長谷川美子、魂の終着点―5年9ヶ月の『ノンフィクション』が新宿の夜に完結
鳴り響く10カウント、そして未来へ


引退セレモニーには、長谷川の人柄を慕う多くの人々が駆けつけた。アクトレスガールズ時代の仲間、デビュー戦の相手を務めた藤本つかさ、そして恩人である有田哲平、山崎弘也らが次々とリングに上がり、花束と共に温かい言葉を贈った。

鳴り響くテンカウントゴングが、レスラー・長谷川美子の終わりを告げる。

全てのセレモニーを終え、バックステージに現れた長谷川の表情は、晴れやかであった。「本当にたくさんの人に支えられた最高のプロレス人生を送れました。最後に全員の気持ちとぶつかり合えたので、悔いはないです」。

今後の人生は、まだ白紙だという。タクシー運転手から内装業、熟女キャバクラまで、様々な選択肢を冗談めかして語るその姿に、悲壮感はない。「ここでたくさん試合して諦めないことの大切さを学んだので、今後も何か新たに挑戦したいことが次々と出てくるんじゃないかなと思って楽しみです」。
そして、最後にプロレスラーらしい、最高の「わがまま」を口にした。「いつでもアイアンマンなら、一般人になっても狙えるんじゃないかなって思ってるので。プロレスラーじゃなくなっても狙いにいっちゃおうかなって思ってます」。
泣き虫だった一人の女性が、プロレスと出会い、傷つき、悩み、それでも立ち上がり続けた5年9ヶ月。その全てが「真実」であったことを証明した夜。長谷川美子の『ノンフィクション』は、最高の形で完結した。しかし、それは同時に、新たな人生という物語の始まりでもある。

<写真提供:東京女子プロレス>















