【スターダム】岡田太郎社長が描く、新日本プロレス兼任で見据える“世界一エネルギーが渦巻くリング”への道「東京ドーム開催が日本マット界No.1への最大の一手」

女子プロレス団体スターダムの岡田太郎社長への独占インタビュー後編。

前編では、トップスターの引退や選手の結婚といった不測の事態をビジネスのチャンスに変えるマネジメント術について語ってもらった。

後編では、視点をさらに広げ、新日本プロレスとの兼任取締役としてのシナジー、CMLLなど海外団体とのクロスオーバー、そして悲願である「東京ドーム大会」に向けた具体的なステップについて踏み込んでいく。

「プロレス村から抜け出す」「逃げずに体も張る」。

学生プロレス出身という異色のバックボーンを持つ経営者が描く、世界一エネルギーが渦巻くリングの未来図とは。

■新日本プロレス兼任取締役としてのシナジー効果

――:後編もよろしくお願いいたします。岡田社長は現在、スターダムの社長であると同時に、新日本プロレスの取締役も兼任されています。この2つの重責を担う中で、どのようなシナジー(相乗効果)を感じていますか?

岡田:ブシロードグループのスポーツユニットにおいて、スターダムの目標は「国内最大のプロレス団体になること」、新日本プロレスの目標は「世界と戦える確固たるブランドを築くこと」です。この両方を知り、意思決定に関われることは非常に大きなメリットです。スターダムにとっては、歴史と伝統のある新日本プロレスの経営や過去の失敗から学び、同じ轍を踏まずに安定した成長を目指すことができる。逆に新日本プロレスに対しては、スターダムで培った「新しいことに挑戦するマインド」を還元できると思っています。

――:現場レベルでの具体的なメリットはありますか?

岡田:スポンサー営業やPRの面で絶大な効果がありますね。これまで「スターダムって新日本プロレスの子会社なんですか?」と個別に聞かれていたものが、「グループ会社としてまとめてご提案できます」と窓口を一本化できるようになりました。例えば、「上谷沙弥選手を起用したい」という案件と、「棚橋弘至社長を起用したい」という案件をセットで動かすことも可能です。「これはスターダムより新日本の方が合っている」「これは両団体で合同企画にした方がインパクトがある」といった座組みが、現場レベルで非常にスムーズに組めるようになりました。

――:その新日本プロレスの棚橋弘至社長についてですが、岡田社長から見てどのような存在でしょうか。

岡田:選手として心からリスペクトしていますし、棚橋さんがいたからこそ、自分もスターダムの経営を頑張ってこれたと思っています。選手として自ら体を張り、社長として東京ドームを満員にする姿を見て、本当に奮い立たされました。ただ、今回棚橋さんが選手を引退し、専任社長となられたことで、私の立場も少し変わりました。これまでは「棚橋さん、ありがとうございます!」と上を見て背中を追う感覚でしたが、これからは同じグループの経営者として、対等に意見を戦わせ、時には耳の痛いアドバイスもしなければならない。プレッシャーはありますが、一丸となってグループ全体を盛り上げていく覚悟です。

 

■海外提携と「プロレス村」からの脱却

――:近年、CMLL(メキシコ)へ選手を派遣するなど、海外や他団体とのクロスオーバー展開が活発です。今後の提携パートナーとの関係性についてどうお考えですか?

岡田:海外展開に関しては、自前で興行を打つコストやリスクを考えると、現地の団体と積極的に提携するべきだという方針です。CMLLへの派遣も選手の経験値が上がり、スターダムの名前も世界に広がる。逆に海外から未知の強豪が来日すれば、日本のファンにとっても大きな刺激になります。お互いのビジネスを効率化し、連携を強化していくことは、業界全体をシュリンクさせないためにも不可欠です。


※キッド、舞華、葉月、星来がCMLL勢と共にメキシコ大使館を訪問(写真:泉井弘之介)

――:業界全体を大きくしていく、という視点ですね。

岡田:ええ。そして、スターダムをさらに大きくするためには、「プロレス村の中で商売をしないこと」が何より重要です。「うちのプロレスは凄いんだぞ」と既存のプロレスファンに向けてアピールする内向きの戦い方だけではなく、世間一般に向けて「女子プロレスというコンテンツが、他のどんなエンタメよりも面白い」ということを示さなければなりません。

――:そのための具体的なステップとは?

岡田:発信力と広告宣伝の強化です。「見てもらえれば凄さがわかるのに」と嘆くのではなく、「見てもらうための本当の努力」をすること。他のメジャースポーツがやっているようなプロモーションを、我々も徹底してやる。その意識を経営陣だけでなく、選手全員が持つことが次のステップです。それを着実に積み重ねていけば、巡り合わせとして「東京ドーム」という大舞台が必然的に見えてくるはずです。

 

■最も重要な一手「東京ドーム開催」がもたらす究極の差別化

――:日本マット界No.1を狙う上で、競合他団体との「差別化ポイント」や「最も重要な一手」は何だとお考えですか。

岡田:ずばり、東京ドーム大会の開催です。これに尽きます。

――:東京ドーム大会の開催は世間にも響きます。

岡田:日本エンタメ界において、「東京ドーム」というブランドは圧倒的です。海外のアーティストが来日しても、お笑い芸人がライブをやっても、「東京ドームで開催した」という事実が最大のステータスであり、世間に対する最もわかりやすい説得力になります。東京ドームを成功させること。それが、世界に通用するエンターテインメントビジネスとして、日本マット界No.1の証明であり、他との完全な差別化になります。これを真っ直ぐに、何としても成し遂げたいですね。

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