【新日本】4年越しの“人生を狂わされた”恨みを晴らす!K.O.BがIWGPタッグ初防衛!敗れた上村は「お前ら溶けてなくなるまで、俺がぶっ潰してやる」
新日本プロレス10月13日の東京・両国国技館大会『KING OF PRO-WRESTLING 2025』で行われたIWGPタッグ選手権試合は、王者組の“K.O.B”ことYuto-Ice&OSKARが、挑戦者組の海野翔太&上村優也を破り、初防衛に成功。しかし、その戦いは単なる王座戦ではなかった。
王者Yuto-Iceと挑戦者・上村の間に横たわる、4年8ヶ月越しの憎悪が爆発する、あまりにも個人的で、そして危険な“戦争”であった。
その因縁は、2021年2月14日の後楽園ホールに遡る。当時、“中島佑斗”としてデビューしたIceの最初の相手は、上村であった。
しかし、その試合は開始わずか52秒、Iceが左肘を負傷し、レフェリーストップという無念の結末を迎えた。その悪夢の記憶は、Iceの中で、上村への消えることのない憎悪として燃え盛っていた。

ゴング前から激しく睨み合う両者。試合は、その憎悪を象徴するかのように、乱闘で始まった。
Iceは序盤から上村を場外に引きずり込むと、テーブルを持ち出して殴打するなど、その怒りを隠そうともしない。

リング上では、K.O.B.の圧倒的なパワーと、海野&上村の新世代連携が激しくぶつかり合う。挑戦者組も合体バックドロップやダブルドロップキックで王者組を追い込むが、王者組の絆はそれを上回った。

終盤、上村がIceをチキンウィングアームロックで捕獲し、勝利は目前かと思われたが、OSKARがスリーパーからのチョークスラムでこれをカット。
最後は、Iceの正拳突き“AMBITION”から、必殺の合体技「K.O.B」を上村に完璧に決め、激闘に終止符を打った。

試合後、バックステージで、この戦いの根底にあったものが、それぞれの口から語られた。まず、新王者Iceは、自らのリングネームの由来と、その覚悟を明かした。

「これが“プロレス・ハイ”だ。海野翔太、お前少しは感じたか?出せたか?ドロドロしたナマの感情。会見でも言ったが、“ランナーズ・ハイ”はランナーしか感じられねえんだ。でも“プロレス・ハイ”はレスラーもファンも感じることができんだろ。(※水を飲んで)左ヒジから下の感覚がねえが、マジで最高だったな、オイ。(※ネックレスを示して)なぜ俺が“Ice”か、興味のねえヤツも、ちょっと耳貸せや。辻陽太、俺はよ、アイツのことが好きだ。言っとることもブレんしな。何ならリスペクトしちょるわ。アイツがよ、言っとったんだ。『HEAT STORMは太陽で、辻陽太は月だ』と。マジでその通りやと思ったな。かと言って俺はこのビジュアル。何なら、“主人公”、“センターポジション”になれねえようなヤツだ。アイツらみたいに、アスリートで表舞台に立っとらんかったしな。そんな俺が、どうやって上を目指すか。『NEW JAPAN CUP』優勝? 『G1』優勝? IWGP世界ヘビー? 獲るためには、どうするか。太陽とか月とか、その光の反射を利用すんだ。アイツらの光の反射を利用して、俺がさらに輝く。(※ネックレスを示し)そう、俺が“Ice”だ。俺がこれからこの業界で生き抜いていく、そのためにはよ、そういうヤツらの光っていう部分を引きずり出して、利用し、さらにソイツらより輝いて、自分の光でソイツらの光を呑み込む。そういう存在になる。(※ネックレスを示し)そういう存在、俺が“Ice”だ。オイ、次は誰だ、オイ?強えヤツ、かかってこい。ハイになりたいヤツはかかってこい。俺らがよぉ、負けることはねえんだ。どんな相手でもよぉ、俺が引きずり出してよぉ、俺が輝くために利用してやる。とりあえず、(※OSKARが持つベルトを叩いて)コイツを利用して、いっちょ金儲けだ。感じろ。Let’s get high!チッチッ、Big Up!」
一方、敗れた上村もまた、その憎悪を真っ向から受け止めた。

「Ice、OSKAR。何回でもかかってこいや。1対1でも、2対2でも、1対2でも、お前らまとめてぶっ潰してやるよ。あとIce、お前最後、何て言ったんだ?『俺らで作ろう』って、そう聞こえたけど、上等じゃねえか。お?何回でもぶっ潰してやる。お前ら2人、この俺、HEAT STORMが、お前ら溶けてなくなるまで、俺がぶっ潰してやるよ」

パートナーの海野も、「メチャクチャ強えな、K.O.B!『次は』とか『絶対』とか『死んでも』とか、もう言いたくねえんだよ。何としてでも、自力で勝ちにいかないと」と、その悔しさを滲ませた。

OSKARは、そんな挑戦者組を「お前は全てを出し切ってた。もしかしたら……もしかしたら本隊はお前に適した場所じゃないかもしれないぞ?」と、不気味な言葉で揺さぶった。
凱旋帰国後、その勢いのままにタッグの頂点に立ったK.O.B.。そして、そのベルトを狙う海野と上村。
しかし、その戦いは単なるベルトを巡るものではない。
4年8ヶ月前に生まれた“人生を狂わされた”という憎悪が、新日本プロレスのタッグ戦線を、血と感情が渦巻く、最も危険な場所へと変貌させた。
<写真提供:新日本プロレス>
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