初めて見たプロレスが5★STAR GPのスターダム吏南 初出場初優勝最年少優勝へ!
「写真提供:新井宏」
しかしながら、落ち込んでばかりもいられない。22年には新ブランド「NEW BLOOD」が誕生。これは天咲光由のデビューに合わせてスタートした若手のための大会だったが、吏南は第1回大会には出場していない。学校の関係でスケジュールが合わなかったこともある。これも当時の吏南にはハンディになっていた。
それでも徐々にNB戦線に食い込み、やがては若手選手が対象のフューチャー・オブ・スターダム王座を奪取。しかも姉・羽南が樹立した同王座最多防衛記録を公約通りに抜き去り、12度防衛という新記録を達成してみせた。さらにはNEW BLOODタッグ王座も稲葉あずさとのコンビで奪取し、NBのカリスマ的存在感を発揮していくのである。
「私以外で誰がこのNBを引っ張るの? 私がやらなきゃって思いましたね。フューチャーを巻いてメインを託されるようになって、責任感が出てきたんだと思います」
そして今春、吏南、妃南ともに高校を卒業した。妃南が大学進学を決めた一方で、吏南はプロレスに専念。結果的に、2人とも中高6年間をプロレスラーとして完走した。
「そもそも高校に行く時点から迷ってたんですよ。当時からプロレス一本でやっていきたかったんです。だけど親や先生からとりあえず高校受験を受けてと言われて。なので、今回も迷いはなかったですね。高校卒業後の就職とか進学とか一切考えなかったです。プロレスしかないですね」
今年に入ると安納サオリとの決定戦を制し、2月にスターライト・キッドのワンダー・オブ・スターダム王座に初挑戦。3月にはシンデレラ・トーナメントで準優勝と結果を残した。そして高校を卒業し、プロレスに専念できる環境が整った。

「写真提供:スターダム」
とはいえ、彼女には(妃南、羽南にも)学校とプロレスの両立が当たり前だっただけに、急な環境の変化にすぐ対応できたのだろうか。
「違和感というか、どうしてあんな生活ができたんだろうと思いますね。いまでさえ休みがないとか身体が痛いとかあるのに、ちょっと前までは学校行ってプロレスして。学校を休むこともなかったし、マジでなんでできたんだろうと思います。いまやれと言われても、もう絶対に無理です(笑)」
しかしながら、これがモチベーションにもつながっている。プロレス専念の意味を結果で証明したいと考えているのだ。

「写真提供:スターダム」
ところが、思っても見ないところで足元をすくわれる。7・4「NB」板橋で儛島エマのスワンダイブ式ボディーアタックを受けたときにまさかの負傷。脳震とうの疑いで病院に搬送されたのだ。
「NB卒業を宣言しておきながら、第1試合でまだ勝ったことのない新人に負けて…。目の前に飛んできたところから救急車に乗せられるところまで記憶がないんですよ。メチャ泣いてたらしいですけど」
搬送に付き添ったスタッフによると、吏南はこのとき「引退してやる!」と叫んでいたという。吏南にとっては痛恨の極みながら、そこから出てきた彼女らしいジョークにも聞こえるのだ。当時の状況では話もでき、身体も動かせた。さいわい、大事には至らず、発生時の団体の対応も、観客への説明を含め迅速で的確だった。
そして復帰戦が、5★STAR GP開幕戦。その前の数試合は大事をとっての欠場で、満を持してのリーグ戦突入。そして彼女は、4連勝の快進撃を見せた。しかも誰もが納得のいく勝ち方で。直近で2連敗も、決勝トーナメント進出の可能性はまだ残されている。

「写真提供:スターダム」
「正直、また記憶が飛んだらどうしようというトラウマがありました。なので、入場前はかなり緊張しましたね。でもいざ始まると、やってやろうとの気持ちになって。5★STARにはずっと出られなかったし、今回出たけど実績で選ばれたのではないと思うので自分が望んだ形でのエントリーではない。7年間我慢してきた悔しさと、今回の人選への思いを全部ぶつけてやろうと思います」
残る公式戦は、8・16横浜でのキッド戦。白いベルト戦のリベンジであり、この試合で決勝トーナメント進出か、敗退かが決まることになるのだろうか。
「キッドにリーグ戦の初黒星を私がつけたかったんですよ。だけど開幕戦で(稲葉ともかに)負けやがって。それでも、ここで勝てばまた白に挑戦するチャンスも出てくるだろうし、優勝に向けてもあとがないので勝つしかないですね!」
それにしても、姉妹3人が現役を続けているのは奇跡としか言いようがない。しかも全員が今年のリーグ戦にエントリー。3人が揃ってスターダムのトップに立つ日も、そう遠い未来ではないのかもしれない。
インタビュアー:新井宏
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