【マリーゴールド】イヨ・スカイ、7年半ぶり盟友・岩谷麻優との“夢の再会”をムーンサルト葬!試合後は抱擁、そして再結成を誓う「次があるならサンダーロックとして」

女子プロレス団体マリーゴールドは10月26日、年間最大のビッグマッチ『MARIGOLD GRAND DESTINY2025』を東京・両国国技館で開催した。

そのメインイベントで行われた「ザ・ドリーム・デスティニー」は、プロレス史に残る、あまりにも美しく、そしてあまりにも壮絶な“魂の再会”となった。

WWEスーパースターのイヨ・スカイと、日本女子プロレスの“アイコン”岩谷麻優。かつて「サンダーロック」としてタッグを組んだ二人が、7年5ヶ月ぶりにシングルマッチで激突。

26分を超える死闘の末、イヨが勝利を収めたが、その勝敗を超え、二人の間に存在する深い絆と歴史が、両国の夜を感動に包み込んだ。

■7年半の時を経て、二つの“運命”が交錯した

イヨ・スカイが“紫雷イオ”として日本のマットを去ってから、7年半。

その間、岩谷麻優は“アイコン”として、団体の中心で戦い続け、日本の女子プロレス界を守り抜いてきた。

一方のイヨは、WWEという世界最高峰の舞台でスーパースターへと駆け上がった。

かつては「サンダーロック」としてタッグ王座を戴冠し、時にはライバルとして激しくしのぎを削った二人。住む世界は変わっても、その魂は繋がっていた。

この日の戦いは、二人がそれぞれの道で進化させた“7年半”という時間の答え合わせであり、互いの存在を確かめ合うための、宿命の一戦であった。

 

■“現在地”と“懐かしさ”が交錯する死闘

ゴングが鳴ると、両国国技館は異様な熱気に包まれた。

序盤は、互いの手の内を探り合うかのような、じっくりとしたグラウンドの攻防。しかし、その静寂は長くは続かない。

イヨが場外へのラ・ケブラーダで飛べば、岩谷も負けじとトペ・スイシーダで応戦。

互いの得意技が交錯し、試合は序盤からトップスピードで展開された。

中盤、イヨがスワンダイブ式のミサイルキックを二連発で叩き込むなど、WWEで磨き上げた非情なまでの攻撃で岩谷を追い詰める。だが、岩谷の心は折れない。

強烈なビンタやエルボーの連打で応戦すると、イヨもその顔色を変える。

さらに、イヨは「アメリカでは出したことがない」という、ロールスルー式のジャーマンスープレックス3連発という奥の手まで繰り出し、盟友への“本気度”を示した。

 

■岩谷の猛攻、そして“アイコンの意地”

このままでは終われない。王者の意地、そして“アイコン”としてのプライドが、岩谷を立ち上がらせた。

20分過ぎ、岩谷が猛攻を開始する。顔面への強烈な蹴り、ドドンパ(逆打ち)、そしてドラゴンスープレックス。

必殺のフルコースに、イヨもたまらずマットに沈む。さらに、コーナー最上段からのムーンサルトプレスが完璧に決まり、勝負あったかと思われた。

しかし、イヨはこれをカウント2でキックアウト。信じられない光景に、場内はどよめきに包まれる。岩谷は、なおもドラゴンズ・レイ(雪崩式ウラカンラナ)を敢行するが、これも3カウントには至らない。

 

■ムーンサルト二連発、7年半越しの決着

互いに満身創痍。時間切れ引き分けのゴングも迫る中、最後は“天才”がその牙を剥いた。

岩谷の雪崩式ドラゴンスープレックスを、驚異的な身体能力で回転して着地すると、強烈なトラースキック。

そして、ツームストンパイルドライバーで岩谷の動きを止めると、コーナー最上段へ。

完璧なムーンサルトプレス。しかし、イヨはカバーにいかない。

再びコーナー最上段へ登ると、二発目のムーンサルトプレスを投下。7年半越しの戦いに、完璧な形で終止符を打った。

 

■「負けたままじゃ終われない」涙の抱擁と、“サンダーロック”再結成の誓い

試合後、リング上でマイクを握ったイヨは、その胸の内を、盟友へ、そして日本のファンへと語りかけた。

「みんな戻って来たぞ!私をマリーゴールドのリングに呼んでくれて、どうもありがとうございます。何よりもお礼を言いたいのは…麻優ありがとう!麻優がここにいるから、私もここにいるんだよ。本当に今日はそれがすべてです。そして、奇跡なのはこの試合だけじゃない。前半戦、中盤戦、すべてのショーで、青野未来だって新チャンピオンになって、マリーゴールドの未来はなんて明るいんでしょう!私と麻優に歴史、過去があるように、マリーゴールドには未来があります。女子プロレスの未来は明るい」

続けて、マリーゴールドのほかの選手に向けてもメッセージを送った。

「そして私もまだまだ現役で頑張りますが、私たち、中堅たち、全部の選手でこれからもドンドンドンドン盛り上げていきましょう。海外とか日本とかそんなの関係ないです。みんなでこのリング上を担ってます。今そこにいるあなたたちの顔を私は覚えてアメリカに帰って、またすぐに会いましょう。最後はマリーゴールド所属、あんたが未来を背負ってんだよ!最後締めてくれ!」

その言葉を受け、敗れた岩谷も、その想いを返した。

「今日はありがとうございました。イヨさん、スーパースターとか、WWEのトップだとか、麻優には知ったこっちゃない。麻優にとってはイヨさんは尊敬するただのお姉ちゃん。妹に、妹に勝ったぐらいで、そんな調子乗ってカッコイイマイクなんかしないでください!ここは、岩谷麻優が所属したんだから、ここは岩谷麻優のホームだ。イヨさんは、アウェイだ。なのに、なんで、なんでみんなイヨさんイヨさんって…。ありがとうございます。今日でイヨさんとの闘いは私が負け越した。けど、今日で終わりにしたくない。イヨさんとの物語はこれからも、きっと切れない縁だと思ってます。けど、今日の闘いでイヨさんの強さはもう十分にわかったから、次があるならサンダーロックとして、この時代に、サンダーロックで歴史を新たに作っていきたい、そう思ってます。ここのリングは、アウェイだけど、アウェイじゃないから、家族だから、いつでもお待ちしてます。ありがとうございました」

その“サンダーロック再結成”の呼びかけに、二人はリング中央で固く抱き合った。

バックステージでイヨは、この一戦をこう振り返った。

「プロレスやってて本当に良かったなって、こういう試合を終えた後に心の底から思います。アメリカに渡って、私の日本でのキャリアは止まったのかもしれないですけれども、こうやって岩谷麻優だったり、スターダムのAZMとか、渡辺桃とか、私と一緒に時を過ごしたみんなが頑張ってくれることによって、私のキャリアを作らなくても、こうやってまた、素晴らしい試合を作り上げることができるんです。こんなうれしいことはないですよね。」

そして、サンダーロック再結成については、「プロレスに絶対ないはないですから、そこは夢の続きであっていいんじゃないですか」と、笑顔でその可能性を示唆した。

“天才”と“アイコン”。7年半の時を経て、二人の物語は、再び交わった。

そして、それは終わりではなく、新たな“夢の続き”の始まりを告げる、あまりにも美しく、そして熱い一夜であった。

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