IWGP女子奪回の朱里、主演舞台スタートの驚愕の舞台裏

【WEEKEND女子プロレス#86】 

 スターダムの朱里が新日本プロレス10・13両国国技館でSareeeを破り、IWGP女子王座奪回に成功、第6代王者となった。IWGP女子のベルトを複数回巻くのは朱里が初めて。同王座史上初の快挙とも言える戴冠ながら、朱里にとってはIWGP女子王者としてのやり直しであり、ここからが本番との意識が高い。

Ⓒ新日本プロレス

赤や白いベルトとは異なる価値観をもたらすであろう、新日本管轄の女子王座。IWGPという文字、響きにはやはり特別なものがある。女子レスラーのなかでもストロングスタイルの代表格とも言っていい朱里は、4・27横浜アリーナで岩谷麻優を破り、待望の初奪取を成し遂げた。しかもこの試合は、タイトルだけではなくスターダムでの居場所を懸けての闘いでもあったのだ。

事実、敗れた岩谷は退団し、マリーゴールドに移籍した。アイコンからベルトを引っぺがし、引き継ぐ形で王者となった朱里が今後どんな防衛ロードを歩むのか。大きな注目が集まっていたものの、Sareeeに敗れ朱里政権はまさかの短命に終わってしまう。「本物のプロレス」をめぐる解釈からスターダムファンのブーイングを浴びることにもなったSareeeだが、そこには朱里の新しい居場所を奪ってしまったことへの反発も含まれているのではなかろうか。

写真提供:スターダム

案の定、無冠となった朱里は欠場に追い込まれた。が、これはSareee戦が直接の引き金になったわけではないという。

「Sareeeに負けたのを機に、自分の身体をちょっと知っておこうと思ったんです。気になる箇所がいくつかあったんですよね。それでMRI検査をしたのですが、右ヒジが悪くて手術をした方がいいとの話になりました。実際、以前から痛みのあるところではあったんですよ。試合もテーピングして臨んでいましたし。べつに欠場の予定はなかったんですけど、これを機会に治そうとなりました」 Sareeeに敗れたのが6・21代々木。陥落から5試合目の7・6後楽園を最後に欠場に入り、手術は24日におこなった。


写真提供:スターダム

「関節ねずみを除去して、鋭角になった骨を削りました。それに、伸ばせなくなっていたヒジを伸ばせるように」

 手術は無事終了、そして早くも翌日、朱里の姿はスターダムの新人オーディション会場にあった。当日に退院し、途中からながら駆け付けたのだ。審査員として、入門希望者の体力テストに視線を送る朱里。そのなかには、映画『家出レスラー』で主役の岩谷マユを演じた平井杏奈がいた。朱里はこの作品に出演すると同時に、プロレス場面の演技指導をおこなっていたのだ。そしてこんどは、俳優の平井がプロレスラー転身をかけてオーディションに臨んでいる。作品への思い入れも大きいとあって、“教え子”の人生を左右する瞬間を見逃したくなかったのだ。しかし…。

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