【新日本】辻陽太が描くG1制覇、ベルト分解、そしてこれからの未来図「プロレスは僕の人生を見せる場。リングで嘘はつけない」
2025年の夏。新日本プロレスの真骨頂であり、真夏の最強戦士決定戦『G1 CLIMAX 35』が、いよいよその幕が上がる。
その大舞台に、3年連続3度目の出場を果たす辻陽太がいる。いまや「新世代」という言葉は過去形になりつつあり、時代の先頭を走る“現世代”の代表格として、辻の視線は東京ドームの頂点をまっすぐに捉えている。
だが、G1の向こうに彼が描くものは、単なる勝利や栄光ではない。「プロレスとは、自分の人生を見せる手段である」と語る辻の言葉は、闘いのその先にある「表現」と「覚悟」の意味を強く問いかけてくる。

■「優勝は道のりの一つ」――その先に見据える、究極の目的
――早速ですが、3年連続3回目のG1 CLIMAX出場となります。昨年の準優勝という結果を踏まえ、まずは今年のG1に懸ける意気込みからお聞かせください。
辻:去年準優勝で終わっているので、もちろん(出場する選手は)みんな一緒だと思うんですけど、目指すところは優勝ですよね。
――その先には、来年の東京ドームのメイン、そしてIWGP世界ヘビー級王座も見えてきます。
辻:その先にはベルトであったり、東京ドームのメインっていうのは当然ですが、最終的に東京ドームのメインでベルトを獲って、ベルトを分解するっていうところまで、ずっと言い続けてますけど、そこまでの道のりの一つだと思ってます。
――「ベルト分解」。凱旋以来、辻選手が一貫して掲げているテーマですが、そのこだわりは今も強く持ち続けている、と。
辻:そうですね、もうずっと言ってますけど。
――その主張は非常にインパクトがあり、一部のファンからは熱狂的な支持を集めています。
辻:嬉しいですね。

©新日本プロレス
■“現世代”の覚悟。「来年もG1に来たいと思わせる闘いを」
――そして、今年のG1です。これまでは「新世代」という言葉で括られることが多かったですが、今年はメンバーを見ても、名実ともに辻選手たちが「現世代」のG1になる、という見方が出来るかと思います。その点について、ご自身ではどう認識されていますか?
辻:そうですね。一昨年とかは、やっぱり新世代が一カ所に集められたりとか、去年も新世代どうこうっていうふうに言われてましたけど、今“現世代”になって、これからの新日本プロレスを僕らが支えていけるのかどうかっていうのが、問われる闘いになると思うんですよね。
お客さんが入った、入ってないっていうのは結果として出ると思うんですけど、それ以上に、これからの新日本プロレスを見続けていきたいな、来年のG1も来たいなって思わせるようなG1 CLIMAXにしていかなきゃいけないと思ってます。
――オカダ選手、内藤選手が不在となって初めてのG1。ファンも「今の新日本はどうなんだ?」という、ある意味まっさらな目で見てくると思います。その中で、新しい顔ぶれも加わり、注目度が高まっている。その状況で“筆頭株”と目されることへのプレッシャーはありますか?
辻:そういうプレッシャーみたいなのはないですね。あったとしても、僕はそれを楽しむタイプなんで。
――楽しむ、ですか。
辻:ピンチの時に結果を残せばヒーローになれるわけじゃないですか。
――なるほど、発想が非常にポジティブですね。もともと、そういう考え方の持ち主だったのでしょうか。
辻:もともとは結構ネガティブな思考をするタイプだったんですけど。
――そうなんですか。それは意外です。
辻:大学時代は、もう(アメリカンフットボールの)クォーターバックをやっていて、そのポジションはリスク管理が大事なんで。そういう風に、「こうなったら、ああしなきゃいけない」みたいな、結構マイナスな方向に、考えていくことが多かったんですけど。
やっぱりそれがチームスポーツであって、今回、というか、今、僕がプロレスラーになって、自分が何を表現したいのか、好きなように表現できるわけじゃないですか。そうなったときに、僕はお客さんに“陽のパワー”を伝えなきゃいけないと思うんですよね。なので、ずっとプラス思考になるように、自分の普段の生活から変えていくようにしました。

■「プロレスは僕の人生を見せる場」――ポジティブ思考の源泉
――プロレスラーになってから、ご自身でマインドチェンジをされてきた、と。
辻:プロレスをやっていくうちに変わっていったっていうのはありますよね。
――それは、ファンに見られているという意識から、ポジティブなメッセージを発信していこう、という思いが芽生えたのでしょうか。
辻:それもそうですし、やっぱり自分が何をしたいかっていう風に考えた時に、「したくない」ではなく、「したい」って言った方が、楽しいじゃないですか。「この仕事をしたくないから会社辞める」じゃなくて、「プロレスしたいから会社辞める」のがいいじゃないですか。という風なものの方が、僕は見せていきたいなと思って。自然にそれがプロレスラーになってから、思考としてそういう風になっていったんですよね。
――なるほど。ネガティブな動機ではなく、ポジティブな動機で行動する姿を見せたい、と。それがファンの共感を呼ぶ、という考えですね。
辻:そうですね。これだけネガティブな世の中で、プロレスを見る時ぐらいはポジティブな気持ちになりたいじゃないですか。
――まさしく、プロレスの非日常性に身を委ねて、感情を爆発させたい、というファンの思いと合致しますね。
辻:プロレスっていうのは僕の理論ですけど、僕の人生を見せる場だと思っていて、僕の人生を見せる表現方法がプロレスであるものだと思うんですよ。だからリング上だけじゃなく、普段からもそういう風にポジティブに思うことを考えていた方が、結果、リングで嘘をつかずにそのまま発信できるってことですよね。

■物言う姿勢の真意。「リングで嘘はつけない。ありのままを伝えてるだけ」
――その「リングで嘘をつけない」という哲学は、辻選手が時に団体に対して厳しいとも取れる提言をされる姿勢にも繋がっているように感じます。そういった発言は、大きな支持を集める一方で、一部からは批判的に見られる可能性もあるかと思います。
辻:(頷く)
――その発信の根底にあるものは何なのでしょうか。一部では「内藤イズムの継承では?」という声も聞かれますが。
辻:内藤さんを真似てるわけじゃないですよ。自分が感じたことをね(発信しているだけ)。でもやっぱり、世の中でこういう批判的なことを言えない人が大半だと思うんですよ。プロレスラーだから、僕はそこを言わなきゃいけないと思ってますし、実際に自分が思ってることなんで口にしています。さっきも言いましたけど、リングで嘘はつけないんで、その、ありのままを伝えてるだけです。かといって、僕にもね、落ち度はあると思うんですけど、でも、ビビって尻込みするよりは、言っちゃった方が気持ち的にもスッキリするし、そういう人が一人はいてもいいんじゃないかって思います。
――その発信力は、今の“現世代”の選手たちの中でも、辻選手が突出していると感じます。
辻:ありがとうございます。
――ファンとしては、やはり腑に落ちない点などは、これからもどんどん発信してほしい、という思いがあります。そういった発言が、多くのファンにとって「腹落ちする」というか、共感を呼んでいるのだと思います。
辻:言った時は怒られるかもしれないですけど、1年後、誰も覚えてないですから(笑)。
――その割り切り方も含めて、非常に共感性が高いと感じます。













