【新日本】エル・デスペラードがもがくジェイコブへ突きつけたプロレスラーの真理「他人から評価されて意味がある」

新日本プロレスは5月27日(水)、静岡・キラメッセぬまづにて『BEST OF THE SUPER Jr.33』第8戦を開催した。

Bブロック公式戦の第6試合は、トップ戦線を走るエル・デスペラードと、2勝3敗と黒星が先行し、現状打破をもがくジェイコブ・オースティン・ヤングの激突となった。

2度目の覇者を目指す実力者に対し、発展途上のジェイコブ・オースティン・ヤングがいかにして爪痕を残すのかが問われる一戦であった。

試合は、ゴングが鳴る前から荒れ模様となった。

ジェイコブ・オースティン・ヤングは、入場時のエル・デスペラードへスライディングキックで奇襲を仕掛けると、セコンドのゼイン・ジェイと結託してイス攻撃や客席への投げつけなど、なりふり構わぬ暴挙に出る。

リング内でもゼイン・ジェイの度重なる介入を巧みに利用し、首筋を狙ったエルボーやスパイラルブレーンバスターでエル・デスペラードを徹底的に痛めつけた。

アイキャッチ画像を削除

しかし、幾多の修羅場を潜り抜けてきたエル・デスペラードの牙城は、小手先のラフファイトだけで崩せるほど脆くはなかった。

相手の必殺技であるBITES THE DUSTをことごとく阻止すると、最後は起死回生のリバース・タイガー・ドライバーで反撃の狼煙を上げる。

そして、ジェイコブ・オースティン・ヤングのリバーススープレックスをブリッジで耐え抜き、そのまま執念のピンチェ・ロコを炸裂させてスリーカウントを奪取。

過酷な防戦を強いられながらも、王者の風格を漂わせる勝利で勝ち点を8に伸ばした。

試合後、左首筋をアイシングしながらフロアに座り込んだ勝者は、痛みに顔を歪めながらも、対戦相手の心理状態を見透かしたかのような、深く突き刺さる言葉を投げかけた。

手段を選ばない荒々しいファイトスタイルについては「俺もやるから、別にとやかく言わねえ」と不問に付しつつ、その奥底に見え隠れするジェイコブ・オースティン・ヤングの「焦燥感」を鋭く指摘する。

「お前、いま感じてる焦り、イラ立ち、自分に何ができる? あれがツラいよなあ、キツイよなあ。自分って何者かってよ、お前は説明できるか?」

新日本プロレスのリングに上がり続けながらも、確固たる立ち位置を築ききれていない現状への苛立ち。エル・デスペラード自身も過去に味わったであろう苦悩に理解を示しつつ、厳しい現実を突きつける。

「『誰も俺のことを正当に評価しない』『ちゃんと見ない』……ちゃんと見させるならお前の能力で、必要な能力で評価させるのもお前の能力だ」

もがく相手に対して放たれたのは、プロレスラーとしての真理とも言える金言であった。

「自分で自分を評価して、『誰も俺の進化をわからない』とか、そんなクソみてえなこと言うな。他人から評価されて、意味がやっとあるんだ。わかるよな? お前も俺と一緒だ。時間かかるぞ、そんなとこにいたら。それ抜けてみろ。俺ぐらいだったら、アッという間に抜けるさ」

ただ勝敗を争うだけでなく、対戦相手のレスラー人生そのものに問いを投げかけるエル・デスペラードの奥深さが浮き彫りとなった。

一方、手段を選ばず挑みながらも高い壁に跳ね返されたジェイコブ・オースティン・ヤングは、敗戦の事実を受け入れつつも、決して目は死んでいなかった。

「これで終わりだと思うな。これは……始まりに過ぎない」

実力者から与えられた強烈な刺激と「他人からの評価」という命題。

この一戦を境に、ジェイコブ・オースティン・ヤングがどのようなプロレスラー像を確立していくのか。

突きつけられた課題に対する答えは、これからのリング上で示されることになる。

<写真提供:新日本プロレス>

◆プロレスTODAY(LINEで友達追加)
友だち追加