彩羽匠がSareeeとの頂上決戦への思いと、“長与イズム”の覚悟を明かす「全てを受け切って勝つ、それが女子プロレスの頂点」

■ 長与千種の愛弟子という呪縛と「パスタ6人前」の洗礼
――:「スパーク・ラッシュ」は、あの伝説のタッグチーム「クラッシュ・ギャルズ(長与千種&ライオネス飛鳥)」から正式に後継者として認められました。この継承について、どのような責任や覚悟を感じていますか?
彩羽:クラッシュ・ギャルズって、プロレスファンじゃない一般層の方々にも浸透している、まさに社会現象を起こしたレジェンドですよね。「昔ビューティ・ペア見てたよ、クラッシュ・ギャルズ熱狂したよ」という声は今でもたくさん聞きます。そんな偉大な方々から直接「後継者」として認めていただき、応援してもらえるのは本当に光栄なことです。でも、その看板を背負うということは、「クラッシュ・ギャルズのような時代を、私たちが再び創り出さなければならない」という重大な責任でもあります。絶対に自分たちで新しい時代を切り拓くんだという覚悟が、あの瞬間に固まりました。
――:彩羽選手はデビュー当時から「長与千種の愛弟子」「後継者」という期待を背負い続けてきました。その看板の重さに苦しんだ時期もあったのでしょうか。
彩羽:ありましたね。マーベラスを旗揚げしてからの数年間は、正直「長与千種」という名前が大きすぎて、重すぎて、自分自身で勝手に潰れそうになって悩んだ時期が長くありました。「長与さんの愛弟子ならこれくらいできて当然」「長与さんの団体だから」という見られ方が強すぎて、「早くこの肩書きを超えて、“彩羽匠”という一人のプロレスラーとして認められたい」と常にもがいていました。

――:その苦悩を抜け出せたのはいつ頃ですか?
彩羽:ようやく近年になって「彩羽匠」というレスラー像が確立してきたと自分でも思えるようになりました。だからこそ、このタイミングで「クラッシュ・ギャルズ継承」という新たな看板を背負うことは、ある意味で自分にわざとプレッシャーを与えている感覚なんです。プレッシャーがないと、人間ってどうしてもぬるま湯に浸かってしまう。過去の伝説を超えるためには、これくらいの重圧を背負って戦い続けるしかないんです。
――:長与イズムを語る上で欠かせない「教え」について伺います。長与選手の指導は、やはり厳しかったのでしょうか?
彩羽:今は時代も変わってすっごく丸くなりましたけど、7、8年前までは本当にヤバかったですよ! コンプライアンス的にここでは言えないようなこともたくさん……(笑)。
――:言える範囲で、伝説の特訓エピソードを教えてください(笑)。
彩羽:例えば、食事も過酷なトレーニングの一つでした。食事の席にパスタが用意されるんですけど、お皿じゃなくて巨大な「ボウル」に入って出てくるんです。それがなんと一人につき「6人前」。「これ全部食べ終わるまで、リングに上げないからな」って言われるんです。

――:1人でパスタ6人前!?
彩羽:そうです。大食いチャレンジですよ。必死に食べて、途中で吐きそうになりながらも胃に詰め込んで……完食するのに4時間くらいかかるんです。そして「やっと終わった、これでリングで練習できる!」と思ったら、長与さんから「食べるのが遅い。もう夜飯の時間だ」って言われるんですよ(笑)。「とにかく胃袋を大きくして、体をでかくしろ。体が細いままどんなに凄い技をやっても、説得力がないし弱く見えるんだよ」という、まさに超・昭和な教えでした。
――:凄絶なエピソードですね……。技術面での指導はいかがでしたか?
彩羽:体を大きくして、やっとリングに上がらせてもらえるようになったと思ったら、次は「立ち方」の指導だけで何時間も終わるんです。ゴングが鳴って、私がフッと一歩動いた瞬間に「なんで今お前動いたの? ナメてんの?」って怒号が飛ぶ。「いや、試合が始まったから動いたんですけど……」と思っても、「違う! 一歩目からもう勝負は始まってるんだよ。どっちが先に動くか、どっちが動かないかで主導権が決まるんだ」と。指先の角度に至るまで、一挙手一投足すべての意味を問われました。
――:それが、今の彩羽選手の圧倒的な「佇まい」やオーラに繋がっているのですね。彩羽選手が今、後輩に指導する際も同じようなマインドなのでしょうか?
彩羽:いやいや、無理です!(笑) 自分がしんどかったから、後輩に同じような昭和の厳しい教え方はできません。それに、後輩全員に私と同じ教え方をしたら、全員が「彩羽匠のコピー」になってしまって個性が死んでしまいますから。だから、本気で「教えてください」と言ってきた子には真剣に向き合いますが、技術は「小出し」にしています。全部教えちゃって私が超えられたら困りますからね(笑)。まだまだ私も現役のトップでいたいですから。

■ 全ての話題をかっさらう。10周年大会で見せる「強さ」という頂点
――:彩羽選手が考える「女子プロレスの頂点像」とは、ズバリ何でしょうか。
彩羽:現代の女子プロレスにおいて、女性ならではの「華やかさ」は絶対に必要不可欠です。でも、根本にあるのはやっぱり「戦い」です。リングに上がる以上、誰もが「相手に勝ちたい」と思って上がっている。だからこそ、頂点に立つために一番重要な要素は、圧倒的な「強さ」だと思っています。
――:その「強さ」を証明する舞台が、今回の10周年記念大会ですね。彩羽選手・Sareee選手のメインイベント以外にも、豪華なカードが並んでいます。

彩羽:本当にこの大会は凄いですよ。東京女子プロレスさん、マリーゴールドさん、スターダムさんなど、名だたる大団体のトップ選手たちがマーベラスの10周年を祝うために集結してくれました。例えば、ウチの暁(あきら)と東京女子のエースである山下実優選手のシングルマッチ。暁にとっては、山下選手を食って一気にトップ戦線に躍り出る千載一遇のチャンスです。そして、長与千種&彩羽匠組(※カード変更等の想定文脈)やアジャコング選手など、レジェンドたちも大暴れします。
――:ファンにとっては夢のような空間になりますね。
彩羽:でも、これだけ海外の有力選手や他団体のエースたちが揃っている中で、最終的に「誰が一番目立てるか」という勝負だと思っています。他団体の選手に主役を持っていかれるわけにはいきません。マーベラスの10周年のリングですから、最後は私たちが全ての話題をかっさらいます。

――:最後に、5月5日の横浜BUNTAI大会に向けて、ファンの皆様へ熱いメッセージをお願いします!
彩羽:5月5日までもう間もなくですが、ファンの皆さんに「最高のプロレス」を見せる自信しかありません!プロレスって、初めて見る方にとっては少し敷居が高いと感じるかもしれませんが、今回の大会は演出も非常に凝っていますし、豪華なショーを見に行くようなラフな感覚で、ぜひ会場に足を運んでみてください。
マーベラスのこれまでの10年間の集大成、そしてこれからの未来の景色を、リング上の戦いを通じて必ず皆さんにお見せします。絶対に後悔はさせません。横浜BUNTAIで、皆様のご来場を心よりお待ちしています!
――:女子プロレスの頂点を懸けた究極の戦い、そしてマーベラスの新たな歴史の幕開けを心から楽しみにしています。本日はありがとうございました!
彩羽:ありがとうございました!

インタビュアー:山口義徳(プロレスTODAY総監督)
















