【全日本】宮原健斗、10年越しの憎悪を抱擁で清算!因縁の潮﨑豪を沈め、三冠V1「出たり入ったり、いいじゃねえか!」
全日本プロレス10月22日の後楽園ホール大会、その旗揚げ記念日のメインイベントで行われた三冠ヘビー級選手権試合は、単なる王座戦ではなかった。
それは、王者・宮原健斗にとって、10年前に自らの元を去った潮﨑豪との、あまりにも重い因縁の清算であった。
壮絶な死闘の末、宮原が勝利を収めると、試合前とは一転、挑戦者の潮﨑をリングに呼び寄せ、固い抱擁。
10年間の憎悪が溶けた聖地は、万雷の拍手に包まれた。

その因縁は、2015年に遡る。当時、宮原と潮﨑はタッグチーム「Xceed」として世界タッグ王座に君臨していた。
しかし、潮﨑がノアへ移籍するため突如退団。ベルトは返上となり、残された宮原の胸には、深い溝が刻まれた。

そして今年9月、ノアを退団した潮﨑が10年ぶりに全日本のリングに電撃復帰。その姿に対し、宮原は怒りを隠さなかった。
「出たり入ったりベルトを返上したりユニットを野放しにする男」「お前に三冠ベルトを近づけたくねえ」と、その存在を公然と拒絶。

この日の王座戦は、全日本の“今”を支えるエースが、“過去”の亡霊を断罪するための、あまりにも危険な一戦であった。
試合は、その言葉通りの激戦となった。潮﨑の代名詞である豪腕ラリアートに対し、宮原は必殺のブラックアウトで応戦。

互いの意地とプライドが激しく交錯する、一進一退の攻防が続いた。
終盤、潮﨑の猛攻にさらされるも、3カウントだけは許さない宮原。

最後は、潮﨑のローリングラリアートをカウンターのブラックアウトで迎撃すると、渾身のシャットダウン・スープレックス・ホールドを完璧に決め、20分を超える死闘に終止符を打った。

しかし、この日の本当のクライマックスは、試合後に訪れた。
マイクを握った宮原は、あれほどまでに罵倒した男に対し、180度、その言葉を覆したのである。

「出たり入ったりベルトを返上したりユニットを野放しにしたっていいじゃねえか!誰だそんなことを言ったやつはそんな小さいこと言ったやつの顔を見てみたいね」
そして、こう続けた。 「この全日本プロレスは誰のものでもないんだ!全日本プロレスは強くてかっこよくてデカいヘビー級が集まるリングだ。潮﨑豪、なかなか似合うじゃねえか」

宮原がリングに呼び込むと、潮﨑もその手に応え、二人はリング中央で固く抱き合った。
10年間の時を経て、エース宮原が、自らの手で潮﨑を倒し、そして、自らの言葉で、その“帰還”を認めた瞬間であった。
だが、その感動的なムードも束の間、大森北斗がリングに乱入し、新王者となったばかりの宮原を襲撃。

今大会でも周囲をよそにシリアスモードで試合を終えて、不穏な雰囲気を醸し出していた北斗は宮原に対し「ノアを干されたヤツとか、健介オフィスをやめたヤツで楽しそうだな。俺はプロレスがぜんぜん楽しくねぇんだよ。こんなに腹が立つ俺に挑戦させてくれ。どこでやるよ?」と次期挑戦をアピール。

宮原は「オマエ、何中だ?北海道の田舎町出身か。じゃあ11月3日、北海道の大都会、大森北斗。オマエの最後の北海道の思い出作りに付き合ってやるよ。せいぜい地元で俺に負けるところを皆さんにお見せするんだな。恥かくぞ」と北斗の出身地である北海道、11月3日札幌大会での挑戦を受諾。

バックステージで、宮原は「10年前の世界タッグを返上した出来事なんか忘れてたわ。(中略)このリングは誰のものでもないんだ。しいて言うならプロレスファンのもんだ」と、改めて自らの“手のひら返し”の真意を語った。そして、新たな挑戦者・北斗に対し、「北海道の大都会札幌で、テメエの地元で恥をかかせてやる。なぁ、いまからご親族のみなさまに連絡しとけ」と、11月3日の札幌大会での迎撃を宣言した。

一方、敗れた潮﨑も、「俺たちHAVOCで必ずあのベルトを取ってやるよ。まだまだ終わらない」と、全日本のリングでの、次なる戦いを見据えた。
10年越しの因縁を清算し、初防衛に成功した宮原。

しかし、その目の前には、早くも次なる、そして飢えた挑戦者が立ちはだかる。
宮原健斗の“最高の時代”は、休む間もなく続いていく。
Pages 1 2














