「アイアムノア」の潮﨑豪が退団でいよいよ注目されるOZAWAと清宮海斗の今後

【柴田惣一のプロレス現在過去未来】

ノアの主導権争いが風雲急を告げている。

「アイアムノア」潮崎豪の退団を受け、欠場中のOZAWAが「アイアムノアを受け継ぐ」とさっそくぶち上げれば、清宮海斗は「すべてはノアのために」とアピール。GHCヘビー級王者はKENTAであり、N-1覇者のマサ北宮の毒舌もいよいよ冴えわたっている…。

潮崎の2度目のノア退団は大きな波紋を呼んだ。ノアの生え抜きであり三沢光晴が急死した直後にGHCベルトを巻いた男は、2012年暮れに退団すると、翌13年に全日本プロレスにフリー参戦後、入団。5冠王となったが、全日本を去り、16年にはノアに再入団した。

ノアと全日本の2団体の頂点を極めた戦績は輝かしい限りだが「これからは自分を必要としてくれる場所で挑み続ける」と、ノアとは別の道を模索している。

プロレスラーが、闘いがいのあるリング、より良き待遇を求めて戦場を移すのは自然なこと。決して責められることではない。

だが潮崎は「アイアムノア」と散々、口にしていた。当初は「出戻りのどの口が言う」と否定的だったファンが多かったのも事実。ところが継続は力なり。言い続けることにより、徐々に受け入れられるようになったものの、二度目のサヨナラとなると、一部からの激しい批判は仕方がないだろう。

潮崎も覚悟の上だろうが、一連の騒動をチャンスと受け止めたのがOZAWAである。「そうなると、消去法で僕がノアになってしまいますかね…。I am NOAH いただきます」とSNSに投稿。今年元日からノアの中心に立ち「聖地」後楽園ホールを満員にし、欠場後も何かと注目を集めている。まさに名実ともに「アイアムノア」と言っていいだろう。

もちろんOZAWAに黙っていられない者もいるだろう。誰あろう、清宮だ。OZAWAの台頭ですっかり主役の座を追われてしまった。絵にかいたような「ノアのエース」はブーイングにさらされ、地獄の底に叩き落されてしまった。

すっかり落ち込んでいたが、ここにきて「誰も味方してくれない」心の底の想いをストレートに表現することで「反骨の貴公子」ぶりを発揮。ファンの支持を取り戻しつつある。

「WRESTLE ODYSSEY」(10月11日、東京・両国国技館)大会では、新日本プロレスの棚橋弘至との超党派コンビで、拳王、丸藤正道組と対戦するが、拳王をトム、丸藤をジェリーと人気コミックの「トムとジェリー」に例えるなど、これまでの清宮とは一味違ったコメント。話題を呼んでいる。

一時期は封印していた「すべてはノアのために」というセリフで自己主張も欠かさない。根っからの陽性キャラでナイスガイが、少しばかり拗ねたことで新たな魅力を発揮しだしたと言っていい。魂のボヤキだと注目するファンもいる。

「ポスターの端っこ。しかも横向き」と会社サイドの扱いにクレームをつけたところ、ファンに受けたとあって「横向き」Tシャツが発売された。清宮自身は今一つ納得していないようだが、実は清宮のLINEのアイコンは昔から横を向いている。

ちなみに拗ねる人、変わり者を相撲用語では「北向き」という。プロレス界に大相撲出身者が多かったころは「あいつ、なんで北向いているの」「すぐに北向くからな」などと、よく耳にした。

清宮の「横向き」を「北向き」としたら、ベテランファンも喜んでくれるのではないか。

OZAWAと清宮に加えて、10・11両国大会で、GHCヘビー級王座を争う王者・KENTAと挑戦者・マサ北宮の「舌戦」も激しくなる一方。アチコチで火花が散っている。

ノアの舵を握るのは誰なのか? 興味は尽きない。

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