伐木パワーみなぎる2冠王「WILDクイーン」ZONESの意外な「MILDライフ」

【柴田惣一のプロレス現在過去未来】

2冠王「WILDクイーン」ZONESの伐木(ばつぼく)パワーにいよいよ磨きがかかっている。

Evolution strong women’s champion初代王者、OZアカデミー認定第42代タッグチャンピオンのZONESは林業一家に育っている。林業作業師の資格を持ち、チェーンソーなど重機を自在に操って木材を切り出していた。活躍の場は栃木・日光連山だった。

ある時、ボディビルに目覚め、格闘技の魅力にハマってしまった。森林を相手にしてきたが、自身の肉体、そして人間がターゲットになった。

体を鍛え上げながら、ムエタイ、柔術…闘いに打ち込んだ。そしてロード・ウォリアーズ、スティーブ・ウィリアムス、リア・リプリーらパワーファイターに憧れるようになる。

ボディビルでは地区のコンテストで優勝するなど、鍛錬の結果も出している。プロレスラーになって3年目。ホームリングのEvolutionを始め、様々な団体に参戦。昨年は100試合を超え、さまざまなファイトスタイルを経験、いろいろなタイプの対戦相手との闘いで経験値を上げ、日に日に成長している。

持ち前のパワーを生かした「伐木ラリアート」相手の全身を絞り上げる「筋肉熱帯雨林」などを駆使して暴れまわっている。

鍛え上げた肉体から発散されるパワーとファイトに、決め台詞「筋肉熱帯雨林にようこそ」とくれば、まさにWILDクイーンだが、その素顔はMILDクイーンだった。

趣味は読書。中学生の時に「赤毛のアン」シリーズを読破。現在は幻想的な作風で知られる恒川光太郎の大ファンで「色々と頭に描いていると、時間があっという間に過ぎている」と楽しげだ。

何かと考えを巡らせながら歩くのも大好きで、2~3時間の散歩も欠かせない。「散歩しながら頭でプロレスしています」とニッコリ。どうやら技やら対戦相手やらのこと、はたまた試合の組み立てなど、歩くことでZONESの脳さらに全身は活性化するようだ。

ラッパー「CHOUJI」の音楽に身を任せ、入場テーマ曲はグリムスパンキーの「NEXT ONE」。ヘアスタイルはアニメ「スラムダンク」に登場する女子マネジャー・彩子を意識している。

礼儀正しく、温和で優しい。時折見せる、はにかんだ笑顔。リング上のワイルドと素顔のマイルドのギャップが魅力的。

「WILDクイーン」ZONESには様々な要素から出来上がっているのだ。

今年はデビュー3年目とあってプロレス大賞新人賞を意識している。上谷沙弥が「女子プロレス大賞じゃなく、プロレス大賞のMVPが欲しい」とアピールしているが、ZONESも「3年目の今年が新人賞獲得のラストチャンス」と名乗りを上げている。

Evolution1期生としての自負がある。「諏訪魔さんや石川(修司)さんに、お世話になっている。だからこそ自分の可能性にチャレンジしたい」とキッパリ。その視線は「存在感を発揮したい」と、アメリカマット界を見据えている。

基礎がしっかりしている骨太なファイト。強くて格好いい女性に憧れる同性のファンも急増中だ。

スマートな頭脳を鍛え上げた筋肉で固めた「WILDクイーン」ZONESの今後に注目だ。(敬称略)

<写真:本人提供>

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