【新日本】『G1 CLIMAX 35』総括!新世代の台頭と団体への不信――希望と失望が交錯した真夏の祭典
批判の矛先はどこへ向かうのか――『G1 CLIMAX 35』と団体の責任
2025年、新日本プロレス“真夏の最強戦士決定戦”『G1 CLIMAX 35』は激動の大会となった。
KONOSUKE TAKESHITAが三団体を跨いで初優勝を飾り、辻陽太や海野翔太ら新世代が爪痕を残した。
さらに棚橋弘至が“人生最後のG1”に挑み、長年の物語に一区切りをつけた。
歴史に残る要素が揃った大会であったことは間違いない。
しかし、その影で大会を覆った影がある。EVILを筆頭とするHOUSE OF TORTUREの常習的な介入劇である。
リング上での決着を期待するファンの想いを踏みにじるような乱入、凶器攻撃、レフェリーを翻弄する姑息な戦術。
それがシリーズを通じて繰り返された。観客の失望は「選手」ではなく「団体」に向かった。
「なぜあのような介入を放置するのか」「真夏の最強戦士決定戦の権威を軽んじているのではないか」と批判が噴出したのである。

野球やサッカーでは起こらない批判
選手の海外挑戦や移籍が団体批判に直結するのも、プロレス特有の文化だ。大谷翔平がメジャーへ行ってもNPB批判は起こらない。
久保建英が欧州で躍動してもJリーグに怒りの矛先は向かわない。ファンは「日本人選手が世界で羽ばたく」ことを純粋に誇りに思う。
だがプロレスでは違う。この数年、新日本を代表するスターが次々と旅立った。
AEWへはケニー・オメガ、飯伏幸太、ジェイ・ホワイト、ウィル・オスプレイ、オカダ・カズチカという、いずれも団体の顔であった者たちが渡った。
オカダが去った衝撃は、まさに地鳴りのようであった。新日本の至宝が異国のリングに立つ姿を見て、胸に穴が空いたようなファンも多いだろう。
一方、WWEへは中邑真輔、AJスタイルズという国際級のスターが早い段階から参戦。
近年ではタマ・トンガ、タンガ・ロア、ヒクレオといった血脈の継承者たち、さらにはジェフ・コブまでが挑戦の場をアメリカに移した。
そして退団組。内藤哲也、BUSHIが去った事実も重い。ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポンという時代の象徴的ユニットが大きな転換期を迎えたことは間違いない。
これほどの主力離脱が続けば、団体の基盤は揺らぐ。だからこそファンの不安が批判へと変わるのも理解できる。
ファンが「選手に魅力がないからではない」「団体に問題があるのでは」と批判を団体へ向けるのも無理はない。
契約交渉の在り方、選手のモチベーション管理、さらには国際的な活動方針。すべてが問われている。
選手の夢を応援したいファン心理と、「団体が守りきれなかったのでは」という失望感。その矛盾がSNS上で噴き出す。

そして今年は、G1の大舞台でHOUSE OF TORTUREの介入を黙認した団体運営への批判が、その矛先を一層鋭くした。
ファンは選手の夢を応援したい気持ちと、団体が競技の本質を軽んじているのではという不満の間で揺れ動いたのである。
だが一方で、選手たちには選手たちの事情がある。オスプレイは新日本で全てをやり尽くしたと語り、オカダは世界を見据えた挑戦を選んだ。
中邑のWWE移籍が日本人選手の国際的な地位を押し上げたことは、誰もが認める事実である。
プロレスはグローバルな産業である。AEWもWWEも、日本のリングと繋がり続けている。
彼らの挑戦は、日本のプロレス文化を世界に拡散する役割も担っているのだ。













