【ストロングスタイル】“関節技の鬼”藤原喜明、77歳で迎える『喜寿記念試合』へ「俺の本格的な仕事は最後かもしれない」

5・27 ストロングスタイルプロレス 後楽園ホール大会
『喜寿記念試合』出場“関節技の鬼”藤原喜明インタビュー
「俺の本格的な仕事はこれが最後かもしれない」

“関節技の鬼”藤原喜明が5月27日に行われるストロングスタイルプロレス後楽園ホール大会に出場。

4月27日に77歳となり、『喜寿記念試合』に出場する。

老いてなお盛んな藤原だが、試合を前にしたインタビューでは「これが最後かもしれない」という言葉も聞かれた。

カール・ゴッチとアントニオ猪木、忘れえぬ2人の師の話をまじえ、藤原が語る。

「猪木さんは神で人生の師匠。根っこは優しい人だった」

――今日はキャップ姿ですが、組長もドジャースがお好きなのですか?

藤原 特にそういう訳でもないけど、これはアメリカのファンが持ってきてくれて。まぁ、大谷も岩手県だしな(※藤原は1949年4月27日、岩手県出身)。今日着てる作務衣も頂いたもので、洗濯もすぐに乾いてラクだからもうこればっかり着てる(笑)。ジーンズの生地だから古くなっても味が出るしな。

――今日は事務所に伺いましたが、絵や焼き物、組長の作品で溢れてますね。

藤原 焼き物と盆栽は面白いよ。もう気合いが入ると徹夜でもやる。凝り性なんだろうな、肩も凝るけど(笑)。

――大会へ向けての会見では、いまや関節技ではなく“関節炎の鬼”だなんて言われていましたが。

藤原 そうだよ、もうヘトヘトだよ(笑)。階段から落ちて吹っ飛んだりするし。でも、ちゃんと本能で受け身を取るんだよね。危なかったけどコブができたぐらいで済んだ。今も気持ちは全然衰えてなくて“この野郎”とも思うし、“今日より明日、1ミリでも前進しよう”と思うんだけど、体が言うことをきかない。やっぱり衰えるんだな。

――そういった中で先月誕生日を迎えられ、77歳の喜寿となりました。どんな心境ですか。

藤原“誕生日、あの世までの一里塚、めでたくもありめでたくもなし”ってな(※室町時代の僧・一休宗純が「正月(門松)は冥土の旅の一里塚、めでたくもありめでたくもなし」とうたった)。みんなにジジイとか後期高齢者とか言われるけど、悔しかったら俺の年まで生きてみろっていうの。でも、年寄りも働かなきゃ老けるだけなんだよ。要するに、外の世界との交流を断ち切っちゃうと老けるのが早い。何でも緊張感は必要だよ。

――組長が言われるのは対人関係や社会的な面での緊張感だと思いますが、今も試合の時に緊張することはありますか?

藤原 緊張するよ。もう小便ばっかり行ってる。でも緊張感があるから、膝は痛いし肘も痛いし首もボロボロなんだけど、リングに上がると不思議と痛くないんだよな。アドレナリンっていうか、その緊張感がたまらない。猪木さんもそうだったらしいよ。ベッドでグッタリしていても、カメラを向けられるとシャキッとして「元気ですか!」ってやってたっていうから。お客さんや人の目があるところでは、いつもアントニオ猪木でいなきゃいけないから大変だったと思う。俺なんかはずっと付いて回って全部知ってる仲だから、たぶん気楽だったんじゃないかな。

――改めて、アントニオ猪木という人は組長にとってどんな存在だったのでしょうか。

藤原 神様であり、人生の師であり、ある面では反面教師でもあったり。やることがムチャクチャだから。北朝鮮の時だって、「藤原、ピョンヤンの空港近くに美味しい焼き肉屋があるから行こう」って言われて、「嫌です、美味しい焼肉屋なら東京にだってあります」って俺もハッキリ言うから(笑)。まぁ、いいところは真似できないけど、悪いところは簡単だから真似するんだよ、ダジャレとか(笑)。でも、いま考えると楽しかったな。

――神と言えるほど、組長にとって影響力の強い人だったのですね。

藤原 猪木さんのところにはいつも小学校とか中学校の同級生が10人ぐらい団体で来てたけど、中学だって1年ぐらいでブラジルに行っちゃってるはずだから、もし猪木さんが悪いやつだったら来ないよな。だから根っこは優しい人だったし、やっぱり人柄だと思う。

 

「基本は破るためにある。基本をしっかりやった上で基本を破る」

――組長の「喜寿記念試合」の組まれた5・27ストロンスタイルプロレスが目前に迫ってきました。

藤原 俺の本格的な仕事はこれが最後かもしれない。今年いっぱいで終わっちゃうんだろうなって。まぁ50歳ぐらいから、「今日が最後」と思ってやってきたんだけど(笑)。でも、まだプロレス道を極めてないから。

――やはりこの道は極めたいですか?

藤原 極めたいな、死ぬまでには。まぁ「リングで死ねたら本望」と言ったけど、警察が来たり救急車が来たり迷惑が掛かるから、家で死ぬのがいいかな。

――今回は船木誠勝、石川雄規とタッグを組み、髙橋“人喰い”義生、アレクサンダー大塚、村上和成組と対戦します。

藤原 みんないい選手ばっかりじゃない。あの性格の悪そうなアレ、村上はいいね。

――どういったところがいいのでしょうか。

藤原 いや、それは口で言えるもんじゃない。女を見て“いいな”と思ったって「どこがいい」なんて言えないだろ。いいと思うからいい、それだけの話だよ。村上はいい、貴重なプロレスラーだよ。今のプロレスって随分変わっちゃってるもんな。その点、佐山は基本がしっかりしていたから何をやったっていいんだよ。やっぱり基本は大事。でも“基本と処女膜は破るためにある”って、ちゃんと書いとけよ(笑)。ゴッチさんだってそうだったよ。基本をしっかりやった上で基本を破る。

――「守破離」の話を思わせます。

藤原 関節技教室をやってると「柔道ではこうです」「サンボではこうです」っていうバカがいるんだよ。そんなこと知るかよって。「正解は何なんですか?」っていうけど、極まれば全部正解なんだよ。極まらなきゃどんなにカッコよくたってそれはダメ。

――組長もゴッチさんに教わった技術を独自に工夫・研究して発展させた訳ですね。

藤原 そう。37の時に関節本を出したんだけど、ゴッチさんに叱られると思ったんだよな。「こういう本を出しましてすみません」って謝ったら、「これは藤原スタイルだからいいんだ」って。腕の長さとか筋力、柔らかさとかみんな違うんだから、俺が教えたことを自分流に考えて考えてモノにする、それで初めて一人前なんだって。“もっといい方法はないか”考えろって。カッコいいよな。

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