【天龍プロジェクト】鷹木信悟、天龍源一郎への「龍魂」を誓う!海野翔太は“10年越しの約束”を果たし、“最後の後楽園”は熱狂の終幕

2015年11月、レスラー人生に終止符を打った「ミスター・プロレス」天龍源一郎。

その引退から10周年を記念する『天龍プロジェクト』の『天龍源一郎 引退10周年記念興行 ~革命飛翔~』が11月4日、プロレスの聖地・東京・後楽園ホールで開催された。

天龍プロジェクトが「最後の後楽園」と銘打ったこの節目の大会には、新日本プロレスからも天龍源一郎と縁の深い選手たちが参戦。

メインイベントでは、鷹木信悟が拳剛(フリー)と、海野翔太が岩本煌史(フリー)とそれぞれタッグを結成し、団体を越えた「龍魂」が激しく交錯する激闘を繰り広げた。

このメインイベントは、単なるタッグマッチではなかった。出場した4選手が、それぞれの形で天龍源一郎という存在を背負い、リングに上がったからである。

鷹木信悟はドラゴンゲート時代、同団体の最高顧問であった天龍源一郎の付き人を務めた経験を持つ。「鷹木信悟というプロレスラーが作られる中で最も影響されたレスラー」と公言してはばからず、龍が描かれたガウンを羽織り、特別な覚悟で後楽園のリングに立った。

海野翔太の繋がりは、さらに深い。父であるレッドシューズ海野レフェリーは、全日本プロレス、SWS、WARと、天龍源一郎と行動を共にしてきた間柄である。海野自身、天龍プロジェクト参戦を「プロレスラー人生の目標の一つ」と語り、10年前の引退興行にまつわる「恩返し」の思いを胸に秘めていた。

迎え撃つ拳剛は、インターナショナルジュニアタッグ王座とWAR世界6人タッグ王座を保持する『天プロ』の現体制の象徴。「本当の龍魂がなんなのかというのを見せつけたい」と、闘志を燃やしていた。そして対戦相手の岩本煌史もインターナショナルジュニア王者として『天プロ』に君臨する実力者である。

試合は、海野と拳剛の先発で始まった。海野が拳剛をロープに押し込みチョップを放てば、拳剛も即座に体勢を入れ替えチョップを返す。互いの団体のプライドが序盤から火花を散らした。続いてリングインした岩本は、鷹木を指名。岩本のショルダータックルを仁王立ちで受け止めた鷹木が、ダブルチョップで応戦。

岩本も変則的なロープワークからのショルダータックルで鷹木をなぎ倒し、一歩も引かない。

中盤、海野が拳剛を捕獲。「『天プロ』、こんなもんか?」と挑発すると、拳剛は強烈なエルボーで反撃。互いに逆水平チョップを打ち合う、天龍源一郎を彷彿とさせる激しい打撃戦が展開された。

試合が大きく動いたのは、鷹木と海野の攻防であった。鷹木が串刺し龍魂ラリアット、ナックルパート、龍魂エルボードロップと猛攻を仕掛け、さらには天龍源一郎の得意技であるWARスペシャルで海野を捉える。

なんとかロープに逃れた海野も、鷹木のMADE IN JAPANをトルネードDDTで切り返し、パートナーの岩本に繋ぐ。

終盤は、4選手が入り乱れる総力戦となった。海野と岩本が拳剛にトレイン攻撃を見舞い、海野のパワーボムから岩本がハリケーンドライバーを叩き込むが、鷹木が間一髪でカット。

鷹木は海野と岩本の二人を相手にダブルラリアットでなぎ倒す奮闘を見せ、スライディングパンピングボンバーで岩本のアシスト。最後は拳剛が岩本をフィッシャーマンズバスターの体勢からマットに叩きつけたが、今度は海野がカットに入る。

鷹木と海野の意地が再びリング上で爆発する。ラリアットとパンピングボンバーの壮絶な相打ちが繰り返され、両者大の字となる。

最後は、再び拳剛と岩本の一騎打ちとなった。岩本が必殺の孤高の芸術を狙うが、拳剛はこれを垂直落下式ブレーンバスターで切り返す。岩本もショートレンジラリアットを叩き込むが、拳剛はカウント1でキックアウトする意地を見せる。

岩本が再度、孤高の芸術を炸裂させるも、拳剛はカウント2でこれを返す。

最後は、鷹木がエプロンサイドで海野をデスバレーボムで戦闘不能にさせると、リング上で拳剛が岩本をドリラーで突き刺し、3カウントを奪取。

20分越えの激闘に終止符が打たれた。

【試合後バックステージコメント】

▼鷹木信悟&拳剛、そして天龍源一郎

激闘を終えた鷹木と拳剛は、天龍源一郎本人を前に、感無量の表情で大会を振り返った。

拳剛「まさに本当に夢空間で、カウンターカルチャーの中にある夢空間で感無量です。まぁこの空間を作ってくれた天龍さんと天龍プロジェクトにはホンマに感謝してるし、これで終わらすんじゃなくて、これを次のステップに繋げるために今日の試合があったと思うんで、その気持ちをしっかり受け取って、今後も頑張っていこうと思います。本当に清々しい1勝でした。ありがとうございました」

鷹木「本当に同じく感無量でしたね。オファーをいただいた時にめちゃくちゃモチベーションが上がったんで、はい。実は自分にとってもトリプルイヤーだったんですよ。2005年に、まぁ天龍さんは覚えてらっしゃらないかもしれないですけど、大阪で一度だけ試合しまして、2015年の引退興行には出場することができなくて、そして今年2025年、やっと天龍プロジェクトに出ることができて、自分にとってもトリプルイヤーだったんで。天龍さん、僕は僕なりにドラゴンゲートからちょうど入門から20年経ちました。自分にとっては今日は10年分とか20年分の龍魂を爆発させるつもりで闘いましたけど、まだこれで終わりではないと思ってるんで。一つ今日の大会に向けてこういうシャツを作らせてもらったんですね。こうやって見ると俺自身もまだIWGPを獲った時の写真なんですけど、ただね、龍魂継承って言うんだったら、本当の意味で言うんだったら、天龍さんがIWGPのベルトを獲ったのは49歳、40代の時ですから。俺が獲った時は38、30代だから。本当の意味で“Revolution”というものを叶えるんだったら、もう一度40代でIWGPを獲って、天龍さん、このコラボシャツ作らせてください」

天龍「いや、全然頑張ってよ」

拳剛「鷹木さんが今おっしゃった龍魂分かります。分かるんですけど、僕もずっと天龍プロジェクトで中心でやってきたんで、僕なりの龍魂が確実にあると思うんで。せっかく天龍さんが繋げてくださった今日のタッグ、龍魂タッグ終わらせたくないっす。また鷹木さん、どっかで必ずタッグ」

鷹木「拳剛&信悟コンビでね、面白いことができればね。新日本に上がるのも面白いし、点で終わらず線にして繋いでいきたいと思いますよ。せっかくの出会いですから」

▼海野翔太&岩本煌史、そして天龍源一郎

敗れた海野は、この一戦に懸けていた10年越しの「約束」を明かした。

岩本「天龍プロジェクトも天龍さんのトリプルイヤーということで、自分自身も今日がプロレスのデビュー日でして、自分としても凄い記念日だったんですけど、最後負けてしまったので、拳剛選手には大きな借りができたと思いますし、対戦相手の鷹木選手も初対戦だったんですけど、これっきりでは終わりたくないなっていうのも思いますし、今日隣で一緒に闘ってくれた海野選手も2018年の両国で3WAYタッグでちょっと触れたぐらいなんで、ぜひなんか機会があればガッツリ触れ合いたいなと強く思いました」

海野「僕、今日の大会っていうのは個人的に凄い思い入れがあったんですね。というのも、2015年11月15日、天龍さんの引退試合。僕はまだ新日本プロレスに入る前で観に行っていたんですよ。母親と一緒に、そこで試合が終わって、まき代さんに『僕、入門テストを受けて合格できたら新日本プロレスに入ります』って、初めて口にしたんですよ。まき代さんからの第一声は『なんでウンちゃん許したんだよ。ふざけんなよ!』って怒られてしまって。でも、いろいろ自分は5年間プロレスラーになることを反対され続けたり、時には殴られたり、いろんなことがあってそれでも諦めきれなかったんで、プロレスラーになりたいんだってことを伝えたら、『じゃあ、頑張ってよ』って。『応援してるよ』って。『いつか大将と同じリングに上がる日を楽しみにしてるよ』って背中を押してくれたんすよ。どんなに辛いことがあっても、どんなに険しい道でもこの日のために俺は今まで頑張って来れました。そして今日、天龍さんと同じリングに立てたっていうことが僕のレスラー人生において、本当に大切な宝物になりました。最初っからお伝えしてる通りこれで終わりじゃないんで。こっからがまたスタート。未来に繋がるために今日の試合を、今日のこの天龍プロジェクトはずっと胸に秘めて、新日本プロレスを盛り上げて、プロレス界を盛り上げてやっていきたいと思います。本日はありがとうございました」

天龍「ありがとう。頑張れよ」

最後に、天龍源一郎は「最後の後楽園」を終えた心境を、独特のユーモアを交えて語った。

天龍「これはね、俺の遺言ですよ、今日の大会は。皆さんが集まってくれて。まぁ曲がりなりにもちょっとレベルの高いプロレスを、今日観に来たお客さんに見せることができたっちゅう自負があるから。これが天プロだっていう自惚れで、これが俺の遺言で、プロレス界に残していきますよ。

(※車イスではなく、杖で歩いたことについて)

天龍「そうですね。あともうちょっとね、杖突いて歩くのは。これは猪木さんが車イスで最後まで見届けられたのがいいのか悪いのか、俺の中ではやっぱりワンランクアップの天龍源一郎を見せられたって。車イスで出てった限りですけど、それでもやっぱり闘ってますね」

(※出場した選手に対しての思いについて)

天龍「いや立派でしたね、選手全員ね。今日はありがとうという気持ちですね。心配じゃなくてもね、もう発表になってるから、ハロウィン宝くじ当たってるから。みんなに金配ってやろうか?大丈夫?ファイトマネー上乗せして。ハロウィン当たってるから大丈夫です(笑)」

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