【マリーゴールド】両国に響いた追悼の鐘…クマに奪われた名レフェリー・笹崎勝巳さんに10カウント、選手たちは遺影の前で魂のファイトを捧ぐ

女子プロレス「マリーゴールド」は10月26日、年間最大のビッグマッチ『MARIGOLD GRAND DESTINY2025』を東京・両国国技館で開催した。

しかし、華やかな祝祭であるはずの会場は、開戦前に深い悲しみと鎮魂の祈りに包まれた。

今月17日、岩手・北上市内でクマに襲われ、非業の死を遂げた笹崎勝巳さん(享年60)の追悼セレモニーが、厳粛に執り行われた。

笹崎さんは、昨年5月のマリーゴールド旗揚げに参加。メインレフェリーとして、団体の激しい戦いを裁き、その黎明期を支えた功労者であった。

あまりにも突然の、残酷すぎる別れであった。

この日のセレモニーでは、全日本女子プロレス時代から30年以上にわたり苦楽を共にしてきた盟友、オッキー沖田リングアナウンサーが、笹崎さんの遺影を胸に抱きリングイン。

レフェリー陣が続き、リングの四方は、涙をこらえる所属選手全員によって囲まれた。

1987年に全女でデビューして以来、ZERO1の運営会社社長とレフェリーを兼務するなど、プロレス界の発展に尽力し、その厳格なレフェリングと温厚な人柄で多くの選手に慕われた名レフェリーへ捧げられる、追悼の10カウントゴングが、静まり返った両国国技館に重く、そして優しく響き渡った。

笹崎さんは今月16日、住み込みで働いていた岩手・北上市の温泉旅館「瀬美温泉」にて、露天風呂の清掃中に消息を絶った。

翌17日、捜索隊により、露天風呂から約50メートル離れた雑木林で発見。21日の司法解剖の結果、クマの襲撃による出血性ショック死であったことが確認された。

今大会、リングサイドには笹崎さんの遺影が置かれた。

選手たちは、天国で見守る笹崎さんの魂に届けるかのように、全試合、持てる力のすべてを出し尽くす、激しいファイトを展開。

その姿は、団体の旗揚げを支えた恩人への、最大限の感謝と弔いの表れであった。

改めて、笹崎勝巳さんのご冥福を心よりお祈りいたします。

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