【新日本】高橋ヒロム、涙の所属ラストマッチ! アキラの暴走、エックスの助太刀、そしてデスペラードとの“魂の邂逅”<2.11大阪>
新日本プロレスのリングで、また一つ大きな物語が区切りを迎えた。
2月11日(水・祝)、大阪・大阪府立体育会館(エディオンアリーナ大阪)で開催された『THE NEW BEGINNING in OSAKA』。
そのオープニングを飾ったのは、この日をもって新日本プロレスを退団する高橋ヒロムの「壮行試合」だった。
■ヒロムの“卒業式”をブチ壊したアキラの狂気
「よし、いこうかー!」
入場時、感極まった表情を手で覆い隠したヒロムが、覚悟を決めたように咆哮した。
パートナーは盟友・石森太二。対するは、因縁深きフランシスコ・アキラ&ジェイコブ・オースティン・ヤングのUNITED EMPIRE(UE)コンビだ。
アキラは長期欠場からの復帰直後、ヒロムに牙を剥き続けてきた。ジェイコブに至っては、ヒロムから奪った派手なジャケットを羽織って入場するという挑発ぶりだ。

試合はゴング前からアキラが突っかかる波乱の幕開けとなった。ヒロムへの歓声が支配する空間で、UEの二人はヒールに徹する。
アキラは執拗にヒロムをつけ狙い、場外戦や連携攻撃で痛めつける。

しかし、ヒロムも負けてはいない。石森との息の合った連携を見せ、ジェイコブに対しテンデデロ、さらに石森を利用したティヘラと、変幻自在の動きで翻弄。
場内を巻き込む「もっとー!」のコール&レスポンスも健在だ。

終盤、アキラが猛攻を仕掛けるも、ヒロムはカウンターのパワーボムで反撃。最後は石森がジェイコブをラ・ミスティカ式Bone Lockで捕らえ、タップアウトを奪った。

だが、本当の戦いは試合後に待っていた。

勝ち名乗りを受けるヒロムを、アキラが背後から急襲。馬乗りになってパンチを浴びせ、さらにはイス攻撃という暴挙に出た。

ヒロムの首にイスを固定し、もう一脚を振り上げるアキラ。場内が悲鳴に包まれたその時、救出に入ったのはロビー・エックスだった。
エックスは鮮やかなハンドスプリング式カッターでアキラを撃退。最後はヒロムが自らの手でアキラにヒロムちゃんボンバーを叩き込み、リング上の騒乱を鎮めた。

■バックステージで待っていた“運命の同期”
リングを降りたヒロムを待っていたのは、予定調和ではないドラマだった。
石森、ロビー・エックスと別れ、一人控室へ戻ろうとしたヒロムの首根っこを掴んだ男がいた。試合のないはずのエル・デスペラードである。
「何、何? なんで? 今日、試合ないだろ?」と驚くヒロムに対し、デスペラードは「ねえよ。ここでお前にしゃべるためだけに(会場に)来てんだよ。わざわざ」とぶっきらぼうに、しかし温かく答えた。
デスペラードは試合前の煽りVTRを見て「正直、お前はこういうのイヤかもしんねえけど、泣きそうだった」と吐露。その上で、新弟子の頃の記憶を語り始めた。
「練習生の時、しんどかったけど一番声出してたもんな、お前な。プッシュアップもさ、デブの俺よりできなくて怒られてたな」
これにヒロムも「デカイんだよ、同期2人(ファレら)が……。デカすぎるのにできるから。じゃあこっちは、“じゃあ何が勝てるかな?”と思った時に、声出すしかなかったわ。気合見せるしかなかった。それだけで乗り切った、俺は」と、過酷な下積み時代を懐かしんだ。
■渡された「破れたマスク」と3つの言葉
「長々話してると、エル・デスペラードがぶっ壊れて泣きそうだから」と、デスペラードは話を切り上げ、「要点を3つだけ言おう」とヒロムに向き合った。
まず1つ目は「ありがとな」。
デスペラードは「お前が凱旋してきた時、俺、全然うだつが上がってなくてさ……。でも腐んなくて、ずっと上を目指してできたのもお前がいたからで」と感謝を述べ、ある袋を手渡した。中身は、かつてヒロムとの抗争で破られたマスクだった。「覚えてる。当たり前じゃん。まだ持ってんの?」と驚くヒロムに、デスペラードは「それ渡しに来たのもある。くれる。ありがとな」と、因縁の証を譲り渡した。
2つ目は「頑張れよ」。
「どこで、何すんのかはまあプロレスだと思うけどさ……ケガすんなよ」と気遣うデスペラードに対し、ヒロムは「もちろん。頑張るし、ケガもしないけど……でも、何があるかわからないのがプロレスだから、そこは何とも言えないわ。何とも言えないし約束はできないけど、俺がどれだけ根性があるか、それだけはわかるだろ?」と返し、二人は「勇気と根性だけでな」と笑い合った。
そして3つ目。「勝手に引退すんなよ」。
デスペラードは「お前、言ったろ? 引退するまでなんべんもやり合うって」と約束を確認。2年前の東京ドームでのシングルマッチ以来、タッグですら肌を合わせていない空白の期間を惜しみつつ、「だからこそ、次ね。どこかわかんないけど、やった時は、面白い試合になるだろう。これだけのストーリーがあるヤツはいないよ」とヒロムは未来の再会を確信していた。
■「どっちがスゲエレスラーになるか勝負しようぜ」
別れの時、去りゆくヒロムがデスペラードを呼び止めた。
「俺からも一つ……同じこうやってプロレス界にいるんだよ。お互いプロレスやるんだよ。だったらさあ、俺、勝負ごと好きなんだよ。どっちがスゲエかって、俺好きなんだよ。そんなの比べられることじゃないかもしれないけど、だからさ、デスペラード、俺とお前、どっちがスゲエレスラーになるか、勝負しようぜ」
これに対しデスペラードは「ああ……いいじゃない」と快諾。
「そん時はまた、シングルマッチやろうよ。デスペラードが同期でよかったよ。ありがと」と涙声になるヒロムに対し、デスペラードは「お前が同期で、俺はよかったよ。ありがとな」と右手を差し出した。
その手を強く握り返したヒロムは「負けないから」と宣言。デスペラードはヒロムを抱きしめ、「待ってるし! 俺の方が先行くぜ。またなあ~」と言い残し、颯爽と姿を消した。
■ヒロム「新しい夢ができた」
一人残されたヒロムは、「ああ……こんな予定じゃなかった。はあ、スッキリした。これで、心おきなく、もっとスゲエ男になれる」と独りごちた。
そして最後に、新たな決意を口にした。
「俺の夢は、変わらないから。IWGPジュニア王者のまま、ジュニアとしてIWGPヘビー級のベルトを獲り、そしてゴールデンタイムで試合をする。そして、もうひとつ、新しい夢ができた。それだけ……」
その「新しい夢」が何なのか、言葉にはしなかったが、その表情は希望に満ちていた。
新日本プロレスジュニアのカリスマ・高橋ヒロム。その第1章は、最高のライバルとの約束と共に幕を下ろした。
【試合結果・コメント抜粋】
新日本プロレス『THE NEW BEGINNING in OSAKA』
日時:2026年2月11日(水・祝)
会場:大阪・大阪府立体育会館(エディオンアリーナ大阪)
▼第1試合 スペシャルタッグマッチ 高橋ヒロム壮行試合 30分1本勝負
〇石森太二、高橋ヒロム
vs
フランシスコ・アキラ、●ジェイコブ・オースティン・ヤング
9分40秒 Bone Lock
▼ロビー・エックス 「彼の最後の試合をアキラがぶっ潰すのを黙って見ているわけにはいかなかった。俺がトップ選手の1人になれているとしたら、あの男がモチベーションを与えたってことだ。俺はヒロム・タカハシと同じレベルの素晴らしい選手になりたい」
▼石森太二 「高橋ヒロム。この続きはあると信じて、俺はこっちでやっていくからな。お前は自分の夢に向かってベストを尽くせ。これはまさしく神の恵み。そう、グレイスだ」
▼フランシスコ・アキラ 「ヒロム・タカハシ、お前は臆病者だ。俺とのシングルマッチの機会を設けることなく去るなんて。お前が夢を追ってどこへ行こうと、その夢が砕けることを願うよ。マタネ、ジャナイ。サヨナラ」
▼ジェイコブ・オースティン・ヤング 「負け犬はイヤだ。自分自身をぶっ壊す。『BEST OF THE SUPER Jr.』の時期には、見間違うようなジェイコブ・オースティン・ヤングになっているからな」
<写真提供:新日本プロレス>
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