【天龍源一郎 魂の独白】<第4回>ブロディに教わった“プロレスラーの矜持”、長州が壊した“固定観念”、ファンクスに抱いた“憧れ”「あいつらに負けていられない」

■憧れ続けた背中、ザ・ファンクス「泥だらけのガウンが、プロフェッショナルの証だった」
―― ライバルの話が続きましたが、天龍さんが若手時代に「この人のようになりたい」と、最も憧れた選手はどなただったのでしょうか。
天龍: それはもう、ザ・ファンクスだね。ドリー・ファンク・ジュニアとテリー・ファンクの兄弟。特に、俺はテリーのスタイルが大好きだった。
―― 弟のテリー・ファンクさん、ですか。
天龍: そう。二人はまったく性格もスタイルも違うレスラーだったから、どっちのようにもなりたいっていう憧れがあったね。ジャンボ(鶴田)は、完全にお兄さんのドリーに心酔していた。あの理路整然とした、玄人好みのレスリングにね。それは、ジャンボ自身にアマレスというしっかりとしたバックボーンがあったからだと思う。でも俺は、テリーのあのハチャメチャで、決してうまくはないんだけど、とにかく一生懸命なスタイルに惹かれたんだよ。

<写真提供:伊藤ミチタカ氏>
―― テリーさんのどのような部分に、そこまで惹かれたのでしょうか。
天龍: ハチャメチャに行くんだけど、その根底にはファンに対する誠実さがあった。だって、試合を見ていて一番お客さんを喜ばせようと必死だったのは、テリーなんだから。まずテリーの分かりやすい試合を見て熱狂して、その後にドリーの試合を見ると、「ああ、この兄貴はなんて渋くてすごいことをやっているんだ」って、そのすごさが分かるんだよ。
―― テリーさんのプロ意識を象徴するような、何か具体的なエピソードはありますか?
天龍: よく覚えているよ。ある地方巡業の日、雨が降っていて、屋外に設置されたリングの周りは泥でぐちゃぐちゃだったんだ。普通なら、レスラーはガウンやシューズが汚れるのを嫌がる。特に、高価なガウンを着ている外国人レスラーはなおさらだ。だけどな、テリーだけは違った。いつもと同じように、きれいなシューズを履いて、堂々とリングに上がってきたんだ。そして、試合が始まったら、場外乱闘で相手のボディスラムを食らって、背中から泥水の中に叩きつけられた。

<写真提供:伊藤ミチタカ氏>
―― 泥だらけになった、と。
天龍: そう、シューズも体も泥だらけ。それを見たとき、俺は「この人は本物だ。すごいな」って、心の底から震えたよ。どんな状況でも、ファンに対して最高の自分でいること。それがプロレスラーなんだっていうのを、あの泥だらけの背中が教えてくれた。あの瞬間、「この人を目標にしてきて、間違いじゃなかった」って確信したね。あのファンクス兄弟のプロフェッショナリズムには、本当に敵わないと思ったよ。

■“格闘頂点(鶴藤長天)”と呼ばれた日々「心地よかったよ。まだ半歩後ろにいると思っていたからな」
―― 80年代後半、週刊ゴング誌上で、鶴田さん、藤波さん、長州さん、そして天龍さんの頭文字をとって「格闘頂点(鶴藤長天)」と呼ばれた時代がありました。ご自身では、当時どのように捉えていましたか?
天龍: ああ、あったね。正直に言うと、悪い気はしなかったよ。いや、むしろ心地よかったくらいだね(笑)。
―― と言いますと?
天龍: 本音を言えば、あの時点ではまだ、俺は他の三人に比べて半歩くらい後ろを走っているっていう自覚があったんだ。ジャンボ、藤波、長州っていうのは、もうすでにそれぞれの団体で確固たる地位を築いていたからね。キャリアで言えば、俺が一番後発。だから、そんな三人と同列に、四人ひと括りで持ち上げてくれるっていうのは、俺にとってはありがたかったし、すごく気持ちが良かったよ。
―― 当時、新日本プロレスには前田日明さんもいましたが、その4人が選ばれたことについては?
天龍: その中に、前田でも高田でもなく、俺が入っているっていうのが、また気持ち良かったんだよな(笑)。まあ、俺自身がいかがわしい考えを持っていただけかもしれないけど。
―― ファンからすれば、その4人であることに何の違和感もありませんでした。
天龍: そう思ってくれていたなら、嬉しいよ。ただ、当時の俺には、まだそこまでの自信はなかった。それに、あの頃は今みたいに団体間の交流なんてほとんどなかったから、新日本の藤波選手と直接顔を合わせることすら滅多になかった。だから、ライバルとして意識するなんていう感覚も、正直言ってなかったんだよ。年に一度、プロレス大賞の授賞式で一緒のテーブルになるくらいで、乾杯したらすぐに彼らは次の会場へ向かって帰ってしまう。そんなもんだったからな。
―― まさに、誌面の上だけの夢の競演だったわけですね。
天龍: でも、あの「格闘頂点(鶴藤長天)」という言葉が、俺の背中を押してくれた部分も確かにある。「あいつらに負けていられない」という気持ちが、より一層強くなったのは間違いないからな。マスコミやファンが作ってくれた称号に、レスラーが応えようとする。そういう良き時代だったのかもしれないな。

インタビュアー:山口義徳(プロレスTODAY総監督)
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【大会概要】
大会名:天龍源一郎 引退10周年記念興行~革命飛翔~
開催日:2025年11月4日(火)時間:開場17:30/開始18:30
会場:東京・後楽園ホール
<全対戦カード>
▼メインイベント スペシャルタッグマッチ
鷹木信悟&拳剛 vs 岩本煌史&海野翔太
▼6人タッグマッチ
越中詩郎&諏訪魔&佐藤光留 vs 鈴木みのる&真霜拳號&進祐哉
▼スペシャルシングルマッチ
矢野啓太 vs ザック・セイバーJr.
▼ミックスドタッグマッチ
DASH・チサコ&雪妃真矢&政岡純 vs 松本浩代&笹村あやめ&岩崎孝樹
▼タッグマッチ
佐藤耕平&永尾颯樹 vs 河野真幸&吉田和正
▼8人タッグマッチ
新井健一郎&レイパロマ&神谷英慶&渡瀬瑞基
vs
“brother”YASSHI&入江茂弘&SUSHI&本田アユム
▼3WAYマッチ
谷嵜なおき vs 児玉裕輔 vs 仁木琢郎















