【ガンプロ】まなせゆうな、他団体選手にも波及する“まなせイズム”の源泉「私が、誰かの“頑張るきっかけ”になれたら」
“鉄人”望月成晃への挑戦。それは、まなせゆうなにとって、単なるタイトルマッチではない。12年間、見に来ることのなかった親友を、初めて会場へと動かした、特別な戦い。
そして、彼女が愛する「ガンバレ☆プロレス」の、女子の未来を切り拓くための、絶対に負けられない戦いでもある。
【前編】では、挑戦に至るまでの熱き想いを語ってもらった。【後編】では、彼女が信じる「ガンバレスピリット」の正体、そして、ベルトを獲った先に見据える、ガンプロ女子部の新たな時代、その未来図に迫る。
『スクール・オブ・ロック2025』
【日時】2025年11月9日(日) 12:00開始(11:30開場)
【会場】東京・新木場1stRING

■望月成晃に感じる“ガンバレスピリット”
――12年間、頑なだった親友の心を動かした望月選手。その存在が、さらに大きくなりましたね。
まなせ: はい。すごい人だということは分かっていましたけど、改めて、人の心を動かすって、本当にすごいことだな、と。そのDVDを渡された時、昔の望月さんは、まだ長いパンツでしたよね。
――そうですね、ロングタイツのイメージが強いです。
まなせ: プロレスラーの方って、キャリアを重ねていくと、筋肉の衰えとかを隠すために、逆に長いパンツを選ぶ方も、いらっしゃるじゃないですか。でも、望月さんは、50歳を過ぎてから逆に、足を出したんですよね。
そこに、私は、すごく“ガンバレスピリット”を感じちゃって。
――確かに、常に進化を止めない、という姿勢は、ガンプロの理念と通じますね。
まなせ: 外敵なのかもしれないですけど、望月さんって、試合中、めちゃくちゃ声を出すんですよね。私は、「辛い時こそ、声を出せ」と学んできたし、声を出してこそ伝わることがある、と思っている。そこにも、ガンバレスピリットを感じてしまって。
……あれ? なんか、こうやって話してたら、望月さんと戦うのが、すごく楽しみになってきました!
――おお! ついに、恐怖よりも、楽しみが上回ってきましたか。
まなせ: はい! やばい、楽しみになってきた。やっぱり、インタビューって、自分の気持ちを整理できる、大事な時間なんですね。ありがとうございます(笑)。
――12年間、見に来なかった友人に、プロレスラーとして、初めて認めてもらえた、というのも大きいですね。
まなせ: プロレスラーになって11年目になりますが、本当に頑なに来なかったんですよね。後楽園とか連絡しても他の地元の友人は来てくれるけど、その子は来てくれなくて。
「望月成晃の正面、対角に立つようになったんだな。お前プロレスちゃんとやったんだな」って。私、初めてその子にプロレスラーとして認めてもらえたんですよ。プロレス好きの友達にようやく認められたんだなって。

■鉄人攻略の鍵。「小手先は通用しない。信じるのは、自分のラリアット」
――その、プロレスファンも唸らせる、真っ向勝負に期待が高まります。今回は、どのような戦い方を想定されていますか?
まなせ:それこそ小手先が通用する相手じゃないじゃないですか。だからといって、自分のファイトスタイルは変える気は一切ない。でのその分、正面からめっちゃやられると思うんですけどそこは覚悟しています。プロレスって3カウント取られなければ終わらないんで。何度でも立ち上がればいいし、望月さんの蹴りとか未知の世界ですけど、自分が今まで信じてきた自分のラリアットとか、そういう体を使っていくっていうのをぶつけていくしかないかなって思ってますね。
――相当ハードな試合になりそうですね。
まなせ:望月選手、声も出しますからね。声を出すと出さないとでは全然スタミナの消費が違いますからね。わたしは最近声出なかったから出せてなかったんですけど、声出しながら練習するのと、出さないで練習するのって全然スタミナの消費が違うので。望月さんはずっと声も出してるから、スタミナもヤバイなって。
――いい意味でずっとコンディションをキープされますよね。
まなせ:今だってガンガンやってますよね。試合数も相当あるだろうし。
――DRAGON GATEは結構アクロバットな戦いをする選手も多い中、望月選手はスタイルが異なるファイトスタイルで一線をキープされてきましたよね。
まなせ:やっぱり自分の武器をちゃんと把握されてるんですよね。かっこいいです。Youtubeで望月さんの試合とかを見たりしてるんですけど、勢いだったりとかファイトスタイルだったりとか、やっぱガンバレスピリット感じちゃいますね。
――会場の掌握力というか、観客の方を盛り上げる、とりこにする力もすごいですよね。
まなせ:あれ悔しいですよね。後楽園で今成さんに挑戦したときも、アウェイの会場はずなのに、みんな「モッチー!」って叫んでたんですよ。そういうのいいなって、わたしもやりたい(笑)
――そこを崩すのってなかなか難しいと思いますが、まなせ選手がぶち破ってくれるのをファンも期待していると思います。
まなせ:やっぱりぶち破っていかないとね。みんなで己をぶち破ろうぜ!っていうもんじゃないですか、こういうのって。私が先陣切ってやらないと、誰がやるの?って話ですよ。

■「私が、ガンプロの高市早苗になります(笑)」
――以前、ハートリー・ジャクソン選手に挑戦された時とは、また違う緊張感ですか?
まなせ: 違いますね。あの時のジャクソンは、本当に「恐ろしい」というか恐怖でした。今回は、そういう恐怖もあるんですけど、望月さんの、お客さんを引っ張っていく力、会場の空気を一気に持っていく力、そっちへの「恐さ」もありますね。
――今、ガンプロ女子部、通称「ガンジョ」は、YuuRI選手と、まなせ選手の二人体制です。その女子で、このベルトに挑戦する、という意義も大きいのでは?
まなせ: はい。2022年に私がジャクソンに挑戦して、その次にYuuRIが挑戦して。それ以降、女子で、このスピリット・オブ・ガンバレのベルトに挑戦している人がいなかったんです。
その、少ないチャンスを、今回やっと、ものにしたい。そのプレッシャーは、ありますね。私が挑戦表明した時、YuuRIが、めちゃくちゃ泣いてたんですよ。
――YuuRI選手、感受性が豊かですからね(笑)。
まなせ: 本当(笑)。あの日も大家さんが血だらけで泣き、私の挑戦表明で泣き…。でも、彼女がその日「私、ガンプロで良かった。ガンプロ最高!大好き!!」って、言ってくれたんです。そういう気持ちを持ってくれる子がいるから、やっぱり負けてらんないな、って思いますよね。ジャクソンへの挑戦の時ももちろんそういう気持ちがあったけど、今回さらにその想いが強くて。チャンスの回数が減ってきている分、一個一個を大事にしないといけないし、望月選手に緊張はするけど、やらない後悔はしたくない。挑戦をすることが大事だなって思います。
そして前回は、「ジャクソンと戦うことを頑張る」だったんですけど、今回は、違います。**ベルトを獲ること。**そして、あの望月さんからベルトを獲った上で、「次、何をしようか」っていう、その先の“欲”が、出てきました。
――ファンの方の前でも、ベルトを獲った後のビジョンを、公言されていましたね。
まなせ: そうですね。女子でガンプロの後楽園メインに立った人っていなくて、いやだなと思っていて。
それこそ渡瀬が「来年は(後楽園)4回やるぞ!」って勝手に言って三島社長に怒られてましたけど(笑)。私がベルトを持っていたら、その全部と今年12月の後楽園でメインに立てるんだなって思って。それはやっぱりやりたいなと。
――ガンジョの飛躍の一歩ですね。日本としても女性初総理が誕生しましたし、いろんな業界での女性の活躍もまなせ選手の追い風になるんじゃないでしょうか。
まなせ: 是非高市さんにもガンプロに来ていただきたいですよね(笑)。でも戦うといったことに関しては一緒だと思ってます。たまたま彼女が女性だったから、「女性初総理」って書き方をされてると思いますが、女性だからだけではなく、高市さんがなにか持っているからリーダーになっているわけで。私もベルトを取ったら女性リーダーになれるキッカケになります。ガンプロの男たちが暴れている時代を超えて、新しい時代を始める女性リーダーになります。
――やはり女性としてというか、ガンジョに対してワンランク上へっていう想いは強いですか?
まなせ: 強いですね。男子が今本当に試合を頑張っているんですよね。ちょっと前のガンプロって誰でも出れそうな空気感があったかと思うんですけど、今のガンプロは試合の空気感が全然違っていて。今は誰でも上がれるリングではなくなってきてるなって思います。その中で、女子枠だから、所属だから出られるという待遇をされていてはいけないなと思っていて。女子部の底力を上げていきたいし、春日(萌花)さんが欠場している今、YuuRIと2人になってるわけなので、人数的にも由々しき事態ですよね。














