「出たり、入ったり」潮﨑豪の加入で加速するHAVOCの勢い 芦野祥太郎にも底抜けの笑顔が戻った

【柴田惣一のプロレス現在過去未来】

何とも嬉しそうだ。リングに上がることが天命であり喜び。筋肉が躍動する。技が切れまくる。マイクも冴えわたる…HAVOCの大暴れが際立つ。全日本プロレスの「大破壊」ユニットが輝いている。

中でも芦野祥太郎の弾けっぷりがまぶしいくらいだ。「プロレスが楽しい」。全身から伝わってくる。

HAVOCはザイオン、オデッセイの外国人選手に加えて「出たり、入ったり」の出戻り参戦・潮﨑豪が加わったことで、いよいよ勢いが増している。何より芦野が蘇った。

芦野はWRESTLE-1(W-1)でデビューし全日本にやって来た。W-1ではW-1チャンピオンシップに君臨するなど、若きエースとして活躍していた。W―1の活動停止にともない、全日本に戦場を移してからも、必殺アンクルロックを武器に着実にキャリアアップを重ねていた。

2023年のチャンピオン・カーニバルも制し、新日本プロレスの永田裕志に流失していた三冠王座の奪回に挑むことが決まった。まさに「王道の救世主」にのし上がったのだ。

ところが、何とも残念なことにカーニバル決勝戦を最後に左尺骨骨折で長期欠場に追い込まれてしまった。


©全日本プロレス

救世主と期待された男が、運に見放された。その後の芦野は踏ん張ってはいるものの、結果は今一つ。青柳優馬、安齊勇馬、斎藤ジュンらが三冠王座に輝くのを横目で見るばかり。その心中は推して知るべし。悔しさにまみれていたはずだ。存在感もなく表情も暗かった。

いつの間にかキャリア10年、35歳とレスラーとして円熟期を迎えていた。同年齢のザイオンと意気投合し、今年のチャンピオン・カーニバル後にHAVOCを結成。オデッセイを招き入れ勢力拡大。ノアから出戻ってきた潮﨑が新加入し、HAVOCはもはや無双そのものだ。


©全日本プロレス

「出たり、入ったり」で批判も浴びた潮﨑を快く受け入れたことも大きかった。ペイントを施し「ハボック!」の雄たけびとともにポーズを決める4人の顔の晴れやかなこと。これぞプロレスを楽しむ男たちだ。

ノアと全日本を行き来した潮﨑は、様々な思いを吐露していた。彼の思いにも一理あったが、「御託を並べるな」と厳しい批判にさらされていた。

実はまだノアに在籍していた潮﨑が、全日本の東京・大田区総合体育館大会をお忍び観戦に訪れていた。「え?」という記者に、そっと人差し指を唇に押し当てた潮﨑だったが、そのころから「全日本出戻り」という選択肢があったのかも知れない。


©全日本プロレス

潮﨑はザイオンからの声掛けを明かしていたが、加えて芦野の復活ぶりが最後の後押しになったのではないか。三冠王座になかなか手が届かず、いささか低迷気味だった芦野がHAVOCとなって、迫力、気力を取り戻している。息を吹き返した芦野の勇姿に自分の姿を重ねあわしたのだろう。

芦野は「豪さん」と潮崎を兄貴分のように慕っている。潮﨑から教わることも多いだろう。最近の芦野は見たこともないハシャギっぷりだ。

潮﨑と芦野は「世界最強タッグ決定リーグ戦2025」(11月22日、後楽園ホール大会で開幕)Aブロックに参戦。ザイオンとオデッセイはBブリックにエントリーされ、HAVOCによる優勝決定戦(12月10日、後楽園ホール大会)を目論んでいる。


©全日本プロレス

芦野自身はGAORA TV王座を手に入れ、ザイオンとオデッセイが世界タッグ王座に就いている。「HAVOCでベルトを独占する」という表明も、この勢いでは決して夢ではない。家族を大切にする芦野は、HAVOCの仲間との絆も大事にしている。

雌伏の時があったればこそ、栄光を掴んだ時の喜びも膨らむ。来年の干支は馬。人間万事塞翁が馬。数々の苦難を乗り越え、再び輝き出した芦野である。御託は必要ない。ファイトですべてを証明するのみだ。

紆余曲折を経た潮﨑と共に、再起、そして再び輝く「再輝」へ、芦野祥太郎が怒涛の進撃を開始する。

Pages 1 2

◆プロレスTODAY(LINEで友達追加)
友だち追加