【新日本】葛西純が『BOSJ』前年度覇者・藤田晃生に突きつけたプロレスの残酷なリアル「今日お前は、お前の土俵で負けてんだよ」

新日本プロレスは5月17日(日)、東京・国立代々木競技場・第二体育館で『BEST OF THE SUPER Jr.33』第3戦を開催した。

セミファイナルに組まれた第9試合のAブロック公式戦は、前年度覇者である藤田晃生と、デスマッチ界のカリスマとして君臨する葛西純による注目の初対決であった。

両者の間には浅からぬ因縁が存在する。

昨年の同大会で史上最年少優勝という偉業を成し遂げた藤田晃生は、当時のIWGPジュニアヘビー級王者エル・デスペラードへの挑戦を熱望していた。

しかし、その王座戦の切符を先に手にしたのは葛西純であり、結果として若き覇者は最年少での至宝戴冠のチャンスを逃す形となっていた。

新日本プロレスの未来を担う若武者と、流血を厭わない狂気のカリスマ。交わるはずのなかった二つの道は、ゴングを待たずして激しく衝突した。

入場時からパイプイスを持参し、相手の土俵に踏み込む覚悟を示した藤田晃生に対し、葛西純は凶器攻撃や噛みつきなど、自らの主戦場と変わらぬ残酷なファイトを展開する。

中盤には場外に設置されたテーブルへのダイビングボディプレスで会場を熱狂させ、頭部に注射器を突き刺す狂乱のアピールで代々木を異様な空間へと変貌させた。

意地と意地がぶつかり合う死闘は、大技の応酬を経て意外な結末を迎える。

怒涛のラッシュで勝負を決めにかかる葛西純に対し、藤田晃生も驚異的な粘りを見せたが、最後は持ち上げると見せかけてからの新技「強引G MY WAY」による丸め込みに虚をつかれ、無念の3カウントを聞いた。

試合後、リング上で向かい合った両者は無言のまま人差し指を突き合わせ、互いの力量を認め合うかのように再戦を誓った。

バックステージに姿を現した勝者は、激闘の代償としてフロアに座り込みながらも、不敵な笑みを浮かべて口を開いた。

「オゥ、『BEST OF THE SUPER Jr.』、オゥ……ごめんなさいね。ちょっと立ってるのもしんどいんで……一番勝って“オイシイ”ヤツから3つ取ったぞ」

初戦で黒星を喫していた葛西純にとって、前年度覇者からの勝利は単なる1勝以上の価値を持つ。自らを今大会の主役と称するカリスマは、この勝利を壮大な物語の一部として位置づけた。

「前年度覇者・藤田か。(中略)今日、第1章のボスを倒したような気分だぜ」

そして、あえて自らの土俵であるラフファイトに身を投じてきた若武者に対し、プロレスにおけるルールの本質を突きつける厳しい言葉を投げかけた。

「なあ、藤田よ、お前なんか言ってたな?『相手の土俵で勝ってこそ気持ちがいい』ってな。でも、どうだ、藤田? 今日の試合いろいろテーブルやらイスやら出てきたけどよ、通常ルールには変わりねぇんだ。(中略)今日お前は、お前の土俵で負けてんだよ、バカヤロー」

反則規定を逆手に取った老獪な戦術こそが、生き馬の目を抜くリングで生き残る術であると説く。その上で、敗者の心に火をつける強烈なメッセージを残した。

「くやしいだろ、藤田!? だったらよ、完璧なハードコア、完璧なデスマッチで、葛西純から3つ取ってみろ。いつでも待ってるぞ。FREEDOMSはいつでもお前を受け入れるぞ」

一方、開幕からの連勝がストップした藤田晃生は、全身の痛みに顔を歪めながらも、どこか晴れやかな表情でコメントスペースに現れた。

敗因を問われると、自らの感情をコントロールしきれなかった未熟さを素直に認める。

「アハハ……アァ……何から話そうかな……。今日の敗因は楽しすぎたこと。そして相手の土俵でやろうという想いが強すぎたかな。そりゃそうだよな、強ぇよな。葛西純、ハンパねぇわ」

かつて自らが挑むはずだったエル・デスペラードが、なぜ葛西純という存在にそこまで固執していたのか。肌を合わせたことで、その理由を痛感したという。

「(エル・)デスペラードが『葛西純はすげぇ、葛西純はすげぇ』って言ってるから、どんなもんかと思えばヤベーな! 変な……変なテンションだ」

敗北の悔しさと肉体的なダメージを抱えながらも、若き才能の瞳には新たな領域へ踏み込んだ興奮が宿っていた。

「負けてんだ、全身痛ぇんだ。でもな、なんか葛西純、もう一回やりてぇな。もう、今日はくやしい。ただただ、それだけ。プロレスの初心に返れた気がした。ありがとうな」

前年度覇者と狂気のカリスマが交錯した夜。

異次元の遭遇は、両者の間に新たな因縁とリスペクトを生み出し、過酷なリーグ戦の行方をさらに予測不能なものへと変えたのである。

<写真提供:新日本プロレス>

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