【WWE】“美しき狂気”ジュリア、戴冠の告白「女子プロレスをなめられたくない」―その魂が世界を揺るがす

その狂おしいまでの美しさと、比類なきカリスマ性で日本のマット界を席巻した“美しき狂気”は、大海を渡り、世界の女子プロレス界をも震撼させている。WWE女子US王者、ジュリア。昨年9月のWWE移籍から、NXTでの王座戴冠、そしてスマックダウンへのメインロースター昇格後、わずか6週間でのUS王座獲得という、まさに“超スピード出世”。その展開の早さは、彼女自身の言葉を借りれば「それでこそジュリア」なのだろう。

だが、その華々しいキャリアの裏には、何があったのか。異国の地で直面したプロレス文化の違いへの戸惑い、偉大な先輩から授かった“金言”、そして彼女を突き動かす、あまりにも熱く、純粋な魂の在り処とは。

女子だけの祭典『エボリューション』、そして夏の祭典『サマースラム』を前に、今、新女王がその胸の内にある「ありのまま」を語り尽くす。

■超スピード出世の原動力。「なめられたくない」という魂

――第3代WWE女子US王座戴冠、本当におめでとうございます。日本のファンも、この快挙に歓喜しています。

ジュリア:ありがとうございます! 当然の結果だと思ってます。「ジュリアのプロレス人生は展開が早い」ってよく言われるんですけど、それでこそジュリアだなって自分で思ってる。だから、ベルトを獲った時は、嬉しいと同時に、どこかホッとしました。

――昨年9月のWWE加入から、まさに、あっという間の出来事でした。ご自身の強みが、これほど早くWWEという世界最高峰の舞台で認められた要因だとお考えですか?

ジュリア:自身の強み……。そうですね、周りの人たちに「自分が認められたくて」今まで頑張ってきた、というよりかは、「女子プロレスとして、なめられたくない」っていう気持ち。そして、自分自身も、女子プロレスというものを、なめられたくない。その気持ちで、ずっとやってきた結果が、日本での戦いの日々だったんです。

その日本での戦いを、WWEという会社がすごく評価してくれて、自分は今、ここにいるんだと思っています。

――その「魂」の部分が、ジュリア選手の最大の武器である、と。

ジュリア:やっぱりこっちに来てから、日本とアメリカのこのスタイルの違いっていうのに、本当に今でも「はぁ……」って悩むところはたくさんあるんです。未だに「難しいな」って思うことも、実際にたくさんある。そんな中で、自分の強みって言ったら……うん、やっぱり、いろんなものと戦ってるっていう、その根本にある気持ちの部分だったりとか、魂の部分だったりとか。自分は、そこが何より大事だと思うんで。

技がどうとか、もちろんそれもプロレスでは大事なんですけど、その根っこにあるものが、一番大事。なんか、そういうのが伝わって、その自分の熱い気持ちを、会社が受け取ってくれたのかなって。そういうふうに感じてます。そして、それがファンの皆さんにも届いていると信じてます。

 

■ASUKAが教えた“勝者の世界”。3時間の機内トークで得たもの

――先日、サウジアラビア遠征からの帰国便で、ASUKA選手と3時間にわたって深くお話をされたそうですね。その中で、何かヒントになったことや、感じたことはありましたか?

ジュリア:すごい、ありましたね。これもまた、日本とアメリカの違い、という話になるんですけど、日本って結構、試合の中で負けた選手の方が輝いちゃったりとか、目立ったりとか、話題を全部持ってったりとかって、結構あるじゃないですか。

――確かに、負けてなお強し、という美学もありますね。

ジュリア:はい。でも、ASUKAさんと話して教えてもらったのは、「アメリカはもう、ここは勝った人に全部スポットが行く世界だから」と。本当に、勝つか負けるかで、天地の差がある。そのぐらい厳しい場所に、自分はいるんだなっていうのを、改めて痛感しました。

――その言葉は、ジュリ選手にとって大きな衝撃だったのではないでしょうか。

ジュリア:衝撃でしたね。でも、その中で、勝つ者がいれば、もちろん負ける者もいるわけで。だって、負けた人にスポットが当たることがあっても、私はいいと思うんですよ。それがプロレスの面白い部分でもあると思うんで。もちろん、自分が負けるつもりがあるとか、そういう話ではなくって。なんだろう……その、負けの中にも何か物語というか、ストーリーというか、そういうのが何か見えてきたら、プロレスがもっと面白くなるのではないかな、と感じましたね。勝つことの絶対的な価値と、負けの中にある物語。その両方を理解することが、この世界で生きていく上で大事なんだな、と。

ASUKAさんがいたからこそ、WWEにおける女子の道が開けて、今、自分がここにいることに何かしら繋がっている。そう思うと、ASUKA選手と戦うっていうのは、私にとって一つの目標であり、夢でもあります。復帰してくれたことは、ファンとして、そして一人のレスラーとして、すごく嬉しいですし、近いうちに戦いたいなって思ってます。

■日米のプロレス、その違いへの挑戦。「いつか、オーラで圧倒できる存在に」

――日米のスタイルの違いというお話が出ましたが、ここまでNXT、そしてスマックダウンと戦ってきて、一番苦戦した点は何でしょうか。

ジュリア:いや、もう一番は、やっぱりスタイルが全く違うことですね。これは多分、もうみんな言うだろうし、自分も何度も話してきたんですけど……。日本から最初、NXTに来た時、もう、全然違くて。間(ま)を取る時間がないんですね。NXTは、とにかくGOGOGO! 次から次へと止まる時間がない。たくさん動きがあって、たくさんの技が出て、お客さんがテレビのチャンネルを変えないように出来上がってるプロレスというか。本当に、テレビで放送するためのプロレス。

――では、メインロースターが所属するスマックダウンは、また違う?

ジュリア:逆に、スマックダウンに来てからは、すごいゆっくりなんですよ。これはもう、NXTとは全然違う。自分は、日本で戦ってた時は、割と間を見ながら試合をするのが好きだったんですけど、ここでは間の取り方が、また違くて。もう、かも、全部が違くて、全然まだ勉強中ではあるんですけど。

何だろうな……もう、メインロースターの、本当のトップスターたちの選手たちを見てると、オーラで見せるというか。そこはやっぱり、NXTとも全然違う。けど、自分はそういうプロレスが大好きなので、いつか自分も、この場所で、オーラで圧倒できるような存在になりたいなって、すごく思いました。

――ファンの楽しみ方にも、違いを感じますか?

ジュリア:うん、そうですね。これもよく言われる話ですけど、アメリカの会場は、子供がすごく多くて、本当に“スター”を見に来てるっていう感じ。みんな、非日常の世界というか、お祭りを楽しみに来てるんですよね。

日本のファンっていうのは、楽しみ方が若干違くて、すごい技術をじっくり見たりだとか、そういう、じっくりと楽しんでる感じ。こっちだと、例えば同じロックアップからレスリングの攻防、っていうベーシックな動きでも、ものすごく盛り上がる。最初にそれを見た時は、本当にびっくりしました。ワンバンプ取るだけで、大歓声が上がる。そういう熱狂の仕方が、全然日本と違うなって。もう、盛り上がりに来てる、叫びに来てる。私の入場でも、一緒に踊ってる人とかも見たことがありますし(笑)。そういう感覚の違いは、すごいあると思います。

 

■US王者としての宣戦布告。「みんなビビらず来いよ」

――女子だけのPLE『エボリューション』では、バトルロイヤルへの出場が決定しています。大勢の選手の中で、US王者として、どんなインパクトを残したいですか?

ジュリア:聞いたところによると、20人か30人ぐらい出るみたいなので、そこでしっかりとインパクトを残して、次の防衛戦にふさわしい、いい相手が見つかるといいなって思ってます。

――すでに前王者のゼリーナ・ベガ選手は再戦を望んでいるようですが、ライバルになりそうな選手はいますか?

ジュリア:ゼリーナからの目線や発言だったりとかっていうのは、すごい受け取ってますよ。あとは……みんなビビらず来いよ、っていう感じです。WWE、かかってこいよ、っていう。自分はいつでも、誰でも受けて立つんで。

――そのUS王座のベルトは、新設されてからまだ日が浅いです。このベルトを、どういうものにしていきたいですか?

ジュリア:自分は3代目のチャンピオンで、結構まだ、割とできたばっかりで、色がついてないベルトだと思ってて。そういう、何色にも染まってないものを、自分の色に染め上げるのは好きなことなので。だからこそ、WWEのやつら、みんなかかってこい、って感じですね。本当に、その中で、とりあえず私はもう、シングルマッチがすごい好きなので、私のシングルを組まないなんて、あり得ないと思います。どんどん組んで欲しいなと思います。

■偉大な先輩と、巨大組織のスケール、そして英語との格闘

――WWEには、イヨ・スカイ選手という偉大な日本人王者もいます。彼女の存在は、刺激になっていますか?

ジュリア:いやもう、イヨさんは、もう、完璧すぎて、文句なしというか。なんだろう……普通、人間って、「ここが欠点だよね」って言おうと思えば、いくらでも言えると思うんですけど、イヨさんって、そういう欠点がないんですよ。

プライベートでも、結構一緒に朝、キックボクシングのジムに通ってるんですけど、そこで一緒になることが多くて。その練習でも、自分にすごい厳しい姿勢というか。何かそういう普段の生活から見ても、「あ、この人、完璧なんだな」っていうところは、めっちゃ尊敬しますね。かっこいいなって思います。

――目標となる存在でしょうか。

ジュリア:そうですね。本当に、こっちに来てから、たくさんのことをアドバイスしていただいたり、教わったり、してるので。お姉さんみたいな感じですかね、今は。でも、いつか対等か……。自分とイヨさんが、対等の立場で向き合えるように、すぐになってやるんで。まだ自分はこっち来たばっかりで、ファンの認知とかも全然足りてないので。もっとこう、上がっていって、大きな存在になってから、いつか向き合いたいなと思ってます。

――WWEという組織のスケールの大きさ、例えば待遇面などで、日本時代との差を感じることはありますか?

ジュリア:いやあ、全然違いますよな。もう、すごい大きいなって思うのが、ドクターがいて、メディカル施設みたいなところがパフォーマンスセンターにあるんです。本当に、ちょっと体の異変を感じたり、それは風邪とか、皮膚とか、何でも。そこで全部見てもらえる。そして、メディカルのドクターたちが、プロデューサーやコーチ陣と連携を取って、今の自分の状態っていうのを、しっかり把握してもらえてる。これは、すごいことですよ。

自分は、日本では結構ハードな試合が多かったので、負傷箇所も多かった方なんです。そこが、ここで本当に回復しきったところが、何より今の喜びですね。体がどんどん元気になってる。これは本当に、WWEっていう大きな組織だからこそだと思います。

――選手生命に関わる、非常に重要な部分ですね。

ジュリア:はい。あと、もう一個思い出しました。サウジアラビアに行った時、飛行機に初めて、何て言うんですか、ビジネスクラスなんですかね、あれは。エコノミーしか乗ったことなかったので。シートで横になって、メニューが出てきて、すごい温かい、美味しい料理が出てきて、フォークとナイフで食べる、みたいな。ステンレスの。びっくりしました。さぞ、嬉しくて(笑)。WWEに所属しなかったら、こんな経験することはきっとなかっただろうなって。本当に、初めての経験がたくさんあるんで、会社には感謝してます。

――パフォーマンスにおいて、言葉の壁は大きな課題だと思います。語学の勉強は、どのようにされてきたのですか?

ジュリア:それがですね……日本時代から、同じ団体の中に外国人選手がいて、自分、結構その外国人選手と話すの、好きな方だったんですよ。けど、全然元々、勉強とか全然してなくて。「私は喋れなくても、ノリで行けるから」って思い込んでた部分があって。こっちに来る前も、半年前ぐらいから勉強は始めたんですけど、ギリギリまで試合がたくさんあったので、集中して勉強する時間が本当に取れなくて。

でも、「ノリと勢いで何とかなるっしょ」っていうのはあったんですよ。だけど、実際に来た時に、その自信はもう、打ち砕かれて。はい。もう、英語は本当に、何よりも大事なんじゃないかなって思いました。

――今は、手応えを感じていますか?

ジュリア:(苦笑しながら)恥ずかしい話なんですけど、語学クラスにずっと通ってて。定期的にテストを行うんですね。初めてこっちでテストを受けた時、変な自信があって、「まあ、中間ぐらいまではいけるかな」みたいな。そしたら、結構0点に近い点数が出て。そっから10ヶ月経つんですけど、最近、やっと真ん中より上ぐらいの点数が取れるようになって。それはもう、数字が結果として出てるなって思うんですけど、でも、やっぱりもっと自然に話すにはどうすればいいんだろうとか、発音とか、聞き取れないとか、まだまだ課題はたくさんありますね。

――プロレスラーは、自分の言葉で表現することが求められます。これからのジュリア選手の発信にも期待しています。

ジュリア:はい、そうなんです。ありがとうございます。頑張ります。

 

■新女王が見据える未来

――ありがとうございます。それでは最後に、改めてファンへメッセージをお願いします。

ジュリア:女子だけの大会『エボリューション』、そして夏の祭典『サマースラム』。ジュリアのことが好きで好きでたまらない諸君、ごきげんよう。USチャンピオンのジュリアです。必ず、私が一番目立って、一番輝いてみせるので、皆さん、ABEMAでWWEを見てください。応援しなさい! それじゃ、レベルが違うんで。またな!

――本日は、本当にありがとうございました。

なおジュリアが出場するプレミアム・ライブ・イベント『エボリューション』はABEMAにて生中継(無料放送)が決定している。

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