【天龍プロジェクト】天龍源一郎、最後の後楽園で自力歩行を披露しファン歓喜!万感の“エイエイオー!!”締め「これが俺の遺言で、プロレス界に残していきますよ」

“ミスター・プロレス”天龍源一郎の引退10周年を記念した興行「革命飛翔」が4日、東京・後楽園ホールで開催された。

天龍プロジェクトにとって“最後の後楽園”と銘打たれた今大会。メインイベント終了後、天龍本人がリングに登場。

歩行器を使いながらも自らの足で聖地のリングに到達すると、満員の観客から万雷の拍手と歓声が送られた。

この日のメインイベントでは、新日本プロレスの鷹木信悟が拳剛と組み、同じく新日本の海野翔太、岩本煌史組と激突。

団体の垣根を越えた4者が、「龍魂」あふれる激しいファイトを展開。

最後は鷹木がデスバレーボムで海野をエプロンに叩きつけ分断すると、拳剛が岩本をドリラーで仕留め、熱闘に終止符を打った。

試合後、鷹木と拳剛が握手を交わすと、場内に天龍のテーマ曲『サンダーストーム』が鳴り響き、天龍源一郎が車椅子で登場。

リングサイドまで来ると、歩行器を用いて自らの足でゆっくりと、しかし確実にリングまで歩を進めた。

選手たちの手を借りてリングインを果たした天龍は、万感の表情でマイクを握った。

「今日はどうも、えー、連休明けの厳しい日に、たくさんお集まりいただきまして、ありがとうございます! 僕もいま、下でみなさんの、選手諸君の試合を観てたんだけど、おもしろかったよね! これからもずっと、プロレスを愛して、これからも新しい、みなさんで築いてください! これから先はちょっと、みなさんに思いを込めて感謝の辞を述べたいと思いますので、ちょっと、代表! 上がってきて」

天龍の呼びかけで、愛娘であり天龍プロジェクトの嶋田紋奈代表がリングへ。

場内が「紋奈」コールに包まれる中、天龍からマイクが渡された。

「『天プロ』代表の嶋田紋奈です! え~、大将! 10年ぶりに私に、マイクを渡してくださいましたね、ありがとうございます! この10年後もまたこうして、マイクが回ってくると思ってなかったので、本当に感無量ですけれども。 本当にあの、10年ぶりですか? 5周年もやりましたし、10周年も引退としてやらせていただいたんですが、これが最後の後楽園ホールになるということで、ですが! 本当に気持ちのあるファンの方にたくさん来ていただいたと思っております、本当にありがとうございます! 今日、この日にみなさんの前で歩く練習を毎日、大将がしてたので、その姿が少しでも見せられて、本当によかったです。ありがとうございます。 本当に長生きするのって楽じゃないなって思いますし、こうして33選手もの豪華な選手に出ていただいてましたけど、本当にリングを無事に下りるのって、とってもたいへんなことだと思います。 だから、本当にプロレスラーのみなさまには、尊敬しかありません。本当にみなさん、ありがとうございます! これからも歳は取ってますけど、天龍源一郎の反骨精神をですね、みんなと分け合って、プロレス界にたくさん残していけたらと思うので、天龍源一郎とここにいるプロレスラーたちに、これからも熱い声援を、よろしくお願いします! 今日はありがとうございました! ということで大将! 『天龍プロジェクト』といえば、アレでございますので、アレをお願いします!」

紋奈代表からマイクを受け取った天龍は、再び満員の観客に向き直った。

「ちょっと辛気くさかったから、暑気払いで、エイエイオーを3発いきますので、ご唱和お願いします! いくぞー! エイエイオー! エイエイオー! エイエイオー!! ありがとうございました!」

天龍の魂の叫びが聖地にこだまし、リング上には天龍の顔が印刷されたカネの雨が降る。

最後に海野から故・まき代夫人の写真を受取った天龍。

ミスター・プロレス最後の後楽園ホールは、万感の拍手と共に幕を閉じた。

【試合後バックステージコメント】

▼鷹木信悟&拳剛、そして天龍源一郎

激闘を終えた鷹木と拳剛は、天龍源一郎本人を前に、感無量の表情で大会を振り返った。

拳剛「まさに本当に夢空間で、カウンターカルチャーの中にある夢空間で感無量です。まぁこの空間を作ってくれた天龍さんと天龍プロジェクトにはホンマに感謝してるし、これで終わらすんじゃなくて、これを次のステップに繋げるために今日の試合があったと思うんで、その気持ちをしっかり受け取って、今後も頑張っていこうと思います。本当に清々しい1勝でした。ありがとうございました」

鷹木「本当に同じく感無量でしたね。オファーをいただいた時にめちゃくちゃモチベーションが上がったんで、はい。実は自分にとってもトリプルイヤーだったんですよ。2005年に、まぁ天龍さんは覚えてらっしゃらないかもしれないですけど、大阪で一度だけ試合しまして、2015年の引退興行には出場することができなくて、そして今年2025年、やっと天龍プロジェクトに出ることができて、自分にとってもトリプルイヤーだったんで。天龍さん、僕は僕なりにドラゴンゲートからちょうど入門から20年経ちました。自分にとっては今日は10年分とか20年分の龍魂を爆発させるつもりで闘いましたけど、まだこれで終わりではないと思ってるんで。一つ今日の大会に向けてこういうシャツを作らせてもらったんですね。こうやって見ると俺自身もまだIWGPを獲った時の写真なんですけど、ただね、龍魂継承って言うんだったら、本当の意味で言うんだったら、天龍さんがIWGPのベルトを獲ったのは49歳、40代の時ですから。俺が獲った時は38、30代だから。本当の意味で“Revolution”というものを叶えるんだったら、もう一度40代でIWGPを獲って、天龍さん、このコラボシャツ作らせてください」

天龍「いや、全然頑張ってよ」

拳剛「鷹木さんが今おっしゃった龍魂分かります。分かるんですけど、僕もずっと天龍プロジェクトで中心でやってきたんで、僕なりの龍魂が確実にあると思うんで。せっかく天龍さんが繋げてくださった今日のタッグ、龍魂タッグ終わらせたくないっす。また鷹木さん、どっかで必ずタッグ」

鷹木「拳剛&信悟コンビでね、面白いことができればね。新日本に上がるのも面白いし、点で終わらず線にして繋いでいきたいと思いますよ。せっかくの出会いですから」

▼海野翔太&岩本煌史、そして天龍源一郎

敗れた海野は、この一戦に懸けていた10年越しの「約束」を明かした。

岩本「天龍プロジェクトも天龍さんのトリプルイヤーということで、自分自身も今日がプロレスのデビュー日でして、自分としても凄い記念日だったんですけど、最後負けてしまったので、拳剛選手には大きな借りができたと思いますし、対戦相手の鷹木選手も初対戦だったんですけど、これっきりでは終わりたくないなっていうのも思いますし、今日隣で一緒に闘ってくれた海野選手も2018年の両国で3WAYタッグでちょっと触れたぐらいなんで、ぜひなんか機会があればガッツリ触れ合いたいなと強く思いました」

海野「僕、今日の大会っていうのは個人的に凄い思い入れがあったんですね。というのも、2015年11月15日、天龍さんの引退試合。僕はまだ新日本プロレスに入る前で観に行っていたんですよ。母親と一緒に、そこで試合が終わって、まき代さんに『僕、入門テストを受けて合格できたら新日本プロレスに入ります』って、初めて口にしたんですよ。まき代さんからの第一声は『なんでウンちゃん許したんだよ。ふざけんなよ!』って怒られてしまって。でも、いろいろ自分は5年間プロレスラーになることを反対され続けたり、時には殴られたり、いろんなことがあってそれでも諦めきれなかったんで、プロレスラーになりたいんだってことを伝えたら、『じゃあ、頑張ってよ』って。『応援してるよ』って。『いつか大将と同じリングに上がる日を楽しみにしてるよ』って背中を押してくれたんすよ。どんなに辛いことがあっても、どんなに険しい道でもこの日のために俺は今まで頑張って来れました。そして今日、天龍さんと同じリングに立てたっていうことが僕のレスラー人生において、本当に大切な宝物になりました。最初っからお伝えしてる通りこれで終わりじゃないんで。こっからがまたスタート。未来に繋がるために今日の試合を、今日のこの天龍プロジェクトはずっと胸に秘めて、新日本プロレスを盛り上げて、プロレス界を盛り上げてやっていきたいと思います。本日はありがとうございました」

天龍「ありがとう。頑張れよ」

最後に、天龍源一郎は「最後の後楽園」を終えた心境を、独特のユーモアを交えて語った。

天龍「これはね、俺の遺言ですよ、今日の大会は。皆さんが集まってくれて。まぁ曲がりなりにもちょっとレベルの高いプロレスを、今日観に来たお客さんに見せることができたっちゅう自負があるから。これが天プロだっていう自惚れで、これが俺の遺言で、プロレス界に残していきますよ」

(※車イスではなく、杖で歩いたことについて)

天龍「そうですね。あともうちょっとね、杖突いて歩くのは。これは猪木さんが車イスで最後まで見届けられたのがいいのか悪いのか、俺の中ではやっぱりワンランクアップの天龍源一郎を見せられたって。車イスで出てった限りですけど、それでもやっぱり闘ってますね」

(※出場した選手に対しての思いについて)

天龍「いや立派でしたね、選手全員ね。今日はありがとうという気持ちですね。心配じゃなくてもね、もう発表になってるから、ハロウィン宝くじ当たってるから。みんなに金配ってやろうか?大丈夫?ファイトマネー上乗せして。ハロウィン当たってるから大丈夫です(笑)」

自身の引退から10年。その魂が、この日のリングに集った33人のレスラーたちによって確かに受け継がれたこと。

それこそが、天龍がファンとプロレス界に残す「遺言」であった。

強さの象徴であり続けた男が見せた、最高の照れ隠しと、集まってくれた仲間たちへの最大の愛情表現。

聖地・後楽園ホールは、ミスター・プロレスが残した“温かい遺言”と万感の拍手に包まれ、天龍プロジェクトとして最後の後楽園大会の一夜は幕を閉じた。

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