スターダム儛島エマは自衛隊出身「自分が好きなことを一度でいいからやってみようと思って」

「写真提供:STARDOM」
自身が理想とするAZMとのデビュー戦を終え、儛島のプロレスラー生活が本格的にスタートした。連戦や巡業も順調にこなしていく。が、彼女は若手興行NEW BLOODの7・4板橋で予期せぬアクシデントに見舞われた。その日の儛島はAZMとともにあこがれの選手のひとりである吏南と初のシングルマッチ。吏南はNBを牽引してきた存在だけに、よりいっそう気合いの入るシチュエーションだ。「吏南さんにガッカリされたくないし、そのうえで勝ちたい気持ちが強かったです」。そんな思いでリングに上がったのだが…。
スワンダイブ式ボディーアタックは彼女の得意技だ。毎試合出すと言ってもいい定番ムーブでもある。この日も吏南に繰り出した。それはいつもの動き、いつものタイミングのように見えたのだが、受け身を取ったはずの吏南がダウンして動けなくなってしまう。そのまま試合はレフェリーストップで終了。吏南のTKO勝ちが宣告された。これが儛島エマの初勝利だ。が、うれしい勝利と言えるものではない。吏南は救急車で病院に搬送された。
「アタマが真っ白になりました。勝ち名乗りを受けたときにちゃんと前を向かないといけないと思って、一礼して控室まで戻ったのはおぼえているんですけど、そこからずっとどうしようって混乱していました」

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スタッフや選手が手際よく対応、状況が随時場内で報告もされたため、ファンにも大きな混乱はなかった。さいわい、吏南の意識はハッキリしており、大事を取ってしばらく欠場したものの、その後の活躍はファンなら承知だろう。
一方で、心配されるのが儛島の心のケアだ。この一件がトラウマになってしまう可能性もなくはない。実際、「怖いとも思いました。人前に出るのも不安でした」とのこと。それでも7・6後楽園では「吹っ切るため」にも試合をした。そこでは「エマ!」と呼んでくれる観客の声援に救われたという。そして完全に吹っ切れたのは、吏南と再戦をおこなった9・6横浜武道館。あのときのやり直しだからこそ、勝って正真正銘の初勝利を飾りたかったというが、そこまでには至らず。それでもスワンダイブはしっかり決めた。しかも、いつも以上に大きく、華麗で、ダイナミックに見えたのだ。
「踏み出す瞬間にはNBでのことがアタマをよぎってしまいました。それでも、自然にできたとは思います。吏南さんなら絶対に受け止めてくれると信じて。(決まった瞬間)時計の針が動き出したというか、ここからがスタートだと思いましたね」

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試合ではなにが起こるかわからない。できれば経験しない方がいいのだが、彼女はこの出来事によりあらためてプロレスを知ったとも言えるのではないか。正真正銘の自力初勝利が、当面の目標だ。
となれば、現実的には同期からの勝利となるのだろう。もちろん、ピンフォールやギブアップでの白星を狙いたい。
「やっぱり同期全員を意識しますよね。とくに同日デビューの古沢稀杏は意識せざるを得ないというか、イヤでも意識してしまう相手です。また、いま欠場している浜辺纏にも戻ってきてもらって、早く闘いたいです」

めざすレスラー像はハイフライヤー。その通り、彼女のドロップキックのなかには目を奪われる一発がある。最初の頃はまったくできなかったというが、練習に練習を重ね、磨きをかけてきたのだ。
「ドロップキックってプロレスならではの技だし、華のある技でもあるので、どうしてもきれいに高く打ちたいんです。教わり出した頃は下手で低くて、本当にダメだったんですけど、きれいに高く打ちたいとの思いで練習して、思いっきりよく打つことを心掛けていくうちに高くなっていきました」
美しくて打点の高いドロップキック。そんな一発はプロレスを見るうえでのカタルシスに直結する。だからこそ儛島は、この技を大事にしたい。そこからめざすはハイスピード王座。現在、テレビではスターダムのオーディションの模様が放送されている。彼女たちがデビューする頃、先輩となっている儛島のポジションはどうなっているのだろうか。
インタビュアー:新井宏














