【HEAT-UP】“壁”を超え、新時代の象徴へ。秦野友貴、団体の未来を懸けたメインイベントへの覚悟「僕が、HEAT-UPを若返らせる」
学生プロレスのトップスターから、プロの世界へ。故ハヤブサに憧れた少年は、今、団体の未来をその双肩に背負い、レスラー人生最大の岐路に立っている。プロレスリングHEAT-UP生え抜きのホープ、秦野友貴。
HEAT-UPが年に一度開催する、最大規模のビッグマッチ『超KAWASAKI』。そのメインイベントで、秦野は団体の至宝・HEAT-UPユニバーサル王座に挑む。だが、状況はあまりにも過酷だ。団体のシングル、タッグ、全てのベルトが外部に流出するという非常事態。そして、目の前に立ちはだかる王者は、秦野のデビュー戦の相手であり、キャリアの節目節目で常に厚い“壁”として君臨し続けてきた、定アキラ。
メインイベンターとして感じる凄まじい重圧、因縁の相手への恐怖と尊敬が入り混じった複雑な想い、そして、王者になった先に見据えるHEAT-UPの新たな景色とは。その誠実な言葉の奥に隠された、熱き闘志の全てに迫った。
【大会概要】
『HEAT-UP×とどろきパーク〜超KAWASAKI2』
【日時】2025年8月17日(日)13:00開場/14:30開始
【会場】東急ドレッセとどろきアリーナ(川崎市とどろきアリーナ)
<対戦カード>
▼第9試合 HEAT-UPユニバーサル選手権試合 60分1本勝負
[王者]定アキラ vs 秦野友貴[挑戦者]
※王者・定アキラ初防衛戦。
■メインイベンターの告白。「整ったためしがない」重圧との闘い

――キャリア3年目にして、団体最大規模のビッグマッチのメインイベントで、シングルの至宝に挑戦します。今の率直な心境はいかがですか?
秦野:この、とどろきアリーナという会場は、僕らが年間を通して行う興行の中で、会場のサイズも、来てくださるお客様の数も、全てにおいて一番大きい規模なんです。そのメインイベントに、自分が立つ。前回のとどろき大会でも、タッグでしたけどメインに立たせていただいたんですが、今回もまた、自分がメインなのか、と。正直、「またこのメインに立ってしまうのか」というのは、ナーバスになったり、逆に興奮したり……そういう感情の波が、日々来ている感じですね。
――ビッグマッチが近づくにつれて、その波は高くなっていくものですか。
秦野:はい。「これは絶対にイケるぞ」「大会は必ず成功するな」って、すごく調子がいい時は思えるんですけど、ふとした瞬間に「ヤバい、もう日にちがない」とか、そういう焦りで、だんだん気持ちが落ちてきて。その繰り返しです。直前までそれを繰り返して、もう、入場曲がかかっちゃったら「えいっ!」て、全部捨てていくというか。ある意味、投げやりになって飛び込んでいくような感覚が、毎回ですね、僕は。
――その、メインイベンターとしての重圧と向き合うために、何か独自の方法論はありますか?
秦野:いや……整わないので、もう。
――整わない、ですか。
秦野:はい。整ったためしが、正直なくて。デビュー戦から、ずっとそうです。試合のこと、対戦相手のことを考えれば考えるほど、いいイメージができてテンションが上がる時もあれば、「あ、ヤバい、こういう可能性もある」とか、相手のすごさに改めて気づいた時に、ガクッと落ちてしまったりする。
でも、それはちゃんと試合のことを考えているからこそ生まれてくる波なのかな、とは思うようにしています。その準備期間に考えてきたこと、感じてきた波は、リングに上がってしまえば、もう考えている余裕はなくなるんですけど、その内容、戦略みたいなものは、頭の片隅に残っている。そういう感覚で、いつも戦っています。
■デビューから続く因縁。定アキラという名の、あまりにも高い“壁”

――そのメインイベントで対峙するのが、現王者・定アキラ選手です。彼に対しては、どのような印象をお持ちですか?
秦野:定さんとは……もう、本当に、僕のキャリアの全てに関わっている、というか。実は、僕のデビュー戦の相手も、定選手なんです。
――そうでしたか。
秦野:はい。それから、タッグのベルトを僕が初めて戴冠した時、そのベルトを獲った相手も定選手のチームでした。一度、そのベルトを落としてしまったんですが、また取り返して、約1年間防衛を続けて、そのベルトを最終的に奪われた相手も、定選手だった。そして今年の5月、名古屋のビッグマッチで、僕が別のパートナーとタッグ王座を獲った時も、僕が直接3カウントを奪ったのは、定選手からでした。
なんて言うんですかね……僕がプロレスラーになるタイミング、タイトル戦線に絡むタイミング、チャンピオンになるタイミング、そして、チャンピオンじゃなくなるタイミング。その全ての節目に、定選手という存在が現れてくる。僕にとって、そういう“壁”ですね。
――デビュー戦の相手と、団体の頂点を懸けて、最大規模の大会のメインで戦う。非常にドラマチックな巡り合わせですね。
秦野:いや、本当にそう思いますし、色々と思い返してしまいますね。もともとは、練習生の時に、もう理不尽に蹴飛ばされたりして、「なんだ、この人は」っていう、どちらかと言えばマイナスなイメージが強かったんです。デビュー戦が決まった時も、恐怖と同時に、「今までやられてきた分を返してやる」という気持ちで戦っていました。
でも、タイトルマッチとはどういうものか、プロレスの試合とはどういうものか、その厳しさ、痛さ、怖さ、そして凄さ。そういうものを、僕は全部、定さんから、その身体で食らってきてしまった。向こうに教えるつもりがなかったとしても、結果的に、僕は定さんから、勝手にプロレスを教わってしまった、みたいな感覚なんです。
――恐怖の対象から、いつしか、プロレスの師のような存在に。
秦野:はい。だから、正直な気持ちを言うと……もし、僕がHEAT-UPの所属じゃなくて、このベルトが懸かっていなければ、本当は、王者・定選手という存在を、僕が一番見ていたい、と思ってしまうんです。それぐらい、今は自分の中で、すごく大事な選手になっている。
でも、僕はHEAT-UPの所属で、これはHEAT-UPのベルトなんで。「見たい」という気持ちを押し殺してでも、僕が獲りに行かないといけない。お客さんにも、そして何より、その定さんに、ちゃんと認められる形で、チャンピオンにならなければいけない。そう思っています。














