マリーゴールド“スーパールーキー”山岡聖怜にドラマチックでエモーショナルな10月!
今年初め、1・3大田区総合体育館で華々しいデビューを飾ったマリーゴールドの山岡聖怜(やまおか・せり)。最近では珍しい“鳴り物入りの大型新人(スーパールーキー)”だ。それだけ期待されているのは、オリンピックも目指していたというアマレスでの実績から。また、姉の山岡雅弥(みやび)もグラビアアイドルでありつつアマレスで好成績を挙げていることも、聖怜のプロレス入りを大きく後押ししたのではないか。
きょうだい全員で小さい頃から始めたというアマチュアレスリング。兄が誘われたのをきっかけに、家族ぐるみのアマレス生活が始まったのだという。
「最初はウエイクボードをやっていて、幼心にプロを夢見てもいました。それがあるとき、お兄ちゃんが相撲か何かの大会で体重100キロくらいの人を投げたとかで、『レスリングでもやってみたら?』と言われ、家族会議になりました。そこからお姉ちゃん、弟も含め、きょうだい全員がアマレスを始めたんです」
スポーツ家族に育った聖怜が小学4年生の頃の話だ。当時、兄が高校1年生で、姉が小6。弟は聖怜の4歳下である。
「レスリングもおもしろかったですね。きょうだいで私が一番ハマったかもしれません。自分、負けず嫌いなので(一対一で)勝負できるところにドはまりしたんです。オリンピックもめざしたいと思うようにもなりました」

そして聖怜は、レスリングで安部学院高等学校に入学。センダイガールズの橋本千紘もここから日本大学レスリング部に進学し、プロレス入りを果たしている。そんなアマレスの名門で腕を磨いていった聖怜。ところが、練習中のケガで選手生命を絶たれてしまう…。
「肩に脱臼癖がついてしまって。そのケガがあって高校をやめてしまいました。その後は通信制で学んでいったんですけど、レスリングはできなくなってしまったんですね。アマレスって一日練習をさぼったら3日してないのと同じと言われるくらい差がつくんですよ。1年練習できないとなれば、3年やらないことになるんです。なので、オリンピックは絶望的。休んでいる間、まわりの人が上がっていくのを見ているのもつらかったです」
自分からアマレスがなくなったら何があるのか…。空虚な日々が続いていた頃、偶然、プロレス会場に行く機会があった。それはプロレスを見るためではなく、姉のオーディションを見届けるためだった。雅弥が岩谷麻優をモデルにした映画『家出レスラー』の出演者募集に応募。最終選考に残り、リング上で紹介されたのである。スターダムの2022年9・11横浜武道館だ。
「そのときの試合(岩谷麻優vsジュリアの5★STAR GP公式戦)で、ジュリアさんに惹かれたんですよね。この人、すべてに関してカッコいいと思いました。オーラがすごいし、この人みたいになりたいって。それから自分がプロレスで(リングに)立ってる夢も見たりして。ジュリアさんの試合をもっと見たい、もっと前の席で見たいとなって、立川(同年10・23)のビッグマッチにも行きました。これが私とプロレスとの出逢いですね。これをきっかけに高3で(マリーゴールドの)練習生になりました。自分も一瞬(姉のように芸能界を)考えましたけど、世間はそんなに甘くない(笑)。お姉ちゃんは自分の魅力を出しててうらやましいと思いますよ。アマレスも一緒に練習してきて、(階級が違うので)正式に試合はしたことないけど一度も勝ったことがないし、すごいところありすぎて一番嫉妬してしまう相手です(笑)。アマレスはやめて後悔したこともあるし、ときどきやりたくもなるけど、でもいまは自分の中心がプロレスにあるって感じですね」

写真提供:マリーゴールド
プロレスに活路を見出したことで、アマレスへの思いを断ちつつアマレス経験も活かせる道を見つけた。実際、アマレスとプロレスではまったく異なると気づいたとはいえ、プロレスも勝負の世界。そう考えれば聖怜にはピッタリの世界ではないか。
「輝いている世界を見て、私は救われました。だったら、こんどは私を見て誰かが救われてほしいと思いましたね。ジュリアさんを見てカッコいいと思ったように、自分もそう思われる人間になりたい。(悩んでる人に)勇気を与えられるようなレスラーになりたいです」
聖怜のあこがれたジュリアはWWEへと旅立ってしまったものの、ほかにもたくさんの夢が生まれた。デビュー以来、ここまで約70試合をこなしてきた。所属団体によって試合数は大きく異なる。さいわい、マリーゴールドは試合が多く、実戦で腕を磨くにはいい環境と言えるだろう。しかも、団体の道場もオープン。同年代の選手が多いのも、彼女には大きなプラスだ。
「試合がたくさんあるのは、すごくうれしいです。プロレスラーになると決まってからプロレスをもっと知りたくて、男子の団体も見るようになりました。男子も女子も、すごく勉強になりますね。いまのペースだと、試合して回復させて練習して、また試合してと、自分にはちょうどいいのかもしれません」














