【2AW】父になったチチャリート・翔暉が数年の時を経て、かつての“コーチ”土井成樹とのタッグで挑む王座戦「一生交わることがないと思っていた」

千葉密着・発信型プロレス2AWのリングで、スピーディーかつテクニカルなファイトで唯一無二の存在感を放つ、チチャリート・翔暉。

眼窩底骨折というレスラー生命を脅かす大怪我を乗り越え、そして、一人の父親となったチチャが、キャリアの節目に、あまりにも運命的なタッグ王座戦を迎える。

パートナーは、かつてチチャがドラゴンゲートの練習生として門を叩いた時代、練習の長として指導にあたっていた、あの土井成樹。数年の時を経て、奇跡のように繋がった点と線。

守るべき家族のために戦う覚悟と、過去の自分と向き合う特別な一戦。10.12後楽園ホール決戦を前に、その胸の内にある、熱き想いの全てに迫った。

『稲垣テントプレゼンツ GRAND SLAM in 後楽園ホール』
日時:2025年10月12日(日)開場10:30 / 開始11:30
会場:東京・後楽園ホール

<決定対戦カード>

▼2AWタッグ選手権試合
《王者組》真霜拳號&最上九
vs
《挑戦者組》チチャリート・翔暉&土井成樹(フリー)

■父になって、強くなる。「家に帰るまでがプロレスなんです」

――本復帰後、精力的に活動されていますが、その間にご結婚、そしてお子様も誕生されたということで、誠におめでとうございます。

チチャ:ありがとうございます!

――父親になって、心境に変化はありましたか?

チチャ:やっぱり、守るものがあると、「頑張ろう」っていう気持ちになりますね。その気持ちが、ほとんどなんですけど……でも、その反面、怪我をすることが、今までよりも怖くなったな、というところは、正直あります。

――分かります。自分一人の身体ではなくなりますからね。

チチャ:はい。もう、奥さんも、自分の子供もいるので。「元気に家に帰る」というのが、何よりも一番になりました。よく遠足で言いますけど、本当に「家に帰るまでがプロレス」。今は、まさにそういう気持ちです。

――多くのレスラーの方が、お子さんが生まれると、そうおっしゃいますね。

チチャ:そうですね。やっぱり、みんな、身体には一番気をつけたい、って思うようになるんだと思います。

――その身体の面で言えば、以前、眼窩底骨折という大きな怪我をされましたが、その後の経過はいかがですか? 先ほど伺ったところ、視力がかなり回復されたとか。

チチャ:はい、おかげさまで。もう、回復しすぎて、周りの人が引くぐらい(笑)。もともと左目は良かったんですけど、怪我をした右目がほとんど見えなくなってしまって、ずっと車酔いしているような、気持ち悪い感覚が続いていたんです。それが、良い方の左目に釣られるように、どんどん回復してくれて。今では、外の景色の、遠い看板の文字も見えるぐらいには戻りました。

――それは、精神的にも、かなり大きいのではないでしょうか。

チチャ:だいぶ、不安は減りましたね。ただ、やっぱり、ちょっと疲れてきたり、試合が終わった後なんかは、手術したところに、モヤモヤするような、変な違和感はまだあります。でも、日常生活や試合に、大きな支障はないかな、というぐらいです。

――お父さんとして、リングの上でも、さらに輝く姿を見せていかなければなりませんね。

チチャ:頑張ります。本当に。ジャンボなビッグベイビーで、もう、可愛くて仕方がないんですよ。男の子なんですけど、愛おしくて。その子のことを考えると、本当に、頑張れるんですよね。

 

■10.12後楽園、運命のタッグ王座戦へ

――その新たな覚悟を胸に、10月12日の後楽園ホール大会で、2AWタッグ選手権に挑みます。王者組は、真霜拳號&最上九。非常に手強い相手です。

チチャ:はい。でも、後楽園ホールでタイトルに挑戦できる、ということが、まず何よりも意味があると思っています。そこでベルトを掲げることができれば、団体の舵を、また新しい方向に切れるんじゃないか、と。他の会場でのタイトルマッチも、もちろんモチベーションは高いですけど、やっぱり、自分たちの団体の一番のビッグマッチである、後楽園ホールでベルトを掲げるっていうのが、一番大事な気がします。

――対する王者組は、真霜選手、最上選手。パワー、キャリア、そして悪賢さも兼ね備えた、難攻不落のチャンピオンです。

チチャ:そうですね。でかいですよね、あの二人。しかも、真霜選手は、チャンピオン・カーニバルでもバリバリに活躍されていましたし。一時期は「五冠王だ」なんて、調子に乗ってたみたいですけど(笑)。今はもう、全日本さんとZERO1さんのベルトは落として、二冠王。ここから、私と土井さんで、この2AWのベルトも引っぺがしてやろうかな、と。どんどん、身軽にさせていこうと思っております。

――この一戦には、世代交代というテーマも懸かっているように感じます。

チチャ:そうですね。それと、僕が我慢ならないのは、あの二人の戦い方なんですよ。真霜&最上組は、平気で武器を使ったり、介入したりする。そんな彼らが、2AWの“顔”としてベルトを巻いているのが、僕は納得いかない。正々堂々と戦ってこそのチャンピオンだと、僕は思うので。そういう意味でも、絶対に負けられないですね。

 

■数年の時を超えた邂逅。コーチ・土井成樹との“奇跡”

――そして、今回の挑戦で、最大のサプライズは、パートナーが土井成樹選手である、ということです。まさか、この二人がタッグを組むとは、誰も予想していなかったと思います。

チチャ:僕も、まさか土井さんと挑戦できるとは、思わなかったですね。

――お二人の間には、ほとんどのファンが知らない、特別な繋がりがあるそうですね。

チチャ:はい。先日、土井さんご自身がリング上で明かしてしまったのですが……。僕、プロレスラーになる前、ドラゴンゲートさんの寮に、練習生というところまではいきませんが、“寮生”という形で、半年ぐらいお世話になっていた時期があるんです。

――そうだったんですか!

チチャ:はい。そして、その時の練習を見てくださっていた、選手の長(おさ)が、土井さんだったんですよ。

――なんと! まさに、当時の“コーチ”と。

チチャ:そうです。だから、僕が2AWでデビューしてからも、そのことは、ずっと言わなかったんです。途中で逃げ出したみたいで、恥ずかしいじゃないですか。でも、土井さんがリング上で言っちゃったんで、もう解禁です(笑)。そのご縁もあって、今回、タッグを組んで挑戦することになりました。

――2AWのリングで、土井選手と再会した時は、どのような感覚でしたか?

チチャ:緊張しましたね。めちゃくちゃ、緊張しました。挨拶に行った時も、「あの時、少しだけお世話になってました…」って言ったら、「え? いたの?」みたいな感じで。まあ、覚えてはいないでしょうけど(笑)。でも、ある意味、覚えていなくて良かったな、っていう安心感もありました。

――当時の、トップスターであり、厳しい指導者であった方と、数年の時を経て、同じコーナーに立つ。プロレスのドラマを感じずにはいられません。

チチャ:もう、一生ないんだろうなって、思ってましたから。試合をするだけでも緊張したのに、まさか、タッグを組んで、タイトルマッチまですることになるなんて。本当に、プロレスの縁というか……。よく、「点と点が線で繋がる」って言いますけど、僕と土井さんという点は、あまりにも離れすぎていて、もう一生交わることはないんだろうなって、本気で思っていたんで。神戸と千葉、地理的にも遠いですしね。

だからこそ、この縁を、絶対にここで終わらせたくない。ベルトを獲れば、このタッグは続いていくわけじゃないですか。そういう、いろんな意味が込められた、タイトルマッチなんです。

――パートナーとしての土井成樹選手は、やはり頼もしいですか?

チチャ:めちゃくちゃ頼もしいです。それに、すごく勉強になりますね。僕らの階級で、あれだけのキャリアを積み重ねて、今もトップで戦っている。その試合運び、特に、緩急のつけ方は、本当にすごい。僕には、まだ足りない部分なので。なかなか直接お会いする機会はないですけど、映像を見て、必死に勉強しています。

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