【東京女子】HIMAWARIの“髪”と、鈴木志乃の“声”。二人が切り拓く、唯一無二のプロレス道
東京女子プロレスの未来を担う、2023年3月デビューの同期タッグ、HIMAWARIと鈴木志乃。11月9日の後楽園ホール大会で、二人はプリンセスタッグ王座という大きな目標に挑む。その強さの根源は、二人が持つ全く異なる、しかし強烈な個性にある。【後編】では、二人のパーソナリティの核心に深く迫っていく。
“太陽”HIMAWARIは、プロレスラーであると同時に、舞台女優としての顔も持つ。「顔がうるさい」と評されるほどの豊かな表現力は、舞台で培われたものだ。そして彼女の代名詞であるスーパーロングヘア。「生まれた時はハゲていた」という衝撃の告白から、「いつかメキシコで髪を懸けて戦いたい」という壮大な夢まで、その髪には彼女の人生そのものが詰まっている。
一方、鈴木志乃の経歴は「元バスガイド」という異色のもの。「車内のアイドル」を目指した過去は、今や「観光案内ムーブ」というリング上の必殺技へと昇華された。さらに「アップアップガールズ(プロレス)」としてアイドル活動も両立。スケジュールや“膝神”の悩みと戦いながらも、プロレスで得た体力がライブパフォーマンスを支えるという相乗効果を激白する。
全く異なる武器と夢を持つ二人が、同じリングで見据える未来とは。

■HIMAWARI―プロレスと舞台、表現者としての“相乗効果”
――HIMAWARI選手は、プロレスラーと並行して、舞台女優としても活動されています。二つの“表現”を両立させる上で、苦労などはありますか?
HIMAWARI: 私は、もともと人前に立って何かを表現することがすごく好きなので、苦労というよりは、楽しさの方が大きいですね。私の中では、舞台とプロレスって、すごく似ていると思うんです。
――似ている、ですか。
HIMAWARI: はい。どちらも、ライブ感がある。お客様の目の前で、生身の感情を表現して、その感情を動かすものだ、という点では、全く同じだと思っています。ただ、違いもあって。舞台は、台本に書かれた「役」の人生を、私とは別の人物として演じる。でも、プロレスは、「HIMAWARI」というキャラクターではあるけれど、「佐藤向日葵」としての本質、自分の人生そのものを、一生かけて表現していくものなのかな、と。
――自分自身が、コンテンツになる、ということですね。
HIMAWARI: そうです。舞台なら、セリフや役の設定がありますけど、プロレスは、自分自身がスカスカだったら、何も伝えられない。常に自分を成長させて、中身を詰め込んでいかないといけない。それが、プロレスの難しさであり、楽しさでもあるなと感じていますね。

――二つの活動が、お互いに良い影響を与えている部分はありますか?
HIMAWARI: めちゃくちゃあります! 私、よく「顔がうるさい」って言われるんですけど(笑)。
――顔がうるさい(笑)。
HIMAWARI: それも、たぶん舞台をやっていたから。舞台って、遠くのお客さんまで表情を届けないといけないので、自然と、表現が大きくなるんです。その癖が、プロレスでも活きていて、「痛い」「悔しい」「楽しい」っていう感情を、全部、顔に出せる。
逆に、プロレスで運動能力が上がって、体の使い方を知ったことで、舞台での殺陣やアクションも、すごくやりやすくなりました。今度、11月と12月に、殺陣のある舞台に出るんですけど、そこで刀の振り方を学んだら、今度は、プロレスでの髪の毛の“攻撃力”が、ぐんと上がりました。
――なんと! 髪の毛の威力が。
HIMAWARI: 刀を振るときの足腰の入れ方や軌道を意識して髪を振ると、本当に威力が全く違うんです。これは、すごい相乗効果だなと思いました。

■「切るタイミングを失った」スーパーロングヘアの真実
――その、HIMAWARI選手のアイデンティティでもある、スーパーロングヘアですが……生まれた時から、一度も切っていない、というのは本当ですか?
HIMAWARI: はい(笑)。前髪以外は。
――お手入れが、本当に大変そうです。シャンプーの消費量とか……。
HIMAWARI: ヤバいです。もう、プシュプシュプシュ!って、人の3倍は使いますし、ヘアオイルの消費量もエグいです。気づいたら、「あれ、もうないの!?」みたいな。だから、差し入れで、ちょっといいコンディショナーとか、ヘアオイルをもらえると、すごく嬉しいです(笑)。
――(笑)。それは、ファンの方にお願いしたいですね。リング上では、武器であると同時に、掴まれたりする弱点にもなっていますよね。
HIMAWARI: そうなんですよ! 本当に、掴みやすすぎて。みんな、とりあえず、掴んできますから。そこを、いかに掴ませないようにするか、というのは、今後の課題ですね。
――そもそも、なぜ、そこまで伸ばし続けることになったのですか?
HIMAWARI: それが、すごく恥ずかしい話なんですけど……私、生まれた時、めちゃくちゃハゲてたらしくて。
――えっ、そうなんですか!?

HIMAWARI: はい。普通、赤ちゃんの髪で「胎毛筆」とか作るじゃないですか。あれを作る毛すら、なかったらしくて。それを見た母親が、「かわいそうに……」と思って、髪の毛を伸ばさせ始めたのが、きっかけらしいです。
――そこから、切るタイミングを失ってしまった、と。
HIMAWARI: そうなんです。「小学校入学まで」「卒業式まで」「成人式まで」って、イベントごとに、ずるずると(笑)。役者の仕事を始めてからも和装だと「その髪、地毛でいけるから、切らないで」って言われることが多くて。もう、これは、人生を共に歩んできたものだから、一生付き合っていこうと。
――逆に、ショートカットへの憧れは?
HIMAWARI: めちゃくちゃあります! もう、後ろを刈り上げるぐらいの、前下がりボブにしたくて、ずっと「切りたい、切りたい」って言ってます(笑)。
――その髪を、いつかリングに懸ける、という可能性も?
HIMAWARI: ああ、それは、やりたいですね! それこそ、引退する時とか、人生の大きな節目で、メキシコに行って、「マスカラ・コントラ・カベジェラ」(マスクと髪の毛の、敗者髪切りマッチ)を、本場でやりたいです。
――日本ではなく、メキシコで。
HIMAWARI: はい。私の人生、そのものなので。それを懸けて、異国の地で戦って、もしかしたら、向こうに髪を置いてくる……それも、すごく、いいプロレスラー人生だなって思います。















