【新日本】『BOSJ』開幕戦でKUSHIDAが語った“プロレス哲学”と、ロビー・イーグルスを沈めた“円熟の技術”「山登りは上を目指すだけじゃない」
新日本プロレスが誇る“ジュニアの祭典”『BEST OF THE SUPER Jr.33』が5月14日(木)、東京・後楽園ホールにて開幕した。
第6試合のBブロック公式戦では、ともにIWGPジュニアヘビー級二冠王の栄誉を知る実力者同士、KUSHIDAとロビー・イーグルスが激突した。
高度な技術と思想が交差する濃密な空間は、ベテランであるKUSHIDAが電光石火のバックトゥザフューチャーで勝利を収め、2年前の同大会で敗れた雪辱を果たす結末となった。
新コスチュームに身を包んだロビー・イーグルスは、ザック・セイバーJr.とハートリー・ジャクソンという強力なセコンド陣を引き連れてリングイン。

対するKUSHIDAは、フィリピンFPWのベルトを持参し、ゴング前にシューズを脱ぎ捨てて裸足になるという異例の構えを見せた。

試合は、序盤から息を呑むようなグラウンドの攻防となった。関節技と丸め込みが幾重にも交錯するハイレベルな技術戦。

終盤、ロビー・イーグルスがパントキックからのターボ・バックパックを狙った刹那、KUSHIDAはこれを高度な丸め込みで切り返し、そのままバックトゥザフューチャーへと繋ぐ離れ業を披露。
歴戦の猛者から完璧な3カウントを奪い取った。

過酷な初戦を制したKUSHIDAは、バックステージで床にFPWのベルトを置き、静かにあぐらをかいた。
そして、試合中に痛めつけられた左足の指を優しく揉みほぐしながら、ゆっくりと口を開く。
その言葉は、単なる勝敗を超え、プロレスラー人生そのものを達観する哲学的な響きを持っていた。
「『BEST OF THE SUPER Jr.』っていう山登り、ここすでに9.5合目か?ヒャー、やべえ、レベルの高さ。」
過去に二度、この過酷なリーグ戦という山を制覇しているKUSHIDA。
若き日の頂点からの景色と、世界を渡り歩いてきた現在地を比較し、自らのキャリアを壮大な「山登り」になぞらえて語り始めた。
「二度、この山に登ったことがあって、ここはやっぱり空気が薄くて、立つ位置も小さくて、すぐ足元すくわれるしね。景色を眺めてるヒマはなかったんだ、たぶん。記憶にないっていうことは。そこから、このプロレスラー人生っていう山登り、下山したつもりは全くなくて、9合目、8合目、そこにはね、空気おいしくて、景色がよくて、花が咲いてて、モーターシティ・マシンガンズっていう友達がいて、ケビン・ナイトっていう最高のパートナーっていうか花があったりしてね。」
アメリカでの経験や、かけがえのない盟友たちとの出会い。
頂点を目指すだけの直線的な闘いではなく、山の中腹で得た豊潤な経験こそが、現在のKUSHIDAを形成している。
そのすべてを新日本プロレスのリングに還元し、再び頂を狙うという強い決意が続く。
「そういう、山登りは上を目指すだけじゃない、それをね、このキャリアにして勉強して、いろんな海外行って、アメリカ行って、そういうのが自分の中の学びです。だからその学びを新日本プロレスに全部注ぎ込んで、もう一回、頂上向かって歩いていきます。まだ開幕でしょう。最高のスタートダッシュ!よし、行ったよ、行ったよ。“KUSHIDA”だけじゃなくて、メキシコでデビューした“櫛田雄二郎”、そういうのも全部、エキスをリング上で爆発させます。ヨシ!」
充実の表情を浮かべたKUSHIDAは、力強く立ち上がり控室へと姿を消した。

一方、一瞬の隙を突かれて敗北を喫したロビー・イーグルスは、怒りと悔しさを隠しきれなかった。
首を激しく振りながら、決定打となったKUSHIDAの技の威力を振り返る。
「……ハッ。もしやられるとしても、派手に散ってやられたいもんだ。あの“ハイ・アイ・バージョン”っていうか、“ショート・レンジ・バージョン”の『BACK TO THE FUTURE』にやられたよ。たぶん、あれがあの試合で最初に受けた大きなダメージだった。あれでヤツは3カウント獲りやがった。アーーーー クソッ!……、」
感情が爆発しかけた直後、ロビー・イーグルスは自らの胸を強く叩き、日本語で必死に自身をなだめようとした。
「(※胸を叩きながら、日本語で)オチツケ、ロビー、オチツケ。オチツケ、オチツケネ!」
深い呼吸とともに英語に戻ったロビー・イーグルスは、敗北の沼から立ち上がるべく、報道陣ではなく自分自身に向けて、このリングに立つ「使命」を再確認するように語気を強めた。
それは、かつてこのジュニアのリングから去っていった先人たちへの強烈な対抗心であった。
「(※英語に戻って)ここは前にも来たことがある場所だ。君たち(報道陣)に言ってるんじゃないぞ。自分自身に言い聞かせてるんだ。なぜなら、自分がなぜここにいるのか、もう一度思い出す必要があるからだ。俺がなぜここにいるのか。それは記録を塗り替えるためだ。(プリンス・)デヴィッドが成し遂げたことは、俺がさらに上を行く。リコシェやオスプレイみたいな連中がやったこともだ。アイツらはヘビー級に行ったり、もっといい場所へ移っていった。俺は自分の使命を果たすまで、ここにいるぞ。」
ジュニアヘビー級という階級に誇りを持ち、この場所で頂点を極めることへの執念。
初戦の黒星を引きずることはなく、残りの公式戦、そしてKUSHIDAが保持するFPWタイトルへの野心を剥き出しにした。
「俺の使命とは、俺の人生を懸けた使命は、『BEST OF THE SUPER Jr.』で優勝するまで終わらない!オメデトウ、KUSHIDA。これで2勝1敗だな。だが次は、FPWタイトルだ。マニラか、悪くないな。しっかり休んで、回復して、また会場を沸かせるぞ」
山登りの途上で得た知恵と経験を総動員するKUSHIDAと、ジュニアの頂点という使命に魂を燃やすロビー・イーグルス。
開幕戦から展開された、思想と技術の極限のぶつかり合いは、今年のジュニアの祭典がかつてないほど過酷なシリーズになることを予告している。
<写真提供:新日本プロレス>
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