【新日本】ウルフアロンが本家の前で“無意識の”ドラゴンリングイン! 72歳・藤波辰爾の背中に柔道金メダリストがプロレスの神髄を見る

新日本プロレスは3月6日、東京・大田区総合体育館にて創立54周年を祝う『旗揚げ記念日』を開催した。

1972年の同日に産声を上げた新日本プロレスにとって特別な意味を持つこの地で、柔道金メダリストからプロレスラーへと転向したウルフアロンが、自らの進むべき道を確信する劇的な一夜を過ごした。

第5試合の「旗揚げ記念日スペシャル10人タッグマッチ」において、ウルフアロンは小島聡、海野翔太、そして54年前の旗揚げ戦に出場した生ける伝説・藤波辰爾とその愛息LEONAという、新日本の歴史を体現するような陣営に加わった。

対するは、成田蓮、チェーズ・オーエンズ、高橋裕二郎、SHO、ディック東郷からなる極悪軍団H.O.Tである。

前日のトーナメント1回戦で屈辱の敗退を喫し、「ドン底」を味わっていたウルフアロン。

しかし、レジェンドの背中が闘志に火をつけた。

試合はH.O.Tの徹底した反則とラフファイトが横行する荒れ模様となったが、ウルフアロンは強靭な肉体を駆使して躍動する。

東郷にボディスラム、成田にはハリケーンドライバーを炸裂させ、裕二郎とオーエンズを小手投げで次々と投げ飛ばして咆哮を上げた。

さらに会場を沸かせたのは、コーナー最上段に上って披露した「ドラゴンリングイン」である。

本家である藤波辰爾の眼前で繰り出されたこのムーブは、大田区のファンを大きくどよめかせた。

試合自体は、レフェリーの目を盗んだH.O.Tの凶器攻撃により、裕二郎がLEONAからピンプジュースで3カウントを強奪する不本意な結末となった。

しかし、敗戦のショック以上に、ウルフアロンが得た収穫は計り知れないものであった。

バックステージに戻ると、新世代の旗手である海野翔太から呼び止められ、公の場で初めて和やかな言葉を交わした。

海野「そしてウルフさん、一緒にコメントしましょうよ、たまには」

ウルフ「(※コメントスペースに来ながら)たまには(笑)。初めてですよ」

海野「なんだかんだデビューしてこうやって、公の場で話すのは初めてですもんね」

ウルフ「昨日初めてタッグ組ませてもらったんですけど」

海野「ねぇ。僕はコメントでも残したんですけれども、おそらく明日の新日本プロレスのオフィシャルサイトで出るんですけれども、プロレス……まぁ新日本プロレスという部分では10年ぐらいのキャリアがあって先輩後輩だとかくだらんもんがあるかもしんないですけど、僕は一人の人間として、漢・ウルフアロンをめちゃくちゃ尊敬してるんで」

ウルフ「ありがとうございます」

海野「プライベートで飲みに行ったり」

ウルフ「そうですね」

海野「お酒10リットルぐらい飲んだり(笑)」

ウルフ「そうですね。数えたことはないですけど。数えたことはないですけど、おそらく10リットルだろという」

海野「こういう感じで盛り上げていきましょう」

ウルフ「そうですね。僕らが」

海野「本隊を、新日本プロレスを」

ウルフ「まぁ本隊が盛り上がれば新日本プロレスも盛り上がると思うんで」

海野翔太が立ち去った後、ウルフアロンは報道陣に向けて、レジェンド藤波辰爾とのタッグで感じた強烈な衝撃と、自身の年齢と競技人生についての深い洞察を語った。

ウルフ「上手い具合に巻き込まれましたね(笑)。いやまぁ今回の試合、負けましたけど、やっぱり藤波さんと初めて今日タッグを組ませてもらって、やっぱ72歳でそれでも自分のしたいことを追い続けてる人って、めちゃくちゃ輝いてるなっていうふうに思いました。まぁ僕は今、30で、正直柔道って30前後に引退になって、その先は競技人生続いていかないっていう方が多いんですけど、僕なんか30になって柔道家では往年みたいな感じだったんですよ。それでもこのプロレスっていう業界に入って、72歳でも自分の最高のパフォーマンスを目指してやっている方がいるっていうのを見て、今日凄く勇気づけられました。今日一緒に試合ができて本当に良かったです」

話題がリング上で披露したドラゴンリングインに及ぶと、それは計算ではなく、闘いの熱の中で自然と引き出された本能の動きであったことを明かした。

ウルフ「いや、いつも通り1回入ったんですけど、なんか違うなと思って。なんか違ったんですよね、雰囲気が僕の中で。気付いたら飛んでましたね」

(無意識に体が?)

ウルフ「無意識に体が勝手に。まるで大内返のように。あれ? 分かんない? 柔道技分かんない? すいません」

そして、新日本プロレスの54年という重みを受け止め、未来の最強プロレスラーへ向けた決意を新たにした。

ウルフ「本当にたくさんのレスラーの方がこの新日本プロレスを作り上げてきたというのを肌を通して、また目で見ながら実感できてますし、先輩たちが作り上げてきたこの新日本プロレスっていうものを、もっともっと大きい存在にできるのは今の現役のプロレスラーだけだと思ってるので、僕はその一員として自分のやるべきことを全うしたいと思います。
こっから、もちろん負けたくないっすよ。それは昔からそうですけど、負けず嫌いなのは元々の僕の性なので。その気持ちをしっかりと持ちながらモチベーションに繋げていって。でも、やっぱりプロレスっていうこの一点においては僕はまだまだ新人ですし、青いところもたくさんあると思うんで、そこをしっかり試行錯誤していきながら埋めていって、最強のプロレスラーを目指したいと思います」

一方、息子のLEONAを無法殺法で蹂躙され怒り心頭の藤波辰爾であったが、初めてタッグを組んだウルフアロンのポテンシャルには太鼓判を押した。

藤波「いやぁ、いいね。やっぱキレがあるね。実際こう……今までは映像でしか見てないけど、実際こうやって間近で見たら本物だね、うん。今日はあれぐらい元気に俺もいきたかったんだけどね。
(ドラゴンリングインについて)
いやいや俺も一瞬、『あれ…これ…えー?』って思ったんだけど(笑)。お客さんも一瞬戸惑ったような感じだけど、あいつは余裕でやってんのか、知っててやってんのか、一瞬俺もそれでちょっと自分で目を疑ったけど、まぁそれだけ余裕があんでしょう。あのキレはいい。本当に本物だね。やっぱ金メダルの」

柔道家としての「往年」である30歳で飛び込んだ果てなきプロレスの海。72歳にしてリングに立ち続ける伝説の背中と、金メダリストの「本物」のポテンシャルが交錯した大田区の夜は、ウルフアロンのプロレスラー人生における重要なターニングポイントとして記憶されることになる。

<写真提供:新日本プロレス>

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