【新日本】ゼイン・ジェイ、狂気の敗戦の弁。「ボロボロにされるたび強くなる」 エチセロの牙城崩せずも不気味な存在感

新日本プロレス恒例のルチャ・リブレの祭典『NJPW PRESENTS CMLL FANTASTICA MANIA 2026』が2月18日、東京・国立代々木競技場・第二体育館にて開幕した。

メキシコ・CMLLからスペル・エストレージャたちが大挙来日し、華やかな空中戦や極上のジャベ(関節技)が繰り広げられる中、第2試合では異様な緊張感を漂わせるシングルマッチが組まれた。

対峙したのは、今年1月にUNITED EMPIREへ電撃加入し、ヒールターンを果たしたゼイン・ジェイと、CMLLの“錬金術師”ことエチセロである。

1.19後楽園大会でのヤングライオン杯公式戦において、パイプイスによる暴行で反則負けを喫し、そのまま帝国軍入りを宣言したゼイン。

黒いショートタイツ姿は変わらないものの、その瞳にはかつての純粋さはなく、ギラついた野心が宿っていた。

対するエチセロは、ザック・セイバーJr.との抗争やAEW参戦など、世界を股にかけて活躍する実力者。

キャリアとテクニックで勝るエチセロに対し、悪の道を選んだ若武者がどのように挑むのか、注目が集まった。

入場時からゼインは反抗的な態度を露わにする。会場にヤングライオンのテーマ曲が流れると、これを遮るようにマイクを握り、観客に向けて言い放った。

「(※日本語で)ヘイ、ヤングライオンジャナイ!ワカル? マエらに通じる言葉で言ってやっただけだ。俺はヤングライオンなんかじゃないぞ!あんなダサい曲、二度と流すな」

ゴングが鳴ると、試合はエチセロの独壇場となるかと思われた。

熟練のルチャドールは、ゼインの腕攻めをいなし、レッグブリーカーやロメロスペシャルといった多彩なジャベで若き挑戦者をキリキリと痛めつける。

しかし、ゼインもただでは終わらない。場外戦に活路を見出すと、パンチ連打に加え、禁断のマスク剥ぎに手をかける暴挙に出た。

レフェリーの制止も意に介さず、荒々しいファイトでエチセロを追い込む場面も見られた。

リングに戻ってもゼインの勢いは衰えず、トペ・スイシーダで宙を舞うなど身体能力の高さを見せつける。

終盤には激しいチョップ合戦を展開し、競り勝って串刺し攻撃を狙った。だが、エチセロはこれを冷静に見切り、強烈な串刺しニーを突き刺す。

最後はゼインの両肩と首を複雑に極めるジャベで捕獲し、ギブアップを奪った。

世界を知る古豪が、勢いに乗る若手の挑戦を厚い壁となって跳ね返した。

試合後、敗れたゼインはダメージに顔を歪めながらも、その表情には狂気じみた充実感が漂っていた。

バックステージでは、UNITED EMPIRE入りを選んだ真意と、独自の哲学をまくし立てた。

「アァ、アァ…、ボロボロだ。だが最高だ。クソ最高だ。こうしてボコボコにされるたびに、俺はさらに強くなってるのがわかる。エチセロ、とんでもない対戦相手だ。あいつの顔が見たい。あいつのマスクを引き剥がして、ちっぽけな素顔を拝みたいものだ。どうだ、悪くないだろ?」

痛みすらも糧にするかのような発言に続き、ゼインは日本のプロレスシステムに対する不満と、自身のアイデンティティ確立への渇望を吐露した。

「俺がUNITED EMPIREに入ったのは、ヤングライオンでいるのを終わりにしたからだ。ヤングライオンでいるってのは、俺が大切にしてるものをどんどん削り取っていくことだ。25年かけて築き上げてきた自分の一部をだ。NJPW ACADEMYでプロレスを始めて、それからここ日本で闘い始めた。このシステムが俺から全てを奪ったんだ。俺はそれを必死で取り戻そうとしてる。俺は自分を探してるんだ。そのためのベストな方法がUNITED EMPIREなんだよ」

さらにその矛先は、これまで自分を見向きもしなかったというファンへも向けられた。

「それとな、世界中のファンども、日本のファン、アメリカのファン、メキシコのファン。どこにいるファンだろうが、一度だって俺のことを気にも留めなかった。俺のことなんて、これっぽっちも気にしちゃいない。お前らのことなんか、どうでもいい。お前らが大好きなやつらを俺が奪う。そして俺から奪ったものをすべて取り戻す。これが約束だ」

一方、貫禄の勝利を収めたエチセロは、自身のステータスを誇示しつつ、日本のリングへの継続参戦にも意欲を見せた。

「見せつけてやったよ。そう、メキシコでCMLLでも言ったし、アメリカでも、そして今新日本プロレスでもだ。見せつけに来たぞ。なぜ私がCMLLで最高のルチャドールなのか。なぜ私がCMLLの顔なのか、なぜ私がCMLLの代表なのか。なぜメキシコとアメリカで2団体所属なのか」

「日本でも私を必要とするなら、入ってもいいぞ。誰が入って誰が出ていくのか。私はすんなりと受け入れるよ。遠距離の移動なんて気にしないし、必要とされるなら時々でも来るよ。今見てもらったような試合を見せるためにね」

また、対戦相手のゼインに対しても、一定の評価を与えた。

「ヤングライオンは素晴らしいよ。良い動きをしている。良い打撃を持っている。紳士淑女の皆さん、私の経験値は十分にある。私がなぜここにいるか、世界で私がリスペクトされているかを見せることができた。ツアーは始まったばかりだ」

システムに抗い、悪の道で「個」を確立しようとするゼイン・ジェイ。世界標準の実力を見せつけ、さらなるオファーを待つエチセロ。

勝敗を超え、それぞれの主張が交錯した開幕戦の第2試合は、今シリーズの激闘を予感させる濃厚な内容となった。

<写真提供:新日本プロレス>

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