初代タイガーマスクが語る、45年間の感謝と“新武道”の集大成「これからの自分の生き様をまだ見せることができる」
初代タイガーマスクとして一時代を築いた佐山サトルが、デビュー50周年およびタイガーマスク誕生45周年の節目に現在の心境を語った。
日本中を熱狂させた伝説の初陣について「自分としてはいい試合じゃなかった」と当時の葛藤を明かす一方、半世紀にわたり支え続けてくれたファンへ深い感謝を表明。
現在は体調も快方に向かっており、今後は自身の経験と大脳科学などを融合させた「新たな武道」の確立に全力を注ぐ構えだ。
プロレスと武道の未来へ向け、永遠のヒーローが新たな決意を胸に走り出している。

『自分が新たな道に進もうとする時もタイガーマスクを信じてずっとファンでいてくれた。だからこそプロレス、格闘技、そして武道、これからの残された時間、全速力で、全力で創っていきたいと思います。』
■ファンへの深い感謝と、これからの「プロレス・格闘技・武道」への熱意

――初代タイガーマスク45周年、佐山サトルデビュー50周年のメモリアルイヤーを迎えました。半世紀に及ぶ闘いの日々、感覚的としてあっという間だったか、長く濃い時間だったのでしょうか?
初代タイガー どうだろうな、長い濃い45年だったかもしれませんね。その間にいろんな人がかかわってくれて、自分を育ててくれた。もちろんファンの皆さんのおかげが一番大きいです。ここまでずっとファンを続けてくれるというのはすごいこと、それはホントに感謝したいです。
――どんな時もファンが支えてくれました。
初代タイガー 自分が新たな道に進もうとする時もタイガーマスクを信じてずっとファンでいてくれた。だからこそプロレス、格闘技、そして武道、これからの残された時間、全速力で、全力で創っていきたいと思います。(団体旗揚げからの)この21年間、あるいは45年間、何を動いていたのかを成果にできるように、だんだんまとまってきているので。
――具現化していきたいと。
初代タイガー プロレスに関しても、新しい道場ができるので基本に沿ったプロレスラーを。自分を育ててくれた新日本プロレスの土壌がありますから、その土壌のなかで選手を育てていきたいし、現代のようにいい試合をしてもらいたい。いい時代がくるように、その両方を備えた特別な選手たちを育てていきたいと思います。総合のほうも、僕が思った技術と違うところがあるので、そこらもまとめていきたいですね。例えばタックルにしても、入り方、あるいはタイミングによってぜんぜん変わってくる。そういうことも教えていきたいし、もっとレスリングの強い選手を育てたいですね。
――45年という長い月日が経ってなお、佐山さんのなかには“これから”への意欲が溢れているんですね。
初代タイガー そのために費やしてきた時間ですから。研究が花開く時期でもある。神田明神さんでやらせてもらってる発表というか、研究になってしまうんですけど、こうじゃない、ああじゃないというところを繰り返して、いいのができそうな感じがしています。
■大脳科学と日本の心を取り入れた「新武道」の確立

――研究の成果が実りそうだと。
初代タイガーマスク 日本の歴史を何のためにやっているかというと、日本人を知りたいため。世界の歴史をなんでやっているかというと、世界を知りたいため。人間形成をする際、どういうところに日本人の特性を生かし、落としこめばいいのか。強い人間を作るために大脳生理学とか心理学、脳波の問題、大脳科学などを使って。そういう研究をしているんです。
――もう少し詳しく言うと?
初代タイガー 例えば、どうやったら人間が怖がるのかとか。怖さがなくなる方法があるんです。立証されてるんです、アメリカで。これは有名な話で、1週間かけて、あるところの力を抜く練習なんですけど、僕らも実践していて。
――怖さがなくなるというのはどういう状態なんでしょうか?
初代タイガー ベータ波という日常生活の脳波がある。アルファ波、シータ波、デルタ波とかいろいろあるんだけど、下の状態に持っていくわけです。昔で言う山伏とか、マラソンの選手ならランナーズハイという状態、エンドロフィンが出て心地よい興奮状態に入る。日本って不思議な文化で、何でも“静か”なんです。
――静か?
初代タイガー 室町時代の枯山水や侘寂(わびさび)、松蔭作り、全部“静”なんです。それが日本独特の姿。礼法や礼儀作法もそう。西洋だと動的なものになるけど、静かな方向に行くのが日本の文化。尊敬したり、謙遜したり。そこのところを作り込むのが新しい武道の始まり。ただ、日本の文化をそのまま伝えようとしても現代社会には無理なところがあるので、それを(現代に)リンクさせて、どれだけ強い人間ができるのか。日本人は、人はいい、ルールは守る、規律はしっかりしている。しかし、弱いところ、決断力のなさとかがありますよね。その弱さとはなんであるかを気づかせてあげないといけないですし。静の世界とはどういうものか。アルファ波、シータ波、ベータ波、ガンマ波がリンクした世界というのはどれだけ素晴らしいものかというのを、日本の土台にして、やっていきたいなと思いますね。
――武道や精神に対する興味・関心は若かりし日からあったんでしょうか?
初代タイガー ありましたね。修斗の時、(国技である)相撲みたいなものを創りたかったんです。語弊があるかもしれませんが、ルールなら誰でも作れる。それでは足りないな、というところが絶対的にあったので。僕の生い立ちを振り返ると、幼少期、おばあちゃん子だったんです。そのおばあちゃんが相当保守的で、それを自分に教えてくれたんですね。侍の家系でもあったので、父親も礼儀作法や挨拶にとにかく厳しくする人だったんです。父は1年間、兵隊に連れていかれて、2年半抑留された満州帰りで、新間さんの親父さんと似てるんです。(そんな父は)中道の人だったので保守的な考えとか忘れちゃってたんですけど、山口県立水産高校という学校がすごい保守のところだったので。僕らはスポーツばかりでしたが、そこで鍛えられましたね。日本人の弱さというのも、つくづく分かるわけです。みんな当たり前の世界だと思ってるかもしれないけど、昔の日本人は違うよとずっと思ってたし。ただ、昔の日本人を強制するつもりはないです。日本を大切にして、弱い世界じゃいけない。そういう世界を、そういう武道を、文化を作っていきたいと思ったんです。














