ出場が決定。
▼第4試合 3WAYマッチ 20分1本勝負
〇らく vs 桐生真弥 vs 鈴木志乃●
6分51秒 ハリケーンターン
▼第5試合 20分1本勝負
○中島翔子&ハイパーミサヲ&愛野ユキ vs 辰巳リカ&渡辺未詩&凍雅●
11分12秒 ノーザンライト・スープレックス・ホールド
▼セミファイナル 20分1本勝負
○瑞希&鈴芽&遠藤有栖&風城ハル vs 荒井優希&上福ゆき&上原わかな&高見汐珠●
12分47秒 キューティースペシャル
▼メインイベント 長谷川美子卒業記念試合=アイアンマンヘビーメタル級選手権1vs27ハンディキャップマッチ~ノータッチルール 時間無制限3本勝負
<王者>長谷川美子(1-2)瑞希&中島翔子&ハイパーミサヲ&鈴芽&辰巳リカ&伊藤麻希&上福ゆき&愛野ユキ&渡辺未詩&らく&原宿ぽむ&桐生真弥&宮本もか&遠藤有栖&荒井優希&鳥喰かや&上原わかな&HIMAWARI&凍雅&鈴木志乃&風城ハル&芦田美歩&キラ・サマー&七瀬千花&高見汐珠&小夏れん&アイビー・スティール<各挑戦者>
①○長谷川 vs 甲田哲也●
9分31秒 片エビ固め
※ダブル・ニードロップ
②<王者>●長谷川 vs 鈴芽○<挑戦者>
14分36秒 片エビ固め
※リング・ア・ベル。長谷川が防衛に失敗、鈴芽が第1752代王者となる。
◎アイアンマンヘビーメタル級選手権試合
<王者>●鈴芽 vs 未詩○<挑戦者>
20時47分 体固め
※ジャイアントスイング。鈴芽が防衛に失敗、未詩が第1753代王者となる。
◎アイアンマンヘビーメタル級選手権試合
<王者>●未詩 vs 瑞希○<挑戦者>
20時48分 片エビ固め
※渦飴。未詩が防衛に失敗、瑞希が第1754代王者となる。
③●長谷川 vs 中島○
21分44秒 体固め
※ダイビング・セントーン














